美深町観光協会事務局長 小栗卓さん:「若者、ばか者、よそ者」シリーズ(1)

地域活性化において今や必要不可欠と言われている人材「若者、ばか者、よそ者」。
もちろん、ここ北海道でもそういった人たちがたくさん活躍されています。しかし、実際にその人たちの生の活動内容等はあまり聞こえてきません。
 
そこで、北海道内の地方自治体で活躍されている人ならびに実際に手掛けられた成果を、シリーズ「若者、ばか者、よそ者」と題しご紹介していきます。第1回は美深町観光協会事務局長の小栗卓さんです。
 
札幌の大学を卒業後、東京で2年、札幌で6年働いたのち、結婚を機にUターン就職を決意したという小栗さん。当初は観光協会に就くことはできなかったものの、すでに志と自信は十分だったらしく、「北海道の中でも知名度の高くない美深町をみんなに知ってもらいたいという思いがありました。しかも、実はなぜかすぐに出来る自信もありました(笑)」と当時から意気軒昂だったそうです。
 
しかし、1年後に希望していた観光協会の職に就くも、仕事の理想と現実のギャップはあまりに大きかったようです。

「すぐに都会で培った経験を活かして美深を存分にPRするぞ!・・・と思ったのも束の間、現実は地元町民がターゲットのイベントの主催や、地元の会議に出席するだけの仕事がほとんどで、町外に向けたPR活動の仕事や、受入れ体制の整備に関する仕事はほとんどありませんでした。また、今まで観光に力を入れていた町ではなかったため、その術を教えてくれる人もいません。それどころか、どこか『うちのまちなんてどうせ人口が減る一方で何をやっても無駄だね』と言ったような後ろ向きな意見も数多く聞きました。正直どうすれば良いのか、はじめは雲をつかむようでした。」
 
 

 
また、地方特有の問題も小栗さんにとっては辛い経験だったとのこと。「若い世代の人々と町の飲み屋さんでほとんど会わないんですよね。それだけ若い人の元気がないのかなと痛感しました。また、地元の人脈を作るのが、町外の人脈を作るよりも余計に大変でした。」
 
そのような環境の中、強い志と持ち前の人間力を武器に模索し続けるうち、段々と美深町の若者たちもそれに呼応し始めました。「2010年6月に美深町の若手を中心に『観光食メニュープロジェクトチーム』を発足しました。そこでは常に消費者目線で地元食材を見つめ直し、消費者が買いたいモノを作ることを目的としました。さらに、いつか新千歳空港等に美深町のお土産を並べたいという私個人の夢もありました。」
 
美深町を代表する食材「クリユタカ」と美深産小麦「ハルユタカ」に着目したプロジェクトチームは、地元の菓子司すぎむらの杉村オーナーご協力のもと試作品を製作。そして、そこからが「若者、ばか者、よそ者」の本領発揮でした。

「ターゲットを都市圏20~30代の女性と設定し試作品の提供やアンケートを実施し問題点を浮上させ、何度も試作を繰り返しました。また、パッケージデザインもターゲットに合うよう札幌のデザイン会社に依頼しました。」こうして、2011年4月に美深町の新しい銘菓「ピウカ・ボッチャ」が完成。さらに、小栗さんはPRの仕方も都会での経験が発揮されます。「従来のメディアや物産展への出店をはじめ、facebookやツイッターなどSNSの活用、さらにはアクセスランキング上位の全国個人ブロガーを調べ、商品を送付しブログで紹介してもらうという離れ業もやりました。そのおかげか観光協会のHPのアクセス数や問い合わせが急増、1年間の売上目標をわずか4ヶ月で達成しました。」
 
 

 

 
2012年9月末で約70,000本を売り上げている美深町新銘菓「ピウカ・ボッチャ」
 
今年の3月には第2弾として希少価値の高い白樺樹液を使ったパイサブレ「シラカボ」を、こちらも地元の菓子司花月堂製造のもと販売、売れ行き順調でこちらもすぐに売上目標を達成したそうです。