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公開 | チバタカコ

元炭鉱マンのガイドが秀逸!「赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設」

赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設ヤード内
 
 
2019年5月、北海道の「炭鉄港」のストーリーが「日本遺産」に認定されました。日本の発展を支えた道内の産炭地が、新たに注目を浴びるいま、北海道Likersは赤平市の「赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設」へ行ってきました。

ここ、すごいよ! 

 

目次

・「赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設」とは
・炭鉱遺産内部は、ガイド付き見学でしか見ることができない
・旧住友赤平炭鉱立坑櫓のヤード内部は、圧巻の存在感
・その設備は当時「東洋一」とうたわれた
・元炭鉱マン、三上秀雄さんのガイドが秀逸
・自走枠整備工場は、まるでSF映画の秘密基地
・炭鉱事故と安全確保と事故防止
・ツアー参加のアドバイスと赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設のこれから
・アニメ映画「ぼくらの7日間戦争」の舞台のモデルは、なんと旧住友赤平炭鉱立坑櫓
・おまけ~赤平市のデザインマンホール

 
 

「赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設」とは

赤平市にある「赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設」は、旧住友赤平炭鉱の立坑や炭鉱関連資料・工場が見学できる施設で、2018(平成30)年7月にオープンしました。
 
 
赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設▲赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設
 

旧住友赤平炭鉱が閉山したのは1994(平成6)年。地元では、炭鉱の関係資料や機械、器具などを収集し、保存する活動がはじまりました。
 

赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設学芸員の井上博登さん▲施設について説明してくれた赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設学芸員の井上博登さん。東京出身ですが、学生時代から炭鉱について調査・研究を行い、「気づいたらここにたどり着きました(笑)」とのこと
 

2003(平成15)年に、赤平市で「第6回国際鉱山ヒストリー会議」(世界各国の鉱山や炭鉱を対象に、多岐にわたる分野の研究者が研究報告を行う国際会議で、赤平市での開催はアジア初)が開催され、赤平市の炭鉱遺産を地域活性化に向けた観光資産として、また地域の歴史を学び保存・継承していく教育として、活用・展開していくという活動を推進するきっかけになりました。
 
炭鉱の歴史、炭鉱遺産の必要性を伝えていこうと元炭鉱マンや地元住民たちによる「赤平コミュニティガイドクラブ“TANtan”(たんたん)」が発足し、住友赤平炭鉱のガイドやTANtanまつり、赤平フットパスなどのイベントなども開催。
 
そして、2016(平成28)年に、旧住友赤平炭鉱を管理していた住石マテリアルズより、旧住友赤平炭鉱立坑櫓と関連施設が赤平市に無償譲渡されます。
 
 
赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設常設展▲施設内には、炭鉱関係の資料や用具などが展示されています
 
 
赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設常設展▲施設内常設展示を見学するだけなら入館無料。ガイド付き見学は有料です
 
 
赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設常設展ジオラマ▲炭鉱のジオラマ。炭鉱全盛の頃の赤平市の街並み、立坑や斜坑の様子がよくわかります

 
やがて、赤平市や地元の人たちの取り組みが形になり、「赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設」が誕生することになりました(建設にあたっては内閣府の地方創生拠点整備交付金に採択)。
 

赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設出入口
 

博物館や資料館のように館内を見学するだけではなく、実際に住友赤平炭鉱で働いていた人がガイドを務め、旧住友赤平炭鉱立坑櫓の内部や自走枠整備工場を見学するための拠点施設として、炭鉱の歴史や産業遺産に興味がある人たちに注目されています。

 

炭鉱遺産内部は、
ガイド付き見学でしか見ることができない

ここへ来たら、施設内の常設展示だけを見て帰るなんて、もったいない!
 
午前10時からと午後1時30分、1日2回行われている炭鉱遺産ガイド付見学ツアー(有料)へ、ぜひ、いや、必ず参加しましょう!
 
ではここから、北海道Likersが実際に体験したツアーの様子を紹介します。
 

赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設レクチャールーム▲ツアー前に、旧住友赤平炭鉱の歴史やこれから向かうヤード(操車場)内部について注意事項などレクチャーを受け、ヘルメットを受け取ってから出発します
 

赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設レクチャールーム▲レクチャー後、窓の向こうに見える旧住友赤平炭鉱立坑櫓のヤード内部へ向かいます

 
赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設、住友赤平炭鉱立坑櫓▲ここへ入ります

 
「立坑」とは、深部の石炭を採掘し効率よく地上に運び上げるための運搬設備で、エレベーターのようなもの。当時は年間200万tに迫る生産体制だったそう。
 
閉山して25年、雨風や北海道の厳しい寒さにあたって傷み、さび付いた外観は、まさに「炭鉱遺産」という風情。ヤード内部がどうなっているのか…期待と不安が交差します。

 

旧住友赤平炭鉱立坑櫓のヤード内部は、
圧巻の存在感

一歩入った瞬間に思ったのは、「なんだ、ここは!?」。
 
実は、もっと朽ち果てた様子を想像していたのですが、当時使われていた機械や鉱車操作場、巻き室、繰込場などが、ほぼ完全なままで残されています。
 

住友赤平炭鉱立坑櫓ヤード(操車場)内▲旧住友赤平炭鉱立坑ヤード(操車場)内
 

25年も前に動きを止めたはずなのに、力強いパワーやエネルギーが、今もなお充満しているように感じました。
 
 
住友赤平炭鉱立坑櫓ヤード(操車場)内
 

住友赤平炭鉱立坑櫓ヤード(操車場)内
 

住友赤平炭鉱立坑櫓ヤード(操車場)内
 

日本の産業を支えてきた「石炭」のすごさを、全身で感じます。
 
 

その設備は当時「東洋一」とうたわれた

ヤードの2階に上がると、櫓のヘッドシーブを巻き上げた「巻き上げ機」があります。
 

住友赤平炭鉱立坑櫓ヘッドシープ▲櫓の丸いのがヘッドシーブ

 
その直径5.5m。で、でかい。
 

住友赤平炭鉱立坑巻き上げ機▲人と比べたら、その大きさがわかります
 

住友赤平炭鉱立坑櫓ヤード2階
 

住友赤平炭鉱立坑櫓ヤード2階巻き上げ機操作室▲巻き上げ機の操作室。ここにも入ることができます。置いてある小物などは閉山当時のまま


住友赤平炭鉱立坑櫓ヤード2階巻き上げ操作室張り紙▲ちなみに、炭鉱はタバコやマッチ、ライターなど発火するものは持ち込み厳禁ですが、この操作室は「喫煙OK」。当時はほとんどの鉱員さんがタバコを吸っていて、タバコが吸えるこの場所は人気だったとか
 

住友赤平炭鉱立坑櫓ヤード2階櫓の説明▲櫓の仕組みがわかりやすく図解に
 

住友赤平炭鉱立坑櫓ヤード2階にあるスパナ▲実際に使われていたスパナ。一瞬普通の大きさに見えるでしょうが、これ、かなり大きいし、重いです。これはぜひ現地で確かめてみて


何もかもが圧倒的な存在感があり、そして想像以上に保存状態が良いので、手入れをしたら動くのではないか?と思ったくらいです。
 

住友赤平炭鉱立坑櫓ヤード2階から1階を見下ろす▲2階から1階のヤードを見ることができます



住友赤平炭鉱立坑完成式▲1963(昭和38)年、住友赤平炭鉱立坑完成式の様子
※写真提供:赤平観光協会


住友赤平炭鉱立坑ヤード内▲上の写真と比べてみてください。窓が割れたり。さびたりはしていますが、建物構造や設備などはほんとゆがみがないそうです

 
現役時は丁寧なメンテナンスがひんぱんに行われていたそう。その企業体制が、この保存状態の良さを保っているのかもしれません。

 

元炭鉱マン、三上秀雄さんのガイドが秀逸

ヤード内は、見学用の通路が確保されていますが、「それ以外は閉山した当時のまま。何もいじっていない」と話してくれたのは、ツアーガイドの三上秀雄さん。

 
赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設ガイドで、赤平コミュニティガイドクラブ“TANtan”代表の三上秀雄さん▲赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設で市の臨時職員としてガイドを担当する三上秀雄さん。赤平コミュニティガイドクラブTANtanの代表。住友赤平炭鉱に勤めていた元炭鉱マン
 

ガイダンス施設には現在2名のガイドがいますが、三上さんはメインガイドとしてほとんどのツアーを担当しています。
 
三上さんは、1969(昭和44)年から閉山する1994(平成6)年まで住友赤平炭鉱に勤務し、石炭を掘る「採炭」や坑内の保安を管理する係員、事故や災害時に坑内の現場で救護活動にあたる「救護隊」などを勤め上げました。
 
ここが職場だった人ですから、その知識や体験談は、まさに生き字引です。
 
例えば、下の写真。


赤平市炭鉱遺産立坑櫓ヤード内ケージ
 

これは、鉱員たちを約600m下の乗降場(プラットホーム)まで運んだ4段72人乗りのケージですが(採掘現場まではこの乗降場からさらに移動して到達する)、このスピードや使い方、乗り心地などは、体験した人ではないと語れない臨場感がありました。 

 
赤平市炭鉱遺産立坑櫓ケージ▲実際に乗ることもできます。この一段に18人が乗りました。下りる時はフリーフォール並みのスピードで、耳が圧迫されるため耳ぬきが必要だったそう
 

ヤード内にある機械・機器の用途や目的など、三上さんはとてもわかりやすく説明してくれるので、当時の稼働風景が目に浮かぶように想像できます。
 

赤平炭鉱遺産ガイダンス施設ガイドの三上秀雄さん▲時々ポロっと出てくる炭鉱裏話が、なまらおもしろい!

 
また、「これはなに?」「あれはどう使ったの?」と質問すると、その返答がこれまた小気味よく、端的に「ズバッ」と返ってくるので、なんだか今も現役で稼働しているヤードを見学しているのではないか?と感じるくらいでした。

炭鉱遺産見学はもちろん楽しいですがで、北海道Likersは「三上さんに会いに行こう!」と推したいくらいです。

 

自走枠整備工場は、まるでSF映画の秘密基地

立坑櫓見学の後は、ガイダンス施設から少し離れたところにある「自走枠整備工場」へ向かいます。
 
「自走枠」とは、地下深い坑内の採炭切羽(採炭現場、掘削面)の天盤を支え、より安全に効率よく大量に採炭するためにつくられた大型機械のこと。
回転する刃によって炭壁を掘削する「ドラムカッター」と組み合わせて使われました。

 
「自走枠整備工場」では、実際に炭鉱で使用されていた大型掘削機械などが展示されています。

 
自走枠整備工場の大型機械
 

「こんな大きなものをどうやって地下の掘削現場まで?」と尋ねると、バラバラの部品を運んで、現場で組み立てたそうです。
 

自走枠整備工場の大型機械
 

自走枠整備工場の大型機械に乗る▲運転席に乗ることができるので、ぜひ乗ってみて!見た目以上に機械の大きさが実感できます


自走枠 ▲自走枠(奥)とドラムカッター(手前)
 

実際の現場で使われていた自走枠▲実際の現場で使われていた自走枠
※写真提供:赤平観光協会
 
 

炭鉱事故と安全確保と事故防止

「自走枠整備工場」で、それぞれの大型機械の用途について話してくれた三上さんが、さらに強調して話してくれたのが、旧住友赤平炭鉱が取り組んでいた安全確保と事故防止についてでした。
 

三上秀雄さん▲三上さんが救護隊にいた頃の事故現場の体験談は、想像するだけで身震いがしました
 

炭鉱事故は、落盤、ガス爆発、粉塵火災など、ほんの少しのミスで大勢の人が亡くなる大事故につながります。
 
それをいかに未然に防止するか、どうすれば事故がなくなるか、安全確保の手順やルールなどは徹底されていたそうです。
 
そのせいか、旧住友赤平炭鉱では大きな事故はほとんどなく、三上さんが在籍中は3人が亡くなったのが一番大きな事故だったそうです。

 

ツアー参加のアドバイスと、
赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設のこれから

ガイド付き見学ツアーの所要時間は、出発前のレクチャーから「自走枠整備工場」まで、フルコースおよそ90分程。
 

赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設にある石炭
 

料金は、大人800円(赤平市民200円)、小学生300円(赤平市内の小中学生は無料)です。
 
立坑内部に冷暖房はありませんので、これからの季節は屋外仕様のがっつり防寒がおすすめ。手袋も履いた方がいいです。
 
また、見学通路は確保されているとはいえ、階段の上り下りもありますので、特に女性は細いヒールなどは避けた方がいいです。
 
ヤード内も自走枠工場も、どこも自由に写真撮影ができます。なのですぐに写真撮影ができるように、両手があくリュックや斜め掛けバッグが動きやすいです。
 
立坑櫓は、冬期18:00~21:00、夏期19:00~22:00、夜の間ライトアップもしています(立坑櫓のライトアップは土曜日と日曜日のみ。季節による点灯時間変更の場合にはガイダンス施設公式フェイスブックでお知らせしています)。


住友赤平炭鉱ガイダンス施設ロビー▲ガイダンス施設には、見学後に休憩できるカフェコーナーやグッズ売場もあります 

 
「炭鉄港」が日本遺産に認定され、来館者は地元や道内だけではなく道外からも増えているそうですが、ガイダンス施設としてこれからの課題もあると、学芸員の井上さんは言います。
 
「炭鉱遺産を維持するためには修繕も必要ですし、炭鉱の歴史や記憶を伝えるガイドの養成、三上さんの後継者を育てることも重要です。将来のためにどうしたらいいのか、ということを考えながら、この炭鉱遺産の普遍的価値を明らかにするひとつの方策として、国の文化財への登録も検討しています」と井上さんは語ってくれました。

 

アニメ映画「ぼくらの7日間戦争」の舞台のモデルは、
なんと旧住友赤平炭鉱立坑櫓

2019年12月13日公開のアニメ映画「ぼくらの7日間戦争」。1988年の実写映画を見た!という人も多いのでは?
  
アニメ版では舞台は北海道。
 
そしてなんと、旧住友赤平炭鉱立坑櫓をモデルにした廃工場が中学生たちの立てこもり場所なんです!
 
ガイドの三上さんが「アニメをつくる人たちが訪れたよ」と教えてくれました。
 
ポスターを見ると、そこはまさにヤード!

 
ぼくらの7日間戦争ポスター©2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会
 

ぼくらの7日間戦争ポスターと同じ角度から見たヤード▲ポスターとほぼ同じ場所で撮影したくなる!
 

ぼくらの7日間戦争ポスターの反対側から見たヤード▲ポスターみたいに炭車を入れたいなら反対側からの撮影がおすすめ
※炭車には乗ることはできません
 
 
予告映像にも立坑櫓が!これはテンションが上がりますね!
 
アニメを見てから「赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設」に行くか、
「赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設」に行ってからアニメを見るか、
「赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設」に行ってアニメを見て、もう一回「赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設」に行くか…。
 
アニメに登場した地域や場所は、「聖地」と呼ばれることが多いことから、「赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設」にも聖地巡礼の人たちが増えるかもしれませんね。

 

おまけ~赤平市のデザインマンホール

道内のデザインマンホールをたびたび紹介してきた北海道Likersですが、「赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設」でもデザインマンホールを発見!


赤平デザインマンホール▲赤平のデザインマンホール。ズリ山に火文字を灯す火まつり、立坑櫓、空知川がデザインされています


ガイダンス施設前の歩道にあるので、見つけやすいです。
マンホールカードは、AKABIRAベース(赤平市幌岡町54番地)にあります。

 

関連リンク

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