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公開 | 佐々木葉子

情熱の仕事人。ケ・セラ・セラで、青ちゃんワールドを拡散。フードプロデューサー「青山則靖」

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白いコックコートに青いタイとハンチング。キラキラ輝く瞳に、口角があがった人懐こい笑顔。道産子が親しみを込めて「青ちゃん」と呼ぶフードプロデューサー青山則靖さん。

料理の先生、北海道の食材のプロモーター、ある時は冬山を駆けるハンター。ひとつのフィールドにおさまることなく、おもしろそうなことがあれば顔を出し、ケ・セラ・セラ~なるようになるさ~と、青ちゃんワールドを拡散してきた、その核心に迫ります!

最後には、焼かずに仕上げる「青ちゃん流 エゾシカ モモ肉のロースト」の作り方も掲載していますよ。

 

「自分にしかできないことをやれ」、
「個人で生きろ」

子どもの頃から手先が器用で、モノづくりが大好きだったという青山さん(以下、青ちゃん)。高校は、2年生から芸術科美術コースに進むことができる、札幌市内の公立校に進学しました。

「美術コースには第二外国語があって、僕はフランス語を選んだんですね。そのフランス語の先生と出会わなかったら、今の僕はない。それくらいのインパクト、影響を受けました」。

会社勤めの経験がなく、自分の力で生きてきたと語るその先生は、高校生にとっては見たことのない異色の存在。

「自分にしかできないことをやりなさい。組織に安住するのではなく、個人で生きろ。そんなことを言われ、目からウロコでした(笑)」。


▲青山則靖さん:1973年生まれ、帯広市出身。飲食店勤務を経て、2006年「キッチンサポート青」を開業し、代表に就任。メニュー開発、レシピ製作、料理教室など、幅広く飲食に携わる事業を展開している▲青山則靖さん:1973年生まれ、帯広市出身。飲食店勤務を経て、2006年「キッチンサポート青」を開業し、代表に就任。メニュー開発、レシピ製作、料理教室など、幅広く飲食に携わる事業を展開している


「頭の中にあるモノやコトは、イラストにするとストンと整理される。そんな性格だった」という青ちゃんは、その先生に刺激され、「そうだ、美大へ行こう!」と決心。すぐに美大受験専門の予備校に通い始め、デッサンを特訓します。

そのことを知った先生から、「ちゃんとやりたいなら、最高峰を目指せ」とゲキを飛ばされた青ちゃんは、第一志望を東京藝術大学に設定します。


▲「先生から『毎月美術館に行って絵を見ているか』と問われれば美術館へ通うなど、美大一直線モードになりました」▲「先生から『毎月美術館に行って絵を見ているか』と問われれば美術館へ通うなど、美大一直線モードになりました」


「記念受験みたいなことだけはしたくない」と必死で努力したにもかかわらず、結果は不合格。あきらめきれずに、道内の美術を専攻できる大学を受験しようとしたものの、時機が合わず、受験もできず。行き場のない春を迎えます。

 

シェフでもオーナーでもない、
第三の道はないのか

高校時代、飲食店で調理補助のバイトをしていた青ちゃん。その経験から、ビヤホールや商業施設でキッチンに立ちますが、通信の大学でもいいから、美術をやりたいという気持ちがくすぶったままでした。

仕事が休みになれば、「札幌芸術の森」の工房で陶芸作品を作る日々。前の職場の先輩に連れて行ってもらったお店にふらりと立ち寄ったのが、運の始まり。初めて見るオーナー兼調理人の采配の自由さに、憧れを抱くようになります。

「そのお店で働かせてもらい、4年間、和食をびっちり学びました。本当の意味での修業時代です。その後、ビヤホールに出戻りまして、ちゃんと調理する気がないスタッフでも、一定のクオリティの料理を出せるようにと、頭を使いだしたんですね(笑)」。

その表れが、この写真です。ビヤホールの主要メニューの作り方を、自作のイラストで図解。イラストだけでは伝えきれないものは、写真まで撮ってファイリングしました。


▲几帳面に閉じられたブックには、レシピが10品以上。美大目指して培ったデッサン力が生かされています▲几帳面に閉じられたブックには、レシピが10品以上。美大目指して培ったデッサン力が生かされています


「30歳で独立」をこっそり目論んでいた青ちゃん。店を出すには、信頼される職歴が必要と諭され、全国チェーンの飲食店に就職。「ここで出店計画、長期収支計画の立て方などを学び、経理やオペレーションの基礎を身に付けました」。


▲当時の青ちゃんの肩書は、調理長。同僚だった幼なじみは、今も折にふれ、青ちゃんのサポートをしてくれているそう▲当時の青ちゃんの肩書は、調理長。同僚だった幼なじみは、今も折にふれ、青ちゃんのサポートをしてくれているそう


「シェフとオーナー、それぞれの仕事を見た末に思ったんです。どちらでもない、第三の道はないのかと。ここからが第三部ですね(笑)」。

 

自分も楽しみながら、
送り手や受け手に気を配る

30歳を過ぎた2006年、青ちゃんは「キッチンサポート青」を設立。料理教室、出張料理、レシピ開発などで走り回る一方、レギュラーのテレビ番組や新聞シリーズ企画も持つようになります。

「イロハのイ、基本のキを教える内容にしたい」という青ちゃんの意向で始まったテレビ番組は、視聴者のニーズにぴたりとはまり、WEB上にも配信したある回の動画は150万アクセスをたたき出すなど、数字を稼げる存在としても注目されていきます。


▲青ちゃんのアトリエには、イラスト付きのレシピを書いたノートがたくさん!▲青ちゃんのアトリエには、イラスト付きのレシピを書いたノートがたくさん!


特に指名が多いのが、クッキングショーです。「クッキングショーは、しゃべりができることが重宝され、呼ばれたんですね、最初は。でも、僕としてはそれだけじゃ申し訳ないというか、おもしろくない。見せ方、伝え方をいろいろ工夫しました」。

現場であわてないように些細な道具も持参したり、絶妙なタイミングで参加者全員に試食が行き渡るように準備をしたり。ショーが終われば、主催者が手を出す隙もないくらい、後片付けをきっちりしたり。相手の立場に立った気遣いを、これでもかと盛り込んだ仕事ぶりです。


▲「ショーでは、後ろの参加者にも見えるように、モニタに手元を映し出しています」と青ちゃん▲「ショーでは、後ろの参加者にも見えるように、モニタに手元を映し出しています」と青ちゃん


▲座学がメインの講義では、ホワイトボードを使ってポイントをわかりやすく伝えます▲座学がメインの講義では、ホワイトボードを使ってポイントをわかりやすく伝えます


7、8年前からはエゾシカ肉のレシピ開発なども担当。「父が狩猟をやっていたので、子どもの頃からシカ肉を普通に食べていました。だから、お話をいただいた時はうれしかったですね」。

4年前には狩猟免許も取得。自ら山に入り、鹿を狙います。将来は、エゾシカ肉を豚・牛・鶏肉のように、テーブルミートとして味わえる店をやってみたいというくらい、エゾシカが好きと語ります。

 

焼かないで仕上げる!?
「エゾシカ モモ肉のロースト」

「僕のレシピは、調理工程の再構築」と語る青ちゃん。その真骨頂が、焼かないで仕上げるローストの作り方です。


▲「僕はローストとは、”肉の芯の温度を65度に仕上げること”と定義しました。それがゴールと設定すれば、そこに至るプロセスにおいて、必ずしもあぶり焼きをする必要はないのではないか!」と、青ちゃん▲「僕はローストとは、”肉の芯の温度を65度に仕上げること”と定義しました。それがゴールと設定すれば、そこに至るプロセスにおいて、必ずしもあぶり焼きをする必要はないのではないか!」と、青ちゃん


材料は、
①エゾシカ モモ肉ブロック 300g~500g
②塩・こしょう 適量
③玉ねぎ(すりおろす) 1/3個分、にんにく 1片、しょう油・酢・油 各大さじ2
です。


▲エゾシカ肉は、味が濃く、深いところが特徴。「特にモモ肉は、赤身好きにもってこい」と、青ちゃんの太鼓判▲エゾシカ肉は、味が濃く、深いところが特徴。「特にモモ肉は、赤身好きにもってこい」と、青ちゃんの太鼓判


では、ここからは作り方です。

(1)肉に塩・こしょうを振る。フライパンに油(分量外)を熱し、強火で全体に色が付くまで焼く。

(2)肉を取り出し、キッチンペーパーで油をふき取り、食品保存用ジッパー付き袋に入れる。


▲焼き目はこれくらいでOK!▲焼き目はこれくらいでOK!


(3)大き目の鍋に水を8割程度入れ、沸かす。沸騰したら火を止めて、満杯になるまで水を加える。

「これで、約80度の湯が完成します。鍋いっぱいに水を入れて、80度になるまで沸かす、というより、簡単でしょ」と青ちゃん。心遣いがにくい!

(4)(3)の鍋に(2)を入れる(この時、ジッパーの口は開けたまま)。袋の中の空気が水圧で抜けたら、ジッパーの口を閉じて30分以上放置。


▲空気が抜けた状態。袋が縮んでいるのがわかりますね。青ちゃんが言うには、こうして湯に30分以上入れておけば、肉の芯まで火が通るそう▲空気が抜けた状態。袋が縮んでいるのがわかりますね。青ちゃんが言うには、こうして湯に30分以上入れておけば、肉の芯まで火が通るそう


(5)この間にソース作り!鍋に、玉ねぎ、にんにく、しょう油、酢を入れ、弱火で加熱。沸騰したら火を止め、油を加える。

(6)鍋から袋ごと肉を取りだし、キッチンペーパーで余計な水分を拭き取った肉を2~3mmの厚さに切り分ける。
 

▲肉とお好みの野菜を皿に盛り付け、ソースを添えれば完成!▲肉とお好みの野菜を皿に盛り付け、ソースを添えれば完成!


特別に、イラスト付きレシピも公開です!
 

▲「この調理法は、牛モモ肉でもおいしくできますよ」と青ちゃん▲「この調理法は、牛モモ肉でもおいしくできますよ」と青ちゃん


昨年夏には、青ちゃんのエッセンスがたっぷりつまった『青ちゃんの解決レシピ 今さら聞けない料理の基本』(エイチエス)も出版。料理の基本のキを、43の定番料理レシピで紹介しています。

 
▲書店の他、アマゾンなどのオンラインショップでも取り扱っています(1,、404円)▲書店の他、アマゾンなどのオンラインショップでも取り扱っています(1,404円)


フランスの有名な美食家ブリア・サヴァランが、「何を食べてきたかで、どんな人間なのかがわかる」と言ったように、レシピにもそれを作った人の人柄が出るはずです。青ちゃんのレシピが自由で、だれにでも優しいのは、青ちゃんがそうだから。

唯一無二のフードプロデューサー、青ちゃん。きょうは、どこでケ・セラ・セラしているでしょう?
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