生命(いのち)の水/乙部町 「北海道の湧水を訪ねて」シリーズ(2)

函館から北西に約70㎞、日本海に面した乙部(おとべ)町は人口4,300人ほどの町です。
5つの湧水からなる「生命の泉」は、災害時の水の供給源として活用できるように町が整備したものです。


きっかけは今から20年前、平成5(1993)年の北海道南西沖地震です。
海を挟んで向かい合う奥尻島に大打撃を与えたこの地震。
乙部町も水道管が破裂するという被害を受けました。
これを教訓に、地元の人が昔から利用していた湧水をいざという時のライフラインとして使うことを町が決定。
町内にある21ヶ所の湧水をチェックし、防災施設として最適な5ヶ所が整備されました。
これが「生命の泉」です。

 

24時間無料で汲むことのできる5ヶ所の湧水は、水脈が異なるので成分や硬度もさまざまです。
それでは「生命の泉」を巡ってみましょう。


 

といの水

 




5ヶ所の中で最も水量の多い場所です。
自然石で囲んだ湧水口にあずまやも設置されています。
市街地が近いせいか、水を汲みに来る人が一番多いです。


 

八幡(はちまん)さんの水

 



慶長6(1602)年からあるという郷社「八幡神社」に引かれた水。
背後の山の急斜面に水源があり、岩の亀裂から水が流れ落ちてきているそうです。


 

ひめかわの水

 

 

姫川という川沿いの山裾部にあり、周囲に畑が広がる一番のどかな場所です。

水を汲みに来ていた函館の男性は、コーヒーやお茶を淹れるのに使うそうです。

 

こもないの水

 




小茂内川の急な崖の裾部にあります。
5ヶ所の中で最も軟水です。「ここの水が一番おいしい」という地元の人もいました。


 

能登(のど)の水

 




海に面した山の斜面にあり、唯一日本海を望みながら水が汲める場所です。天気が良い日は奥尻島が見えます。

この地区は石川県能登半島から来た入植者によってつくられたため、かつては「能登(のど)」と呼ばれていました。人々は昔からこの湧水を利用してきたと言います。これが「能登の水」の名前の由来となっています。

 

このように湧水の豊富な乙部町。北海道南西沖地震の時には、船に水を積んで奥尻島まで運んだそうです。
近くに水が豊富に湧き出る地域があるというのは、島の人々にとっては心強かったことでしょう。

町の中で水脈の違う5つの湧水を味わえるのはとても贅沢なこと。水の飲み比べをしてみるのもおもしろいのではないでしょうか。

※乙部町役場では、湧水の利用には煮沸してからの飲用をおすすめしています!

 

関連リンク

乙部町公式ホームページ
乙部町公式ホームページ「生命の水」について