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公開 | 小西 由稀

大地を創る人。「ケナシバ山ワサビ」で地域に元気を!吉田岳大さん(池田町)

吉田農場の吉田岳大さん 


ツーーーンと、鼻に来る辛さがたまりません!
北海道でワサビといえば、「山ワサビ」のこと。
 
おろしたてに醤油をたらし、ご飯にのせ、かきこむ。鼻を刺激するこの辛さを愛する道民は数知れず。あー、もう箸が止まらない。
 

山ワサビ
 

今回は、「ケナシバ山ワサビ」というブランド名で山ワサビを栽培する、十勝・池田町「吉田農場」の吉田岳大さんに会いに行ってきました。
 
※吉田さんの「よし」の字は、正確には「土」に「口」と書く。
 
 

まずは、山ワサビの基礎知識から

英語でホースラディッシュ、フランス語でレフォール。ローストビーフの薬味として有名な山ワサビは、こんな姿をしています。
 

山ワサビ▲アブラナ科セイヨウワサビ属の多年草。国内で流通する山ワサビのほとんどは北海道産
 

皮をむいて、真っ白な部分をすりおろして使います。
 
ちなみに、山ワサビの保存は新聞紙などで乾燥を防いで冷蔵庫へ。
その後の保存は、皮をむいた状態で冷凍し、使う分をすりおろすのが吉田さんのおすすめ。
 
こちらが吉田さんの山ワサビ畑。山ワサビの葉は、ビートの葉にそっくりです!
 

山ワサビの畑▲面積は約0.5反(約496平方メートル)。主根から枝分かれした小指サイズの側根=種を5月ころに植えて育てる
 

吉田さんにムリをいって、収穫前の山ワサビを見せてもらうことに。


吉田農場の吉田岳大さん▲収穫は10月下旬~11月上旬。収穫後は山ワサビを保管し、通年出荷している
 

まだ細い山ワサビが見えてきました。


山ワサビ▲種になる側根は斜めに植えるので、山ワサビも斜め下に育っていく
 

昨年収穫した吉田さんの山ワサビを試食させてもらいましたが、めちゃくちゃ辛くて、風味もあって、おいしい!
 
収穫後8ヶ月経ってこの味わいなので、新物の風味を妄想すると、今から楽しみです。
 

吉田農場の吉田岳大さん▲泣きながら山ワサビをする吉田さん。それだけケナシバ山ワサビの辛さはハンパない!
 

山ワサビは粉ワサビやチューブ入り練りワサビの原料にも使われていますが、吉田さんは産地の名前が表に出る“生食用”にこだわって栽培しています。
その胸の内をうかがいました。
 
 

みんなが好きな山ワサビ栽培で
元気のない故郷に刺激を!?

吉田さんは吉田農場の5代目です。
 
中学生の時には「農業を継ぐ」と決めていましたが、父親の勧めで普通科高校、大学へと進み、医療機器を扱う企業に就職。約7年間勤めた後、29歳の時に就農しました。
 

吉田農場の吉田岳大さん
 

「サラリーマン時代、帰省のたびに実家や池田町の良さを感じると同時に、町に元気がないことが気になって。こっちに戻ってみて、ますますそう思うようになりました」。
 
十勝のほかの町と同じく、池田町の主幹産業は農業。人口減少に加え、国の農業政策や異常気象に翻弄され、農業にこれまでの活気が見られない…。
 
「何とか地域を盛り上げられないかと思った時、ふと頭に浮かんだのが山ワサビでした」。


吉田農場の吉田岳大さん
 

幼い頃、当時、池田町を走っていた「ふるさと銀河線」の線路沿いにたくさん生えていた野生の山ワサビを、今は亡き祖母と一緒に採った遠い記憶が思い出されたといいます。
 
「山ワサビは北海道のソウルフードのひとつ。好きな人が多いので、池田町で山ワサビをつくって、喜ぶ人の顔が見たい」。
 
その一念から山ワサビ栽培を始めることを決意しました。今から12年前のことです。
 

山ワサビ

 
山ワサビへの熱き思いを真っ先に伝えたのは、家族。手放しで賛成してくれると思いきや、揃いも揃って家族は全員猛反対。
 
なぜなら、生命力が強い山ワサビはわずかでも畑に残ると、野良生え(自然と生えてくる)して、ほかの作物をつくりづらくさせる“畑の厄介者”になるからです。
 

吉田農場の吉田岳大さん
 

それでも、「誰にも迷惑をかけない」と頼み込んで、小さな面積から始動。
 
地域で長年山ワサビを生産してきた斎藤源嗣さんの指導を受けながら、栽培に打ち込みました。
 

山ワサビ
 

ところで、山ワサビの野生と栽培では、どんな違いがあるのでしょう?
 
多年草である野生の山ワサビは、何年も経つと辛味が抜けるなど味にバラつきが多い。
 
「その点、畑で育てる山ワサビは日が当たるように雑草を取り、肥料の管理をするので、どこを食べても辛い高品質の山ワサビになるんです」。
 
 

山ワサビが結んだ地域の輪
池田町の名物を支える特産品に

吉田さんは、先輩農家の斎藤さんと一緒に「ケナシバ山ワサビ生産組合」を設立。
ケナシバとは、この地域の古い呼び名のこと。
前職の経験を生かし、「勝手に営業部長を名乗っています(笑)」。
 

吉田農場の吉田岳大さん
 

個人客への直売はもちろん、町内の飲食店や小売店、札幌の飲食店へと、売り先の開拓も積極的に行い、ファンを増やしてきました。
 
「山ワサビは、顔の見える先に売っていきたいんです。売り先の見える農業が、本来のあるべき姿。それを忘れたくないと思っています。
食べた方からの“おいしい”という言葉は、はげみになりますから」。
 

山わさびの葉
 

山ワサビは、食材の味を引き立てる名脇役。
池田町自慢の牛、豚、羊の肉料理にもぴったりな薬味。
 
観光協会などがそのPRに努め、肉料理に山ワサビを添える町内の飲食店が増え、それが縁となり地元生産者と良い関係性を築くなど、山ワサビを介して、さまざまなつながりが生まれたことも嬉しい収穫に。
 
「この10年、山ワサビに学ばせてもらったことは本当に大きいですね」


吉田農場の吉田岳大さん
 

池田町には50年に渡り、農業、特産品、観光を結び紡がれているワイン文化があります。
 
「ケナシバ山ワサビも、さらに10年、20年と積み上げていって、池田町の食文化として根づかせていきたいという思いがあります」。
 
細く長く生産を続けていきたい。一緒に生産する仲間を増やしていきたい。ケナシバ山ワサビの名前をもっと広めたい。道外にも山ワサビのおいしさを届けたい。
 
想いと時間を丁寧に注ぎながら、次代へと食文化を育んでいく。
「山ワサビで地域を元気にする」。
吉田さんがそう思い描いた夢の答えがそこにあります。
 

吉田農場の吉田岳大さん▲吉田さんも参加している「十勝いけだ屋」のLikers記事もぜひ

 

関連サイト

池田町観光協会 
JA十勝高島 
 

「大地を創る人」とは

さまざまなおいしい食を生み出す北海道を「大地」と表現。農業や漁業、酪農業を通し、「新しい北海道を創りたい」「北海道を支えたい」「未来の北海道をデザインしたい」。そんな思いを胸に抱く北海道の生産者を、「大地を創る人」としてご紹介します。
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小西 由稀

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