NPO法人シュマリナイ湖ワールドセンター代表 中野 信之さん:「若者、ばか者、よそ者」シリーズ(6)

地域活性化において今や必要不可欠な人材である「若者、ばか者、よそ者」。
北海道にも数多くいるそのような人材を紹介する本シリーズ、今回はNPO法人シュマリナイ湖ワールドセンター代表 中野 信之さんをご紹介します。
 

大阪府で生まれた中野さんは19歳の時にバイクで来道、仕事を探しに道内を転々としたそうです。
「高校卒業後、大阪で働いていましたが『何かが違う』と常に感じながら生活していました。そのような日々のなか、元々バイクや釣りが好きだったこともあり、漠然と憧れていた北海道に行こうと思ったのがきっかけでした」。

 


 

知人の紹介などで道内各地を転々としていた中野さんが、最後に行き着いたのが幌加内町(ほろかないちょう)の朱鞠内湖(しゅまりないこ)でした。「朱鞠内湖に着いてまず驚いたのがそこで働く人達でした。とにかくみなさん熱い人達で私もすぐに熱くなりました」。

 

しかし、町外どころか北海道民でも無く、周りの人達よりもだいぶ若い中野さんはまさに『よそ者、若者』、自分は受け入れてもらえるのだろうかと悩んだそうです。「その悩みをすぐに消してくれたのが当時の朱鞠内湖淡水漁業協同組合の組合長でした。『地域を変える為には若者、ばか者、よそ者が必要。俺が許すからここで思う存分やってみろ』と言われたんです。その一言で私は朱鞠内に骨を埋める決意をしました」。

 

 

 

 


 

朱鞠内湖は北海道幌加内町の雨竜川(うりゅうがわ)上流に位置する人造湖。
湖の周辺は朱鞠内道立自然公園としてカヌーやボートをはじめ、夏はイトウ、冬はワカサギ釣りで賑わいます。

 

組合員となった中野さんの最初の仕事は朱鞠内湖の管理でした。
「組合長より『自分でやってみろ』と言われてはじめてはみるものの、当時は密漁や地元住民も必要以上に獲っていた気配があり、住民とぶつかる事も多々ありました。ただ、住民にとってみたら当たり前にある湖から当たり前に魚を獲っていただけであり、いきなりよそ者に管理されても反発が生まれるのは明らかでした」。

しかし、このままでは5年後の自分はいないと心機一転。
「何より、魚を減少させて釣り人を裏切るわけにはいきませんでした。必要以上に穫らない仕組み作りをし、魚を守ることを一番に考えました」。
一晩刺さったまま放置する刺し網漁の禁止や密漁の監視の強化、そして地元住民に中野さんの魚を守る思いを伝えていくにつれて湖の魚の数も増加、いまでは幻の魚イトウが釣れる湖として有名になりました。

 

平成20年、第3セクターだった『レークハウスしゅまりない』の運営を引き継ぐ形でNPO法人を設立します。
「NPO法人の設立は若手の雇用の確保を考え自ら名乗りでました。
今まで冬季閉鎖していたレークハウスも通年営業とするなど一年を通して収益を確保する仕組み作りをしました」。

 

そして、更なる地域の活性化や雇用問題の解決策としてワカサギの佃煮に着手。
「朱鞠内湖では昔からワカサギが獲れ、佃煮は郷土食としてお土産や家庭でもよく作られていました。しかし、今では誰も作ることができず地元では以前からワカサギの佃煮の復活は望まれていました。そこで、ワカサギをNPOの収益の一つにするため、町、漁業組合とともに平成20年から商品開発をスタートし、3年かけてようやく完成しました」。

 

 

 

 


 

昔ながらの味の濃い佃煮ではなく甘さを抑えた味付けは、食べ出すと止まらなくなります。


 


 

2013年、北のハイグレード食品にも選ばれました。

 

※北のハイグレード食品に関してはこちらの記事をご参照ください↓

食の達人たちが推薦!「北のハイグレード食品」


 

最後に今後の展望について伺いました。

「これからは若手の育成やより強固な組織作りをしていこうと思っています。当時、よそ者・若者は自分で組合長がばか者(地域おこしのアイディアマンという意味で)でしたが、今度は僕がばか者になる番です」。

 

これからも益々のご活躍を期待しております。