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公開 | 大宮 あゆみ

品種いろいろ!道産タマネギはこう選ぶ




食文化の違いはあれど、世界中の食卓に欠かせないタマネギ。原産地は中央アジアという説が有力で、紀元前から飽きることなく人々の食生活を支えている野菜です。日本に入ってきたのは江戸時代と言われ、本格的に栽培が始まったのは明治時代になってから。以来、栽培適地である北海道では各地で作付けがひろがり、生産量全国ナンバーワンの誇りをもって日本の食卓を守り続けています。
一言でタマネギと言っても、今や品種のバリエーションが豊富。調理法やメニュー、機能成分などを考えて品種を選べる時代になりました。使い勝手の良いオールラウンダーな品種から一度は味わってみたいプレミアムなものなど、気になる北海道産のタマネギをいくつか紹介します。
たかがタマネギ、されどタマネギ。品種によるタマネギの違いを味わってみませんか。

 

イエロー系

タマネギ生産量全道一の北見地方に広がる『北もみじ2000』のタマネギ畑▲タマネギ生産量全道一の北見地方に広がる『北もみじ2000』のタマネギ畑


『北もみじ2000』
一般的なイエロー系(黄色い皮)のタマネギ。タマネギ界のスーパースターと呼ばれている『スーパー北もみじ』をさらに改良した品種。貯蔵性が極めて高く越冬させて春まで出回っています。加熱すると糖度が上がり風味がよくなるスーパー北もみじの特性を受け継ぎ、加熱調理用に適しています。

『オホーツク222』
『北もみじ2000』同様に一般的なイエロー系の品種。早い時期に収穫できる早生(わせ)のタイプで、貯蔵性もよく年明け2月ごろまで出回ります。作付け面積は北海道で最も多く一般家庭には馴染みのあるタマネギと言っていいでしょう。加熱調理用に向いています。

 

レッド系

赤と白のコントラストが鮮やかなレッド系タマネギ。サラダなど生食向けが多い▲赤と白のコントラストが鮮やかなレッド系タマネギ。サラダなど生食向けが多い


『レッドアイアーリー』
8月に収穫できる赤タマネギ。歯切れよく瑞々しい食感でリングのコントラストがキレイな品種です。同じ系統で年明けまで貯蔵可能な晩生(おくて)品種の『レッドアイ』も人気です。
 

ホワイト系

珍しい外皮も白いタマネギ『真白』。果肉は柔らかくジューシー。栽培法にもこだわる『真白』は北見地方のごく一部でしか生産されていない▲珍しい外皮も白いタマネギ『真白』。果肉は柔らかくジューシー。栽培法にもこだわる『真白』は北見地方のごく一部でしか生産されていない


『真白(ましろ)』
タマネギの一大産地北見地方の限られた生産者でのみ作られている白いタマネギ『真白』。世界遺産知床羅臼の海洋深層水を使い、手間暇をかけて育てています。辛みが少なく生でかじっても瑞々しくさわやか。水にさらす必要もないのでサラダに適しています。
 

機能性で選ぶ

『さらさらゴールド&さらさらレッド』
北海道Likersでも紹介した栗山町のタマネギ博士・岡本大作さんが作った品種。タマネギの機能成分で最も重要視されている血液サラサラ効果をもたらすとされる成分「ケルセチン」が、従来の品種と比べると1.5~3倍も含まれているという機能性の高い品種です。レッド系の『さらさらレッド』は栗山町、イエロー系の『さらさらゴールド』は主に北見地方で生産されています。ケルセチンは加熱にも耐えるので加熱して本来の風味をじっくり引き出すといいでしょう。『さらさらレッド』は生食に適しており、水にさらさず酢やオイルなどで和えると辛みが和らぐうえ機能成分も十分摂取できます。


「食べたら健康になる」と言われているタマネギ。高い機能成分を意識して開発された▲「食べたら健康になる」と言われているタマネギ。高い機能成分を意識して開発された
 
 
『Dr.ピルシー』
タマネギの辛さの指標となる「ピルビン酸」の生成量が少ないので生食に適しています。肉厚で歯切れがよく食感がすぐれるのでマリネやピクルスがおすすめ。もちろん、炒め物など加熱調理にもどうぞ。


辛み成分の生成量が少ない品種。肉厚で白さが際立つ特性を生かしみじん切りをドレッシングやソースに使うのもおすすめ▲辛み成分の生成量が少ない品種。肉厚で白さが際立つ特性を生かしみじん切りをドレッシングやソースに使うのもおすすめ

 

一度は食べてみたい!プレミアムなタマネギ

『札幌黄』
一時は「幻のタマネギ」と言われた品種。明治初期にアメリカから持ち込まれた『イエロー・グローブ・ダンバース』という品種を札幌の気候風土に合わせて改良したという説が有力です。この『札幌黄』はその後全道各地に紹介され『富良野黄』『北見黄』など産地の名前を付けて長く親しまれてきました。
生産量が拡大される過程で、病害虫に強く収穫量が多く形も揃うF1種子(一代交配種)が誕生。育てやすさからほとんどの生産者はF1品種を作付けするようになりました。『札幌黄』は栽培したタマネギからタネをとり次世代を育てるという在来種であることも、生産者にとっては大きなハードルだったのです。
近年、伝統的な栽培法を継承する在来種が見直されるようになりスローフード協会の「味の箱舟」にも認定されるなど注目を集め栽培が復活してきました。この肉厚で柔らかく加熱すると糖度が高くなる『札幌黄』の特性を受け継ぎ、育てやすいように改良された『さつおう』も人気です。
 

種まきから発芽しタマネギになり、そのタマネギが2年目にネギ坊主を作りタネがとれる。2年越しでタネを自家採取し次世代を作る在来種の「札幌黄」。『さつおう』は『札幌黄』を栽培しやすく改良した品種▲種まきから発芽しタマネギになり、そのタマネギが2年目にネギ坊主を作りタネがとれる。2年越しでタネを自家採取し次世代を作る在来種の「札幌黄」。『さつおう』は『札幌黄』を栽培しやすく改良した品種


『スマイルボール』
前出のタマネギ博士岡本大作さんとハウス食品がコラボして開発した注目の品種。そもそも辛みを作る酵素を持っていない、かつて世界になかった新たなカテゴリーの品種といえそうです。辛みがないので生食でも水にさらす必要はなく、みじん切りにしても涙も出ません。これまで思いもつかなかったタマネギのレシピが誕生するかもしれません。
 

辛くないタマネギ。タマネギの概念がかわるかも▲辛くないタマネギ。タマネギの概念がかわるかも


『えったま333』
伊達市で栽培されている『えったま333』。このタマネギの特徴は、秋に畑にタネをまき発芽後に幼苗の状態で冬をむかえ、そのまま越冬して翌年夏に収穫をする秋まきのタマネギであること。平均して約11か月もの長い間、畑でじっくりと土の養分を摂取しながら育ちます。これだけの長期間をかけて育てるタマネギは北海道広しと言えどほかにはありません。名前の「えったま」は越冬タマネギ、「333」は365日のうち333日かけて育てるという独特の栽培スタイルを表現しています。春まきの一般的なタマネギと比較するとビタミンCの含有量が多く抗酸化力も高いことがわかりました。とってもスロウなタマネギ、一度味わってみたいですね。


積雪のある北海道では珍しい秋まきタマネギ。成長段階で冬をむかえ、雪の下で成長を続ける。翌年夏の収穫期まで時間をかけて育つ▲積雪のある北海道では珍しい秋まきタマネギ。成長段階で冬をむかえ、雪の下で成長を続ける。翌年夏の収穫期まで時間をかけて育つ


いかがでしたか?普段何気なく使っているタマネギですが、近年は消費者目線で選べる品種のバリエーションが増えてきました。加熱用、生食用、新タマネギの瑞々しくシャキッとした食感やしっかり貯蔵したあとの滋味深さなど食べる時期によっても味わいが異なる北海道のタマネギ。夏から秋にかけて品種をリレーしながら収穫期をむかえ、収穫後全国へ旅をして皆さんの食卓にあがっています。主役を引き立てる脇役としての仕事が多いタマネギですが時にはタマネギの個性を見つめ直すのも楽しいかもしれません。

画像提供/JAきたみらい、(株)植物育種研究所、タキイ種苗(株)、札幌市農業支援センター、伊達市経済環境部農務課

取材・文/HokkaidoLikersライター 大宮あゆみ(野菜ソムリエプロ)
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