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公開 | 小砂 志津子

ビルに囲まれた「赤れんが庁舎」の前庭でのんびり

赤れんが庁舎とヤエザクラ

札幌にもいよいよ春が到来!緑が一斉に芽吹き、中心部にも北国の花が咲き誇る気持ちの良い季節がはじまります。大通公園のライラックや花壇もおすすめですが、「赤れんが庁舎」の前庭もぜひ訪れてほしいスポット。春は桜、夏はポプラの綿毛に池に咲く睡蓮、秋は紅葉など、季節ごとの美しさが感じられる場所です。

 

中心部のにぎやかさとは対照的な、なごやかな雰囲気

札幌駅から歩いて7分の場所にある北海道を代表する観光スポット「赤れんが庁舎」。明治21年に建てられたレンガの外装がそのまま残る荘厳的な雰囲気で、開拓使時代の歴史を今に伝える国の重要文化財です。


前庭の池▲池、橋、シダレヤナギで日本庭園の形を成している場所も


通路(アプローチ)の両側に広がる前庭には、北海道に自生する木などが112種1,300本ほど植えられており、庭の中はまるで小さな森といった趣き。池のまわりではマガモが毛づくろいする姿などが見られ、あたり一帯がなごやかな空気に包まれています。

至る所にベンチがあるので、ひと息つきたい時、ただただぼーっとしたい時に行くのもおすすめです。
観光で「赤れんが庁舎」に行った際には、ちょっと足を止めて前庭で深呼吸してみてください。札幌のさわやかな空気を全身で感じられると思います。

 

外側に広がる自然のグラデーション

前庭の特徴としてあげられのが、手前から奥に行くにしたがってより自然に近い状態になっていくということ。
庁舎の目の前にある花壇やツツジなどの低木が植えられている部分は、ていねいに手入れがされており、きれいな花々で訪れる人にウェルカムな雰囲気を演出。
一方、樹木が立ち並びふたつの池がある左右の庭は、必要最低限の手入れのみを行い、樹木のサイクルを生かしたより自然に近い状態となっているそうです。


前庭MAP▲庁舎の前には花壇や園芸樹、南側と北側にある池のまわりにたくさんの樹木が植えられている


今回話をお伺いした北海道庁総務部総務課によると、庭の一番奥、つまりビル街に一番近い柵のすぐ内側が歩いていてさまざまな発見があって面白いのだとか。
庭の奥は木が生い茂った小さな森のような空間。落ち葉や木の種、秋にはクルミやトチの実を見つけることができそうです。
ビル街に一番近いところが自然豊かというのはおもしろいですね。
ちなみに、一般の私たちも庭の奥まで入っていくことができます。時間があればぜひ散策してみてくださいね。


通路側から見た赤れんが庁舎▲柵の外側から見た前庭と赤れんが庁舎。夏は緑に覆われて庁舎の大半が隠れる

 

5月中旬まで桜の見ごろが続く

札幌の桜は4月下旬に色づき始め、毎年5月のゴールデンウィークにピークを迎えますが、道庁の前庭の桜は5月中旬まで見ごろが続きます。4月下旬にはエゾヤマザクラのうすいピンク色の花が庭を彩り、5月上旬からは、ふんわりとした花のヤエザクラが庭をピンク色に染めます。
道庁前庭の桜の開花情報はこちらでチェックできます。ぜひのぞいていみてくださいね。


カスミザクラとヤエザクラ▲通路沿いに植えられたエゾヤマザクラとヤエザクラ。ピンクの対比が美しい(写真提供:北海道庁総務部総務課)

 
赤れんが庁舎の通路沿いに多く植えられているのがこのヤエザクラ。少し濃いピンクでふっくらとした花が、庁舎の厳かな雰囲気にやさしい存在感を与えています。


ヤエザクラの花▲ふんわりとボリューム感のあるヤエザクラの花(写真提供:北海道庁総務部総務課)


池とエゾヤマザクラ▲池の水面に映るエゾヤマザクラ(写真提供:北海道庁総務部総務課)

 
正面玄関前の花壇▲5月中旬から下旬にチューリップ、ライラック、ツツジの花が一斉に咲く。花壇の花は6月下旬から10月頃まで見られる

 

初夏に積るふわふわの雪の正体

新緑の季節、6月に入ると、池には睡蓮の花が鮮やかに咲き、札幌でもっとも気持ちの良い時期を迎えます。
6月中旬から7月にかけて、札幌の街なかに、白い綿毛がフワフワと飛んでいるのをご存知でしょうか。
こちらはポプラの綿毛で札幌の初夏の風物詩として知られています。ポプラの種は綿毛に包まれて風に乗って飛んでいくようで、6月の赤れんが庁舎の前庭には、地面がびっしりと白い綿毛に覆われます。


ポプラの綿毛▲ポプラの綿毛のじゅうたんは、南側の池の奥でよく見られる


池に咲くハスの花▲鮮やかなピンク色の睡蓮の花。6月から8月の2ヶ月間が見ごろ

 

北の池と南の池

通路の左右に広がる「南の池」と「北の池」。マガモの親子やオシドリが見られ、のんびりとした雰囲気が魅力です。
池はもともと豊平川の伏流水(メム)が水源で、札幌農学校の教授をしていた新渡戸稲造が、明治24年の冬にスケートを教えたという話も残っているそうです。
明治43年の火災後には、防火用水としての役割を担っていたことでも知られています。


カモの親子▲毎年見られるマガモの親子。ふわふわの産毛がかわいい


オシドリ▲赤れんが庁舎が映る水面の上を泳ぐオシドリ

 

開拓使時代の果樹園が前身

約2万㎡の敷地に、112種1,300本ほどの樹木が植えられている前庭。その歴史は、明治初めの開拓使が設置されたころまでさかのぼります。
明治6年に、開拓使札幌本庁舎(北海道庁ができる以前の開拓使時代の庁舎)ができ、前庭では外国から取り寄せたという梨、桃、リンゴ、ブドウなどの試験栽培がおこなわれていました。

明治21年に北海道庁官制となり「赤れんが庁舎」が完成すると試験栽培の果樹は移され、今の庭の原型となる樹木が植えられたそうです。試験林や見本林として植えられたものもあるようですが、130年の時の流れの中で風化が進んだり、自然発生的に木が育ったリ、記念植樹をした木が入り交じるなどして現在の庭を形成しています。

ちなみに、1,300本の樹の中で、幹が一番太いのは、北側にあるポプラの木で、幹の大きさは134㎝ほどあるそうです。樹高は約30mほど。庭の中でも、ひと際大きな存在感を放っています。


水面に映る赤レれんが庁舎▲紅葉時期は情緒的な異国の雰囲気が一層強まる

 

一年を通じて行われる庭の手入れ

明治時代に植えられた樹木などで形成されている赤れんが庁舎の前庭。
平日の日中に訪れると、庭の手入れをしている人々に出会うことがあります。のんびりと穏やかな時間を過ごすことができるのもこの方たちのおかげです。
芝刈り、花壇の手入れ、池の睡蓮の間引きなどの作業を担当しています。

紅葉時期は週に一度は落ち葉を回収。10月下旬から12月上旬の間だけで約8トンもの落葉を回収しているそうです。落ち葉が自然の土に還るのに10年ほどかかるため、きれいな庭を保つためには、膨大な落葉を回収する必要があるのだとか。
紅葉の時期が終わる11月には、ツツジなどの低木の雪囲い、来春に咲くチューリップの球根を花壇に植えて、冬を迎える準備が整います。


雪囲い▲4月上旬の取材時には雪囲いの撤去作業を行っていた

 

札幌の甘い空気が感じられる場所

赤レンガ庁舎の前庭は札幌の自然が凝縮したような小さな森。一歩足を踏み入れるだけで、おだやかな気持ちにさせてくれます。
桜の季節が終わると、その後は生命力がいっせいにあふれ出すかのように新緑が芽吹き、いろいろな花が咲いて街なかは甘い香りに包まれます。札幌を訪れた際には、ちょっとひと息ついて前庭の甘い空気を思いっきり味わってみてくださいね。
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