シャクシャイン祭り/アイヌ四季の暮らし(6)

道内では秋になると、アイヌの伝統行事や供養祭が数多く行われます。なかでも歴史を持つのが「シャクシャイン・エカシ・イチャルパ=シャクシャイン祭り」です。毎年9月23日、新ひだか町・静内にある真歌の丘(真歌公園)で行われます。
シャクシャインは1669(寛文9)年、日高地方を中心にアイヌ民族が大規模な武装蜂起をした際のリーダーです。アイヌの人々は深い尊敬の気持ちを込めて、エカシ(長老)などの言葉をつけて呼びます。
 
 

 
北海道に和人が移住を始めたのは、11世紀ごろのこと。14世紀には道南の一部(函館の近く)に交易活動の監視と船役(税)の徴収を行うための館(たて)を造り、アイヌと交易を始めます。その後、数が増えるにつれて横暴な振る舞いが多くなった和人に対し、さすがに温厚なアイヌも抵抗し、戦う場面が増えていきます。
 
そして松前藩の成立で、和人による支配がさらに拡大。交易の中身は和人による収奪とアイヌの酷使となり、生活を脅かすようになります。そんなとき、松前藩に後押しされたハエクㇽ(西に住むアイヌ)との紛争をきっかけに、メナシクㇽ(東に住むアイヌ)のリーダーであるシャクシャインが、北海道中のアイヌに呼びかけて和人との全面戦争に入ります。アイヌが民族としての自決をかけた、最初で最大の戦いです。
 
全道から集まったアイヌ軍は、シブチャリ(静内)のチャシ(砦)を本拠地に戦い、一時は現在の渡島エリア・長万部町国縫(くんぬい)まで攻め込みました。たまらず松前軍は和睦を申し入れ、シャクシャインはこれを受け入れますが、講和の席で欺し討ちにあいました。リーダーを失ったアイヌ軍は松前軍に敗れ、さらに過酷な条件を押しつけられて生きることを強いられていきます。
 
 

 
敗れたとはいえ、民族の誇りと自尊心を守るために戦ったシャクシャイン。その勇姿をしのんで、静内の砦跡に全道のアイヌが集まり魂を供養するのが、シャクシャイン祭りなのです。

 

 
※追記:文中のアイヌ語表記〈クㇽ〉ですが、一部機種のバージョンによって文字化けします。ㇽは小さな「ル」となります(アイヌ語の表記)。
 
*記事は『北の彩時記―アイヌの世界へ』(計良光範著、コモンズ刊)をもとに作成。
http://www.commonsonline.co.jp
/kitanosai..html
*北海道の歴史について知りたいなら…
http://www.alicesha.co.jp/978-4-900541-75-7.php