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公開 | チバタカコ

サッポロカイギュウは世界最古。「札幌市博物館活動センター」  

札幌市博物館活動センター

小金湯の豊平川からサッポロカイギュウ、クジラの化石が発掘される札幌市。札幌市民の皆さん、市内の鉄道や道路、商業地、住居の分布が、実は札幌の地質や地形、自然を考慮したうえにつくられているって、知っていましたか?

 

札幌に博物館をつくるための活動拠点として

「札幌市博物館活動センター(以下、活動センター)」は、札幌に博物館をつくるための活動拠点として2001年に誕生した札幌市の施設です。開設以来、中央区のリンケージプラザにありましたが、2016年豊平区平岸に移転し、リニューアルオープンしました。
 

札幌市博物館活動センターの看板
 
活動センターでは、主に札幌の大地や自然に関することが紹介されています。1500万年前、今の札幌のあたりはどのような大地だったのか、800年前は、500年前は、というように、太古の昔から現在に至るまでパネルや展示物で紹介されています。
 

札幌市博物館活動センターの展示

その他、札幌周辺に生息する植物や動物が、いつ、どこからやってきたのか、札幌が扇状地であること、その扇状地を利用して札幌の鉄道、道路、居住地、畑などが配置されたことなど、札幌で普通に暮らしていると特別に意識したことがないことも、改めて「なぜならば…」と教えられると、今まで気づかなかった目線で札幌を見ることができるようになります。「いやいや、札幌って実によく考えられた街だわ!」と、ちょっと感動します。

 

世界最古の大型カイギュウ「サッポロカイギュウ」

建物入口を入って真正面が、活動センターの展示室です。まず目に飛び込んでくるのは、展示室の中央にある大型の骨格標本。なんだ?これは!
 
 
サッポロカイギュウの骨格標本▲サッポロカイギュウの復元骨格標本

 
「札幌怪獣」ではありません。これは「サッポロカイギュウ」。実は札幌では、2002年まで大型動物の化石が発見されることはありませんでした。しかし、その年の夏、市内の小学生が豊平川で大きな動物の化石を発見。それが活動センターに持ち込まれ、2003年から本格的に発掘が行われ3年かけて調査した結果、この化石は世界最古の大型カイギュウのものであることがわかりました。それが、活動センターに展示されているサッポロカイギュウです。
 

サッポロカイギュウの発掘の様子▲サッポロカイギュウの発掘の様子
写真提供:札幌市博物館活動センター


サッポロカイギュウの化石ケース▲ケースの中は、実際に豊平川で発掘されたサッポロカイギュウの化石とその姿の模型が展示されいます。この姿は、ジュゴンやマナティーに似ていますね


サッポロカイギュウの骨格標本▲カイギュウは海で生きる哺乳類で、海藻を牛のようにもぐもぐと食べていたことから、海の牛=カイギュウと呼ばれています
 

「今生きているカイギュウの仲間は暖かな海にすむジュゴンやマナティーです。札幌で大型化したカイギュウは大西洋からアリューシャン陸橋を通ってきた冷たい海を好むグループで、250年前まではステラーカイギュウがベーリング海で生きていましたが、人に捕獲されて絶滅してしまいました」
 
「一般的に暖かな海にすむカイギュウの体長は4mくらいなのですが、冷たい海で生きるために体がどんどん大きくなっていきました。今から800万年くらい前に大型化したサッポロカイギュウは、最も古い年代から発掘された7mを超える大型のカイギュウです」と案内してくれたのは、活動センターの学芸員、古沢仁さん。

 
札幌市博物館活動センターの理学博士で古生物学が専門の古沢仁さん▲理学博士で古生物学が専門の古沢仁さん
 

「サッポロカイギュウが発見されたのが2002年、そして2008年には小金湯(札幌市南区、定山渓の手前)でクジラの化石が発見されました。発見したのがお医者さんだったので、『これは何かの動物の肋骨じゃないか?』と判断し、活動センターがサッポロカイギュウを調査したことを知っていたので、ここに持ち込んでくれました。今はそのクジラの調査・研究の真っ最中です」
 
「活動センターができてから、それまで札幌では見つからなかった大型動物の化石が発見され、次いでクジラが見つかるなんて、発見が発見を呼ぶわけではないと思いますが、こういう活動を続けていくことが活動センターの役割だと思っています」(古沢さん談)。

 

小金湯で発見されたクジラは、2~3年ほどで研究成果が発表されます

サッポロカイギュウに続き発見されたクジラは、すでに現地での発掘作業は終了し、活動センターの中に運び込まれています。今は化石のクリーニング作業や細かな調査・研究が、専門家やボランティアたちの手で着々と進んでいるそうです。


小金湯のクジラ化石発掘の様子▲クジラの化石発掘の様子
写真提供:札幌市博物館活動センター
 

小金湯で発掘されたクジラの化石▲展示室には、発掘後きれいにクリーニングされたたクジラの化石の一部(レプリカ)が展示されています
 

小金湯で発掘されたクジラの化石▲発掘されたクジラの化石。これを少しずつ削りながら余計な岩を取り除いていきます
 

小金湯で発掘されたクジラの化石▲クリーニング作業が終わったクジラの化石
 

クジラの化石について説明してくれた古沢さん▲「発掘されたクジラの化石は、頭の3分の1だけで500㎏くらいあるんですよ」と、クジラの化石について説明してくれた古沢さん
 

実はこのクジラ、復元されると全長が15mを超えると考えられているそうです。「今の段階ですが、これは900万年~1000万年前のもので、セミクジラ科ではないかと考えています。今のセミクジラは体長が17mくらいなんですが、小金湯のクジラはもっとサイズが大きいかもしれません。300万年以前には、この大きさはいないと思われていました。そうすると、今回発掘されたクジラは、900万年~1000万年の年代ものでは世界最大の大きさになり、世界的にも大変貴重な発見になります」と古沢さん。
 
札幌の小金湯で発見されたクジラの化石が、世界最大!?しかも世界的な大発見!?…と考えると、ワクワクしてきますね。このクジラの化石の調査・研究の成果が発表されるのが2~3年後らしいので、その時にどのような発表があるのか、今から楽しみです。
 
中央区から豊平区平岸に移転してきた活動センターですが、小学校がすぐ隣にあり、活動センターができたおかげで、学内に「博物館クラブ」ができて、ひんぱんに活動センターを訪れるとか。取材した日も、活動センターのスタッフが下校する児童たちに「調べてるかい?」と声をかけると、「やってるよー!」と元気な声が返ってきました。
 

小学校の博物館クラブ▲このクラブの小学生たちが、将来札幌の博物館で学芸員になっているかもしれませんね
 

ところで、今回活動センターを案内してくれた古沢さんですが、なんと、2015年11月放送のNHK「ブラタモリ #22 札幌 ~なぜ札幌は200万都市になった?~」で、タモリさんを案内した人でした!
 
活動センターは誰でも無料で、自由に見学することができます。スタッフが案内もしてくれるので、気軽に声をかけてみてはいかがでしょう。札幌市民はもちろんですが、道内各地、道外から札幌にやってくる皆さんも、ここで「札幌」を知ると、街歩きに深みが出ると思いますよ。

 

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