
札幌から南東へ車で約40分、新千歳空港からは30分ほどに位置する農業のまち長沼町界隈をドライブしているとちょこちょこ見かけるこの看板。赤字丼?よくわからないけどめちゃコスパ良さそう!で?どこ?看板には住所はおろか店名すら表記されていない。謎です。
どうやら長沼町で人気の天丼のことらしいとの情報は得たものの、火曜と土曜日曜は定休日だというのでなかなかチャンスに恵まれず、気になり始めてから十数年が過ぎようとしていました。一体いつになったらありつけるのだろう。気になりすぎる赤字丼、とうとうその雄姿を拝むことができたのでした。

場所は長沼町の中心部、長沼町立病院の駐車場に面した飲食店街の一角。確かに看板には「町立長沼病院前」と書いてありました(笑)。

仕出し・宴会・食事の店いわき。なるほど!仕出し屋が本業だから、レストラン部門は顧客サービスの一環として営業していたのですね。平日のみの営業というのも納得です。


常務取締役の岩城竜一さんに話を伺いました。
あの~、看板に店名も住所も表記されていませんが、これは…?
「病院の前って書いておけば皆さん来れるかなと思いまして!」
面白すぎます!で、赤字丼、すごく気になるのですが…?
「でしょ?大きな海老天を5本です!ハイッ!豪快でしょ?」
確かにインパクト凄いですね!食べきれるかな?
「僕は無理です。3本まで(笑)」
でもあんまり人気になっちゃうと赤字が膨らむ一方なんてことにはならないのですか?という野暮な問いには
「大丈夫です!気持ちは赤字、ってことで(笑)」
岩城常務、とても楽しく太っ腹なお人柄です。

さて、この赤字丼。見ての通り、丼に収まりきらない長さ20㎝ほどの海老天が5本どかーんと乗っている海老天丼(1350円)。地元長沼産のお米「ほしのゆめ」と「ゆめぴりか」をブレンドして炊いたご飯は、海老天が豪快すぎてもはや見ることができません。
海老天にかけるタレももちろん自家製。しょうゆベースで甘辛く山椒の風味がピリッといいアクセントになっています。食欲をそそる味付けのこのタレは販売もされています。
町外から訪れる人の多くはこの赤字丼が目当て。台湾で発行されている北海道のガイドブックにも掲載されているとかで、ここ数年は台湾からの観光客が急増中なのだそう。お盆や平日の祝日などは1日200杯でることもあるという赤字丼、未体験というひとはぜひ一度チャレンジを!
黒字丼や白字丼もあった!
メニューには赤字丼のほかに、黒字丼と白字丼なるものがありました。

どの丼もボリューム感だけではなく、揚げ方や焼き方、味付けなど全ての要素が基本に忠実でさすがに仕出し屋の仕事だなと感心しきり。地元長沼町民ならだれでも知っているという人気ぶりだというのもうなずけます。
国道274号、道道3号札幌夕張線、道道45号恵庭栗山線沿いの謎の看板の正体は、サービス精神旺盛でお客を飽きさせない老舗仕出し屋が考案したサプライズ丼なのでした。
いわき
長沼町南1丁目6-30
電話 0123-88-0122
営業日 月、水、木、金曜日
営業時間11:00~15:00
取材・文/HokkaidoLikersライター 大宮あゆみ
記事で紹介したスポット
Writer