料理からデザートの素材、コーヒーの豆も燻製に?! 余市町で60年以上にわたり、燻製づくりを手掛ける名店・南保留太郎商店が始めたカフェ、「燻香廊(けむかろう)」。まずは目で、香りと味はお店でお楽しみを!お土産には、燻製をぜひ!

▲余市港の近く。古民家を改装して昨年オープン
「燻製はつまみとして食べるだけでなく、いろいろな料理に使えるんです。そのことを提案したくてこの店を始めました」。そう話してくれたのは、燻製屋の2代目で燻香廊店主の南保敬二さんです。燻製づくりのプロが、自ら料理に腕をふるいます。
魚介にチキンやビーフはもちろんのこと、野菜もスモーク。皿に入るどれもが自家燻製素材です。取材時はポトフをオーダー。具はほのかにスモーキーで、旨味が利いたほんのり甘みも感じるスープがすーっと体に染みわたります。
お楽しみはスモークコーヒーへと続きます。まずは席に運ばれるミルを自分で回してがりがり。「挽きたての香りも味わってほしくて」と南保さん。まろやかで深い味わいの一杯。豆は焙煎後、燻製して仕上げるそう。

▲スモークポトフ(単品960円、ランチセット1,360円)。ボルシチやスモークビーフの赤ワイン煮なども

▲スモークブレンドコーヒーと燻製かぼちゃのチーズケーキ(セット680円)

▲店主の南保敬二さん。「コーヒー豆を燻製したのは、いたずら心からだったんですよ」
隣り合わせの南保留太郎商店には、様々な商品が並んでいました。かつて余市にはニシンの加工場がいくつもあり、ニシンが獲れなくなった後、燻製を製造する工場が増え、あちらこちらから煙りが立ち上がっていたといいます。その町で燻製をつくり続けているのは、同店だけになったそう。
前浜に揚がる魚介を主な素材に、昔ながらの冷燻法による燻製は、保存料や着色料のたぐいは一切使わず、味付けは塩だけのものも。「調味料は時間と手間暇」という逸品です。

▲燻製小屋。20度前後の低い温度でじっくり燻煙する冷燻は、温度管理が重要なため、都度職人が燻材の調整や小屋の状態に目を配っているそう

▲週末は予約が確実というヘラ蟹の燻製(クーラーボックス持参で持ち帰り可・地方発送不可)
余市へは小樽から車で30分ほど。海沿いをドライブしながら、訪ねてみてください!
取材・文/北海道Likers ライター うずらはしちあき
撮影/北海道Likers フォトライター FUKKO