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公開 | うずらはしちあき

家具木工産地・旭川の魅力を世界へ。大勢の人が集結!「ASAHIKAWA DESIGN WEEK 2016」レポート

旭川デザインウィーク2016のオフィシャルパーティーを楽しむみなさん

「ASAHIKAWA DESIGN WEEK 2016」が6月22日〜26日に開かれ、5日間で道内・国内外から1万500人が来場しました。“ものづくりのまち旭川”を知る、様々な企画が展開されたイベントの模様をお届けします。
 
豊富な森林資源に恵まれ、古くから木工業が発達してきた旭川。隣接する東川、東神楽を含め多数の家具・クラフトのメーカー、工房が集中する旭川地域は、デザインや品質に優れた日本屈指の家具産地として存在感を高めています。
 
「旭川家具産地展」から生まれ変わり、2015年にスタートをきった「ASAHIKAWA DESIGN WEEK」(以下、ADW)。2年目の今年は、産地の魅力を伝え、地域のものづくりの可能性を語り合う「くらしとデザインの広場」を掲げて開催されました。

 

デザインを基軸とした催しが多数

旭川家具エキシビション、参加メーカーの工場見学ができるオープンファクトリー、各種トークイベントなど、ADWで実施されたプログラムは多数。また、第29回モクモクフェスタ、中川町森林ウォーキングや当麻町木育ツアーなど“4つの隣まちイベント”も同時開催されました。


旭川家具センター外観▲旭川家具センター
 

メイン会場は旭川家具センター。インスタレーション「PARTS TO THE FURNITURE」が来場者を出迎えました。手がけたのは、パリを拠点に世界で活動している建築家の田根剛さん。旭川は田根さんが大学で建築を学んだまちでもあります。


旭川デザインウィーク2016旭川家具センター内インスタレーション▲スペシャルインスタレーション「PARTS TO THE FURNITURE」


宙に浮かんでいるように見えるのは、椅子の背もたれ、座面、脚など約400ものパーツ。木が人の手によって椅子へと変わっていく姿を表現したインスタレーションだそうです。


旭川デザインウィーク2016旭川家具センター内インスタレーション▲部材が並べられて中央に。椅子が出来上るまでの“つながり”をイメージできる


旭川家具エキシビションには、アルフレックス、カンディハウス、匠工芸など49メーカー・団体が出展。新作を中心とした展示、ライフスタイルの新提案が行われました。


旭川家具センターの旭川家具の展示

旭川家具センターの旭川家具の展示

旭川家具センター内で開かれた道内クラフト作家の作品展示会▲道内の作家のクラフト作品を展示・販売する「北から暮らしの工芸展」も開かれた


旭川家具の大きな特徴には、産地全体でデザイン性を追求していることが挙げられます。それを象徴する取り組みが、1990年から3年おきに開催されている、木製家具のデザインコンペティションを中心とした「国際家具デザインフェア旭川(IFDA)」。2017年に10回目を迎えるそのIFDAのブースもありました。


旭川家具センター内、国際家具デザイン旭川を紹介するブース▲コンペティションの入賞入選作品や応募作品は、旭川の家具職人の技術によって製品化されてきている
 

市内中心部のチェアーズギャラリーで観ることができたのは、椅子研究家・織田憲嗣さん(東海大学名誉教授)のコレクションをもとに、北欧デザインと暮らしをテーマとした特別企画展です。


旭川の文化発信施設、レンガ造りの蔵囲夢外観▲チェアーズギャラリーは、赤れんが倉庫群を再活用した旭川駅近くの「蔵囲夢」内に


20世紀半ばの北欧で生まれた家具や日用品によってリビングルームやダイニングルームなどが構成され、北欧の暮らしが紹介されていました。この特別企画展は10月末まで開かれています。


旭川の蔵囲夢内ギャラリーで開かれている北欧デザインと暮らしの特別展示▲「タイムレス・ピーセズ〜北欧デザインと暮らし」展


旭川の蔵囲夢内ギャラリーで開催された工芸展展示の木のうつわ▲「蔵囲夢」内のデザインギャラリーでは、恒例の旭川工芸デザイン協会展も実施された


インスタレーションを担当した建築家・田根剛さんの講演、イタリア・ミラノの家具見本市「ミラノサローネ」を紹介するレポートや国産材家具サミット、「AXIS」、「ELLE DECOR」、「WIRED」3誌の編集長によるトークセッションと、トークイベントも充実。
 
国産材家具サミットには、カリモク家具(愛知)、 カンディハウス(旭川)、天童木工(山形)、飛騨産業(岐阜)、ワイス・ワイス(東京)の5社が参加。国産材と輸入材について、また、それぞれの国産材を生かす技術や取り組みなど、「国産材を活用しよう、活用したい」という思いと共に興味深い話が展開されました。


旭川デザインウィーク2016で開催された国産材家具サミットの会場風景▲メーカー5社の担当者が登壇して行われた国産材家具サミット

 

各社でオープンファクトリーを実施。カンディハウスへ

オープンファクトリーはADW参加メーカーをまわって、普段は見られない生産現場を見学できる企画。北海道Likersは、カンディハウスのファクトリーツアーに参加してきました。
 
カンディハウスを訪れると、エントランスには、ドイツ人デザイナーのミヒャエル・シュナイダーさんによる新ダイニングコレクション「TEN」から発想を得たという、空間デザイナーの松村和典さんが手がけたインスタレーション「TEN-KU」が。
「TEN」は木のフレームに樹脂製の背という異素材の組み合わせを特長とする、“軽やかさ”が魅力の椅子だそうです。3階ショップの吹き抜け空間にも展開されていました。


カンディハウスのエントランスでみられたインスタレーション▲エントランスで披露された作品「TEN-KU」


松村さんがインスタレーションについて、こう教えてくれました。
「今回の展示はカイトをモチーフにしています。1階は、『TEN』の特長的な樹脂素材のパーツをカイトに見立て連続させています。3階の展示は、椅子の背に張る生地の型を変形させた白いカイトが、渦を巻きながら舞い上がっていく様子を表現しました。このカイトは表と裏で質感の異なる素材で、光沢のある面が天窓のステンドグラスの色を受けて変化をつくります」。


空間デザイナーの松村和典さん▲札幌出身の空間デザイナー、松村和典さん


カンディハウスの吹き抜け空間のインスタレーション▲3階ショップ吹き抜けエリアの展示。「TEN」は今年1月のケルン国際家具見本市にて海外先行発表され、ADWを機に日本国内での発売がスタート


ファクトリーツアーの前に、カンディハウスのものづくり、新作やショップに関するプレゼンテーションがありました。


カンディハウスの工場見学ツアー内で行われたプレゼンテーションの会場風景

その後、ツアー参加者がグループに分かれて工場の見学へ。木材、技術、機械の説明を聞きながら巡りました。
木材は自然材料であるため、育つ過程でキズなどの影響を受けて欠点が生じることがあります。カンディハウスではそれらを「欠点」ではなく「キャラクター」と呼び、生かしていこうと考えているそうです。


カンディハウス工場見学ツアーでの木材説明の様子

木のクセや特性を見極め、乾燥させた木材からできるだけ無駄なく木取りをして椅子やテーブルなどのパーツに加工していく工程、組立、仕上げ、塗装、縫製、椅子張、すべての製品を一点一点検品していく工程など、生産から最終出荷まで一連の工程を見させてもらいました。


カンディハウス工場見学ツアーで見学した工場内の様子など

曲線をつくり出したり、複雑な形状を削ったりする工程には最先端の加工機が使われ、仕上げの工程は職人さんたちによって行われていました。この効率化された加工と、人の目と手による仕上げによって品質が守られているそうです。
また、木材を紙のように薄くスライスした突板と合板を貼り合わせ、キャビネットなどの箱物に使われる天然木の化粧合板をつくる工程なども興味深く見学しました。


カンディハウス工場見学ツアーで見学した工場内の様子など

ツアーへの参加は、森から切り出された木からひとつの家具が出来上がるまでの過程、そこに技術やこだわりが注ぎ込まれていることを深く知ることができた機会になりました。ツアーの終わりにはものづくり体験ワークショップも用意され、北海道タモ材のペン立てをつくってきました。


カンディハウス工場見学ツアーのワークショップでペン立てを作っている様子

5階展望室には新設された「CH ヒストリールーム」が。同社の歩みを紹介する年表、手がけてきた椅子、創業者の故・長原實さんによるデザインスケッチなどが展示されていました。こちらは常設の展示で、旭川ショップ営業日であれば自由に見学できるそうです。


カンディハウスのヒストリールーム▲CH ヒストリールーム

 

1,000人を超える人が集ったADWオフィシャルパーティー。
サッポロクラシックで乾杯!

ADW初日には旭川大雪クリスタルホールを会場に、オフィシャルパーティーが催されました。


旭川デザインウィーク2016オフィシャルパーティーで集う人々

旭川デザインウィーク2016オフィシャルパーティー屋外会場風景▲屋外もパーティー会場に


旭川のものづくりを発信するイベントは「食」へもつながり、お米、野菜、チーズなど地域の生産者さんの食材を使ったスペシャルメニューの提供も。料理は市内のフレンチレストラン「オネット」オーナーシェフの嶋田智明さんが担当しました。


旭川デザインウィーク2016オフィシャルメニューを担当したシェフと料理▲食材や料理の話をしてくれた嶋田シェフ。「こうしたイベントに関わらせてもらい光栄です」


来場者に話をうかがいました。
「カンディハウスの工場を拝見しました。丁寧にものづくりをされていることが伝わってきて、ロングセラー製品が多い理由がわかりました」と、道外から参加のインテリアデザイナーの方々。また、「田根さんのインスタレーションがよかった」、「イベントを通してものづくりに対する一生懸命さ、人のあたたかさを感じている」、「もっともっとまちじゅうを巻き込んだイベントになれば」などといった声が聞かれました。


旭川デザインウィーク2016オフィシャルパーティーに来場されていた方々▲サッポロクラシックを飲みながら、みなさんパーティーを楽しんでいました


「当麻町の木育ツアーに参加してきました。当麻では木っ端ひとつ無駄にせず利用されていました。ものづくりを伝える・知るASAHIKAWA DESIGN WEEK は、この地域で育つ子供さんたちが誇りと思えるイベントになっていくのではないかと期待がふくらみますね」と話してくれたのは、全国誌「北海道生活」編集長の八木由起子さん。


旭川デザインウィーク2016オフィシャルパーティーに来場されていた雑誌編集長▲八木編集長は札幌から。「北海道の爽やかな空の下にクラシックもぴったり!」


「お客様はイベントの規模に驚いている」と、ヨーロッパからお客様を案内しているというCONDE HOUSE EUROPE社長のアルフレッド・ロースさん。「TEN」のデザインを手がけたミヒャエル・シュナイダーさんも来場されていました。


旭川デザインウィーク2016オフィシャルパーティーにドイツから来ていたおふたり▲アルフレッド・ロース社長(左)、デザイナーのミヒャエル・シュナイダーさん


旭川デザインウォーク2016オフィシャルパーティーに来場のヨーロッパのみなさん

18時〜20時30分まで開かれたパーティーの来場者は、1,000人を超えたそうです。ものづくりのまちに、交流の輪が大きく広がっていました。


旭川デザインウィーク2016オフィシャルパーティー夜の屋外会場風景
 

世界一お客様に喜ばれるものづくりのまちへ

ADWのプロジェクトリーダーを務める、染谷哲義さんに話をうかがいました。
2年目のADWではデザイン関連のイベントを充実し、また、近隣地域との連携によりエリアの広がりを図ったそうです。


旭川デザインウィークプロフェクトリーダー染谷哲義さん▲ADWのプロジェクトリーダー、株式会社カンディハウス マーケティング本部・本部長の染谷哲義さん


「私たちには、業界の関係者だけではなく、旭川市民、周辺地域のみなさんに地場産業の魅力を伝えたい、旭川のものづくりを知ってほしいという思いがまず大きくあります。
木製家具の輸入品の増加などにより、国産家具メーカーの厳しい状況は続いています。日本のものづくりの力、ブランド力を高めて海外へ発信していく。旭川はその先陣をきれる産地だと思いますし、また、産地同士が同じ目標を共有して動くことができればというのが願いです。旭川は『世界一お客様から喜ばれるものづくりのまち』を目指し続けていきます。来年のADW、そして10回目のIFDAの開催に向かって全力で進んでいきたいですね」。


2017年も北海道の爽やかな初夏に、旭川のものづくりにふれる体験をぜひ。


旭川デザインウィークのフラッグ
 

関連リンク

ASAHIKAWA DESIGN WEEK
国際家具デザインフェア旭川(IFDA)
旭川家具工業協同組合
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