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公開 | nobuカワシマ

江差町「皐月蔵チャミセ」|江戸時代の蔵を活用したカフェで郷土食を




道南の江差町の街中にある「いにしえ街道」沿いには、江戸時代末期の蔵をリノベーションしたカフェがあります。
お店の名前は「皐月蔵(さつきぐら)チャミセ」。
この地域に古くから伝わる郷土食や地場食材を使用した料理を楽しめるほか、江差の“歴まち観光”の拠点にもなります。

 

目次

・江戸時代末期の蔵をコミュニティーカフェへ
・檜山の郷土食「ふきんこ」とは?
・道南や北東北地方の郷土食「ケイラン」とは?
・ぜひ蔵めぐりを!


 
「ふきんこ汁御膳」。さて「ふきんこ」とは何でしょう?▲「ふきんこ汁御膳」。さて「ふきんこ」とは何でしょう?

 

江戸時代末期の蔵をコミュニティーカフェへ

「いにしえ街道」がある“歴まち”地区には、かつてニシン漁で栄えた時代の蔵が数多く残っています。

飲食店やギャラリーなどへ改装して一般公開されている蔵は数棟あり、そのうちの1つが「皐月蔵チャミセ」です。


皐月蔵チャミセ


江戸時代末期に建てられた4棟の土蔵からなる旧日石土蔵群で、旧所有者から江差町へ寄贈を受け、そのうちの1棟を改装して店舗にしました。

 
蔵を再生させた想いを気さくに語っていただいた「江差いにしえ資源研究会」のみなさん▲蔵を再生させた想いを気さくに語っていただいた「江差いにしえ資源研究会」のみなさん

 
別の棟の柱には弘化4(1847)年と刻まれた跡が残っていました。建てられたのはさらに前ということですが、詳しい年代はわかっていません▲別の棟の柱には弘化4(1847)年と刻まれた跡が残っていました。建てられたのはさらに前ということですが、詳しい年代はわかっていません


ここは単なる飲食店というわけではなく、郷土食や地元素材の料理を通じて交流を楽しむコミュニティーカフェ。
仮にカフェを利用しなくても、店内にある和雑貨を購入したり地域情報マップを手にしたりするだけでもOK。

食文化や歴史を感じつつ、“歴まち”など江差町の観光拠点にもなる場です。

 
建物上部の文様は一見古い屋号のようですが、これはカフェオープンに際し「ヒト アツマル」をもじって作ったそうです▲建物上部の文様は一見古い屋号のようですが、これはカフェオープンに際し「ヒト アツマル」をもじって作ったそうです


お店の中は重厚な佇まいながらも、堅苦しさやかしこまったイメージではありません。
どこか温かくて気を張ることもなく、不思議と人情味を感じられるオーラが漂っています。
 

皐月蔵チャミセ


数ある飲食メニューの中から、今回はほかの地域ではあまり目にすることがない注目の2品を紹介します。

 

檜山の郷土食「ふきんこ」とは?

1品目は、道南の檜山地方に伝わる郷土食「ふきんこ」。

「皐月蔵チャミセ」では、「ふきんこ汁」、「ふきんこ汁御膳」、「ふきんこうどん」、「クリームふきんこ餅」など数種類で提供しています。

さて、「ふきんこ」って何だと思いますか?

 
これが「ふきんこ」▲これが「ふきんこ」


正解は、じゃがいものお餅。

じゃがいもを擦りおろしてサラシで絞ったものと、絞った水分に含まれるデンプンを沈殿させて取り出したものを混ぜ合わせたもので、「ふきんこ餅」とも言います。

 
ふきんこ専用の特注の目の粗いおろし金。既存の大根おろし金などを使うと食感が滑らかになり不向きなのだそうです▲ふきんこ専用の特注の目の粗いおろし金。既存の大根おろし金などを使うと食感が滑らかになり不向きなのだそうです


北海道でお米が収穫できない時代、お米の代用品として檜山地方の農村部を中心に食された郷土食です。

 
「ふきんこ」の定番料理は、野菜が入った汁で煮て食べる「ふきんこ汁」▲「ふきんこ」の定番料理は、野菜が入った汁で煮て食べる「ふきんこ汁」


「皐月蔵チャミセ」の「ふきんこ汁」は、松前産真昆布の出汁に沖縄産鰹節の出汁をあわせた醤油ベースの汁に、近隣のマイタケやゴボウ、ニンジンなどともに「ふきんこ」が入っています。

特徴的なのは、思いのほかざらっとした食感。
シャキシャキした素材感と歯応えを楽しめる面白いお餅で、素朴な味わいながらも極上の出汁と妙に合い、食が進みます。

 
「皐月蔵チャミセ」の「ふきんこ汁御膳」▲「皐月蔵チャミセ」の「ふきんこ汁御膳」


「ふきんこ汁御膳」には、「ふきんこ汁」とともに黒のりご版と季節の野菜や出汁をとった昆布などを活かした箸休めがついてきます。

ちなみに黒のりご飯は単なる“のり弁”ではありません。
寒い時期にしか収穫できない乙部町の手づみ海苔を使用したご飯で、ひと口食べると、のりの風味が口の中で弾けるように広がります。
のり弁の概念を打ち砕くかのような美味しさです。
 

道南や北東北地方の郷土食「ケイラン」とは?

2品目は、道南や北東北地方に伝わる郷土食の「ケイラン」。

 
けいらん


「ケイラン」とは、鶏の卵に見立てた餡入りの白玉団子を出汁のきいたお吸物などと一緒に食すものです。

北前船により伝来した精進料理が根付いたと伝えられ、冠婚葬祭の席でよく供されたほか、花街があった時代にもてはやされたと言われています。

ただ、地域により出汁や具材に差異があるようで、東北地方では鰹節と干しシイタケの出汁がよく使われるいっぽう、江差周辺では昆布と鰹節の出汁が主流なようです。

 
「皐月蔵チャミセ」では「お吸物ケイラン膳」として提供。松前漬と昆布茶に桜を入れた昆布桜茶とともに楽しめます▲「皐月蔵チャミセ」では「お吸物ケイラン膳」として提供。松前漬と昆布茶に桜を入れた昆布桜茶とともに楽しめます


出汁は松前産真昆布でうま味を出したところへ鰹節を軽くきかせ、昆布の香りがふんわりと際立つように仕上げたもの。
ここに、地元菓子店の特製こしあんを白玉粉で鶏卵大に包んだケイランを2個入れています。

 
ケイランをカットするとこのとおり▲ケイランをカットするとこのとおり


塩気のある出汁に浸かったケイランをひと口食べると、ツルンとした食感がありつつ白玉から餡が溶け出してきます。
豊かな出汁の風味と上品な餡の甘みが絶妙なバランスで調和。
とても高貴な気分になる甘味です。

 

ぜひ蔵めぐりを!

この地に伝わる郷土食を楽しんだら、ぜひ蔵めぐりをしましょう。

ここから徒歩10分圏内には蔵が10棟以上あり、北海道最古の神社と伝わる姥神大神宮も歩いて数分。
「皐月蔵チャミセ」店内には各所にある蔵を紹介するマップもあるので、情報収集したらいざ出発!

 
いにしえ街道▲いにしえ街道

 
姥神大神宮▲姥神大神宮


味覚で伝統的な食文化を堪能したのち「いしにえ街道」を歩いて蔵を巡れば、江戸時代や明治時代にタイムスリップした気分!?
歴史文化を存分に楽しめますよ。

※「皐月蔵チャミセ」は冬季休業です。
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