ポン山のポンとは、アイヌ語で小さいという意味。標高は444メートルと利尻山の4分の1程度。しかも、210メートル地点から登るため、気軽に挑戦できるのが魅力です。
▲手前に見える小さな山がポン山です
「ポン山は、3つの百選を体感できる山なんですよ。日本名水百選に選定された甘露泉水を味わえ、森林浴の森百選に選ばれた深い森を歩き、日本百名山の利尻山を眺められる。小さい山ながら、充実の内容です」。
そう語ってくれたのは、「利尻・島ガイドセンター」のネイチャーガイド、西島徹さん。
7月某日、雨上がりの早朝。ポン山登山は彼のガイドのもと、利尻島の北側、北麓野営場からスタートしました。
▲左が、ガイドの西島さん。「往復の歩行距離は4キロほどです」
舗装されたゆるやかな散策路を歩くこと15分。百選のひとつの湧き水スポット、甘露泉水に到着しました。
湧き出る水を手ですくって喉を潤し、ここからは深い森の中へ。そうです、森林浴の森百選に指定されている森です。うーん、空気がみずみずしくておいしい!風で葉のすれる音や鳥のなきごえなど、自然の音がBGMです。
▲歩道に木の根が張り巡らされています。雨あがりならではのしっとりとした緑が美しかったです
「利尻島にはエゾシカ、ヒグマ、キタキツネがいないんですよ」と西島さん。言われてみれば、動物の歩いた跡や糞、木の皮が食べられた痕跡などが見当たらず、森がとてもきれいな印象を受けました。
▲途中でパッと視界が開け、利尻山を眺望!
歩いていると、いろいろな草木が見られます。一部をまとめてみました(西島さんに教えてもらいました)。
▲左/切り株の上に新しい木が育った〝切り株更新〟。なんだか、今にも歩き出しそうな見た目です。右上/トドマツの葉。きれいな色をした先端部分は今年の新葉。右下/葉の色が白やピンクに変化するミヤママタタビ。遠目に見ると花が咲いているようです
▲左上/ツタウルシの葉。▲右上/ダケカンバに巻き付く、ツルアジサイ。白と緑の組み合わせがさわやか!▲下/花が散り、実の状態となったオオアマドコロ
途中、草が胸の位置くらいまで生い茂る細い道も。ここは傾斜も少し厳しかったです。
▲やっぱり、こういう場所もないと盛り上がりませんよね
そろそろ、ゴール間近。深い森の中のはずが、たまにフェリーの汽笛が聞こえてきます。
▲葉をつけない木々が立ち並び、シュールな雰囲気
着いたー! さわやかな風が吹き渡り、気持ちいい!
360度、視界を遮るものがありません。ここで山頂の様子をご紹介しましょう。
▲ばんざーい!登頂!曇天で心配でしたが、利尻山もちゃんと見られました
▲山の反対側には礼文島も見えました
▲あそこに見えるはスタート地点の野営場。ミニチュアのようです
▲風に吹かれながら、小さな花を咲かせるイワギキョウ。けなげでかわいらしい
見どころが本当にたくさんあって、とても楽しめる山でした。
アルピニストたちの憧れの山、利尻山はさすがにハードルが高すぎるけれど、トレッキングで利尻の自然に親しみたい…そんな方にぴったりのコースです。ぜひ、挑戦してみてください!
問合せ/利尻・島ガイドセンター
・TEL / 0163-84-3557
・料金 / ポン山トレッキングコース ガイド料金 ひとり5,000円(ひとりの場合は8,500円)
・実施時期 / 5月中旬~10月上旬
・出発時間 / 8時30分、14時(所要時間は約3時間)
北海道Likersで紹介した利尻情報はこちら
取材・文/北海道Likers フォトライターFUKKO
写真/北海道Likers フォトライター nobuカワシマ、北海道Likers フォトライターFUKKO
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