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公開 | チバタカコ

にぱ~っと笑う、滝川市江部乙神社の「笑う狛犬」

滝川市江部乙神社
 

滝川市江部乙町の江部乙神社に「笑う狛犬」があるという噂を聞きました。狛犬といえば、神社の鳥居や本殿の前で、左右一対で向き合っている守護像ですが、思い浮かぶのは厳つい表情のおっかない狛犬だけど…それが笑うって?どういうことだべ? 
 
 

目次

・「笑う狛犬」がある滝川市江部乙町の江部乙神社とは
・江部乙神社の狛犬は、向かって左が「阿」でメス、右が「吽」でオス
・笑う門には福来る、福を呼ぶ笑う狛犬
・相方の「吽」は、ふんだりけったり?
・ヤマハ、ホンダ、スズキ、カワサキ、この共通点は?
・おまけ~笠をかぶった笑う狛犬

 
 

「笑う狛犬」がある滝川市江部乙町の江部乙神社とは

滝川市江部乙(えべおつ)町にある江部乙神社は、JR函館本線江部乙駅から徒歩約11分、道の駅たきかわの道路(江部乙赤平線)を挟んで隣(徒歩約4分)にある神社です。
 

滝川市にある江部乙神社本殿▲滝川市にある江部乙神社

 
江部乙神社は、1894(明治27)年、この地に屯田兵として入植した人たちにより、「心のよりどころ」として創祀(そうし:神様を祀る)されたのがはじまり。
 
今年2019(令和元)年で126年目を迎える歴史ある神社です。
 

南側(江部乙赤平線)の鳥居から見た江部乙神社の参道▲南側(江部乙赤平線)の鳥居から見た参道


元々は、西側に向かって本殿が建てられていましたが、1978(昭和53)年に創祀85年を祝い、拝殿を造営し、本殿を南向きに移築修復して現在のかたちになりました。
 

江部乙神社の桜▲境内は桜の名所としても有名
※写真提供:江部乙神社

 
しかし、南参道の方に狛犬はいませんでした。
 
どこにいる?
 

江部乙神社の旧参道階段上にある狛犬▲階段を昇って左右に一対、狛犬がいました!

 
笑う狛犬がいたのは、西向きに本殿があった時の西参道です。
 
本殿は南向きに移築されましたが、鳥居と狛犬は移動することなくそのまま残されました。
 
 

江部乙神社の狛犬は、
向かって左が「阿」でメス、右が「吽」でオス

江部乙神社の狛犬について、宮司の齋藤豪さんに話をうかがいました。
 

江部乙神社6代目宮司、齋藤豪さん▲江部乙神社6代目宮司、齋藤豪さん
 

「この狛犬たちがつくられたのは、1910(明治43)年9月、作者は石工の佐々原一夫さん。狛犬の台座に記されています」と齋藤さん。
 

狛犬の台座に彫られた「石工 佐々原一夫」の文字▲台座に彫られた「石工 佐々原一夫」の文字。石は札幌軟石
 

齋藤さんによると、佐々原さんは石工ではあるが狛犬専門ではなく、故郷の神社の狛犬を思い出しながら彫ったのではないか、とのこと。
 
齋藤さんは「笑った顔につくったのではなく、口を開けた表情がたまたま笑っているように見えるのではないでしょうか」と話します。
 
狛犬は左右で「阿吽(あうん)」として一対が基本です。阿吽とは「阿吽の呼吸」の阿吽のこと。「あ」と口をあけているのが「阿」、「うん」と口を閉じているのが「吽」。
 
一般的な狛犬には性別はないそうですが、江部乙神社の狛犬は、西参道から見て向かって左が「阿」でメス、右が「吽」でオス。
 
どこで見分けるかというと…
 

江部乙神社の「阿」のメス▲「阿」のメス。腰が少しくびれています
 

江部乙神社の「吽」のオス▲「吽」のオス。背中がまっすぐでたくましいスタイル
 

江部乙神社の「吽」のオス▲そして、オスにはちゃんとしるしが!
 

石工の佐々原さんの遊び心か、それとも故郷にこのような狛犬があったのか、定かではありませんが、100年以上経った令和の感覚で言うならオリジナルでクリエイティブ!どこにもない独創性が、他の狛犬との差別化になっている!
 
…という感じですね。

 

笑う門には福来る、福を呼ぶ笑う狛犬

お待たせしました、それでは江部乙神社の笑う狛犬に登場してもらいましょう。
 

江部乙神社の笑う狛犬▲はい、私が笑う狛犬です
 

西参道から見ると向かって左側です。
 

江部乙神社と笑う狛犬
 

「にっこり」でも「にやり」でも「にんまり」でもなく。「にぱ~っ」という表現がぴったりな表情。
 
とても愛嬌があり、じーっと見ていると、つられてこちらの口元もついつい、にぱ~っ。
 
そして、「いやいや、めんこいいね~」と頭をなでなで。
 
「笑う門には福来ると言いますが、福を呼ぶ狛犬なんですよ」と、教えてくれたのは齋藤さんの奥さんの静香さん。
 
さらに、「うちの狛犬は、特にオス・メスで一対なっていることから、縁結びのご利益もあります」とのこと。
 
縁結びは大事です!
 
 

相方の「吽」は、ふんだりけったり?

オスの「吽」の方に注目してみると、これが、話を聞くとふんだりけったり。
 

江部乙神社の「阿」▲にぱ~っとはしていませんが、口を閉じて微笑んでいる僕が「阿」の相方の「吽」です
 

「阿」が日の当たる開けた場所にあるのに対して、「吽」は大きなオンコの木が近くにあり、伸びた枝葉が頭上を覆っていました。
 
そのせいか、「阿」に比べると少し色白。
 
また、よーく見ると、「吽」の鼻に何やら細工の跡が…。
 

江部乙神社の「吽」アップ

 
これは、昔狛犬によじのぼって遊ぶ子どもがいて、勢いで台座から狛犬ごと転げ落ちてしまい、鼻がもげてしまった、というもの。
 
やがてその子供が大人になり、ある時神社の草刈りを手伝っていたら、石を見つけ、それがもげた鼻だった、という話があるそうです。
 
またある時、「吽」のすぐ後ろにあった木が倒れて、なんと尻尾が折れた!
 
これは、妹背牛(もせうし)町の佐々原石材店に修理をお願いしたそう。

佐々原石材店?佐々原?

そうです!佐々原石材店は、狛犬をつくった佐々原一夫さんのお弟子さんが営んでいる店。

「修理をした石工さんが『100年以上前に初代の佐々原一夫さんが手掛けた狛犬を、いま、自分が修理しているなんて本当に縁を感じます』と感慨深げでした」と齋藤さんは話してくれました。

 

ヤマハ、ホンダ、スズキ、カワサキ、
この共通点は?

創建時から地元の人たちの心のよりどころとして親しまれてきた神社ですが、この「笑う狛犬」については、地元の人はほとんど気にしていなかったそうです。
 
この神社で生まれ育った6代目宮司の齋藤さんも、毎日当たり前に見ていたものなので、笑っているとか、他の狛犬と違うとか、全く意識したことはなかったとか。
 

江部乙神社と宮司の齋藤さん▲「他と違うとか、考えたこともなかったです」と齋藤さん
 

2007(平成19)年に出版された「ほっかいどうの狛犬」(丸浦正弘著/中西出版)で取り上げられてから、地元よりも他所からにわかに騒がしくなってきたそうです。

 
江部乙神社のお守り▲江部乙神社のお守り。左(阿・メス)が開運招福、右(吽・オス)が心願成就

 
笑う狛犬に会いたいと、遠方から来る人も増えてきました。
 
2013(平成25)年から、「福が来ますように」と狛犬をデザインしたお守りを出したところ、じわじわと人気に。
 
当初は、赤・紫・黒の3色でしたが、滝川市が菜の花で有名なことから黄色を増やし、「吽(オス)」の白をつくりました。
 

江部乙神社のお守り、黄色と白▲「阿吽のペアで受けていく方が多いです」と齋藤さん
 

たきかわ菜の花まつり▲毎年5月に「たきかわ菜の花まつり」が開催されます。会場は江部乙
※写真:滝川観光協会
 

そして、ある時取材に来たバイク雑誌の記者が「緑と青を増やしませんか?」と提案。
 
 
江部乙神社の狛犬がデザインされたお守りは全部で5色▲狛犬がデザインされたお守りは全部で7色ですが、青と緑はライダー限定。通常出している5色は、国民的5人組アイドルグループにもあやかっているとか
 
 
青=ヤマハ
赤=ホンダ
黄=スズキ
緑=カワサキ
 
で、国内4大メーカーのイメージカラーになり、北海道をツーリングするライダーに喜ばれるから、ということでした。
 
ちなみに、
 
黒=ハーレー
 
…だそうです。
 
青と緑は、バイクや自転車で道内をツーリングする人限定なので、通常は出していないそうですが、「ありますか?」と尋ねたら、もちろん出してくれます。
 
そして、御朱印を集めている人には、こちらを。
 

江部乙神社の御朱印▲江部乙神社の御朱印
 

江部乙神社の御朱印の狛犬▲狛犬が並んでいます
 

狛犬には厄除けのご利益もあり、悪いものから守ってくれるとも言われているので、江部乙神社のお守りで厄を払いたいですね。
 
 

おまけ~笠をかぶった笑う狛犬

1910(明治43)年につくられた狛犬は、今年(2019年)で109歳。
 
100年を超えている割には保存状態がよく、きれいに保たれています。
 
しかし、近年の集中豪雨などの影響で、狛犬の頭に小さな穴があいてきているので、雨が降ると笠をかぶせるようにしているのだとか。

 
傘をかぶった笑う狛犬▲笠をかぶった笑う狛犬。雨降りに行くと、この姿を見ることができます
 

江部乙神社の傘をかぶった吽▲相方も笠をかぶります
 

取材時は晴れていましたが、特別に笠をかぶってもらいました。

 
宮司の齋藤さんと奥さんの静香さん▲宮司の齋藤さんと奥さんの静香さん。取材中、お二人の阿吽の呼吸を何度も見せてもらいました!

 
齋藤さんは「うちは狛犬しかないので…」と謙遜します。
 
しかし、他にはない「笑う狛犬」のおかげで、遠方からお参りに来たり、ツーリング途中のライダーたちが安全祈願をしたり、また、地元の人の参拝も増えたりと、「心のよりどころ」として126年の歴史を重ねてきた江部乙神社の姿は、創建時と変わりないはずです。
 
決してきらびやかな神社ではありませんが、訪ねると、ほっこりと優しい気持ちになれるのは、笑う狛犬パワーのおかげかもしれません。
 
毎年9月7日は江部乙神社の例大祭です。
 
地元の神輿会が担ぐ御神輿が出て、飛び入り参加もOKとのことなので、機会があればぜひ立ち寄ってみてください。
笑う狛犬を見たら、なんだか心がほっこりしますから。
 
神社正面は南参道ですが、狛犬がいるのは西参道です.

 

関連リンク

北海道神社庁公式ホームページ
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