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公開 | 小西 由稀

「佐伯農場」でアートと農を融合させた癒しの時間を

佐伯農場


北海道の東部、知床と根室のほぼ中央に位置する中標津町。人口より乳牛の数の方が多い、酪農を基幹産業とする町です。
牧草地や格子状の防風林など、雄大な農村風景が広がるエリアに、目指す「佐伯農場」はあります。
 
三代にわたり、酪農を営む佐伯農場。
敷地内にはオブジェが点在し、美術館、農家レストラン、さらには牧草地帯を歩くトレイルなど、農を通して思い思いに時間を過ごせる場が、ここ佐伯農場なのです。
 

佐伯農場▲二代目の佐伯雅視さんはアーティストを応援し、作品を入館料無料で公開している
 
 

地域が育んだ文化を次世代へ
アートと融合した開かれた農場

佐伯農場を初めて訪れたときの第一印象は、言葉を選ばずにいうと「牧場っぽくない」ということ。
 
牛の姿も牛舎も見えません(敷地内の奥にはあります)。荒川という小川が流れ、薪とステンドグラスのオブジェや素朴で美しい季節の草花が迎えてくれます。何も知らなければ、ここが牧場だと気づかない人もいるかもしれません。


佐伯農場 


牛の命を育み、乳を搾る。佐伯雅視さんが仕事場であり、生活の場でもある牧場内に、小さな美術館「荒川版画美術館」をつくったのは2001年のこと。
 

荒川版画美術館▲荒川のほとりにあるから「荒川版画美術館」。遊休サイロを再利用した建物


「地域が育んだ文化を次世代に伝えていきたい」。佐伯さんがそう話す館内には、中標津町ゆかりの作家を中心に、多彩な版画作品が展示されています。


荒川版画美術館
 

メインホールには、牛をモチーフにした富田美穂さんの作品が並びます。牛の体温や息づかいまで伝わってきそうな、圧倒的な画力に惹きつけられます。


荒川版画美術館▲ここで展示されたことで、富田さんやその作品が広く知られるきっかけに
 

「昔からサイロのある牧歌的風景が好きだった」と話す佐伯さん。


佐伯さん
 

敷地内にある「レストラン牧舎」に飾ったサイロの版画に目を留める人が多く、もっとたくさんの人に作品とふれ合う時間を持ってもらえたら…との思いが、アートと農を融合させるきっかけに。


レストラン牧舎の牧舎カレー▲「レストラン牧舎」の名物は、牛乳豆腐のカツをのせた「牧舎カレー」
 

かつて集乳所として使われていた建物を改修した「帰農館」では、開拓時代の子どもたちの写真(前田肇さん撮影)、そして農業に関する書籍や資料を展示。
 

佐伯農場▲思わず撮りたくなるシーンがあちらこちらに
 

昭和の農機具庫だった建物を生かした「ギャラリー倉庫」は、さまざまな作品を展示する広い空間。


ギャラリー倉庫

 
佐伯さんはアーティストに創作の場を無償提供しています。「応援している作家はウマが合う人。それに尽きるね」と、笑顔で話します。


ギャラリー倉庫▲現代美術彫刻家・宮島義清さんの作品。取材日も東京から作品づくりのために佐伯農場を訪れていた
 

ものづくりが好きで、ご自身も木彫作品を数多く創作しています。


ギャラリー倉庫▲こちらは佐伯さんの作品。公募展で入選を果たす実力
 

佐伯農場▲こちらのテーマは「歩く人」
 
 

アートに続いて歩く旅を
農が創造する価値を発信

2005年に「歩く旅」を提案する「北根室ランチウェイ」を、地域の酪農家たちとともに整備しました。


北根室ランチウェイ
 

中標津から北根室まで続く広大な牧場地帯を通り、摩周湖を周る全長71.4kmのロングトレイル(長距離自然歩道)です。愛称は「KIRAWAY」。国内外から年間3,000人が歩く、ハイカー憧れのトレイルです。
 

北根室ランチウェイ▲この牧草地を通って歩けるなんて、気持ちが良さそう!佐伯農場はKIRAWAYの第2ステージと第3ステージの分岐点
 

アートにふれる。牧草地帯を歩く。感じたままに過ごしてもらいながら、農村と都会の距離を縮められたら…。
 
そのために歳月を費やし、この地で使われていた農業関連の建物や道具でギャラリーをつくり、地域の作家や現代美術のアーティストを応援し、アートと農と地域を丁寧に結び付けながら、開かれた牧場を目指してきた佐伯さん。
 
生産現場という側面だけではなく、農業が育んできた文化、農のある生活の魅力、農村風景の美しさや癒しなど、農が創造する価値を再発見できる佐伯農場。
ゆっくり時間をとって、出かけてみませんか。
 

佐伯農場▲敷地内の各ギャラリーは入館無料、10時~17時、木曜休日。ただし、冬季は休館(事前連絡の場合、開館可)
 
 

関連サイト

佐伯農場 
北根室ランチウェイ 
北海道Likers記事:酪農地帯をただひたすらに歩く!ロングトレイル「北根室ランチウェイ」 
北海道Likers記事:中標津で牧場ごはん。絶景ドライブの途中で寄りたい「牧舎」 
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  • 「佐伯農場」でアートと農を融合させた癒しの時間を

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小西 由稀

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