NPO法人北海道冒険芸術出版 代表理事 堀 直人さん:「若者、ばか者、よそ者」シリーズ(5)

地域活性化において今や必要不可欠な人材である「若者、ばか者、よそ者」。
北海道にも数多くいるそのような人材を紹介する本シリーズ、今回はNPO法人北海道冒険芸術出版代表理事の堀直人さんをご紹介します。

 

前回掲載しました『北海道裏観光ガイド』の編集長であり出版元の代表である堀直人さんは江別市出身。
『北海道の地域に根ざした出版を手段として、北海道の多様な選択肢を見いだし、最適な組み合わせを考えることで地域再生を行う』ことを目的として平成22年4月にNPO法人北海道冒険芸術出版を設立され、道内での活躍はもちろん、北海道の魅力を道外へ発信するために全国各地で活躍されています。

 

 


 

平成22年11月に同社より初めて出版された『北海道裏観光ガイド』。
堀さんは、本が発売されたその日のうちに原付バイクに本を詰め込み、南の果ての沖縄を目指し、過酷な原付日本縦断行商の旅に出たそうです。なぜ堀さんは本を売るために、そこまでされたのでしょうか。
「本はつくることも大事ですが、つくった後も大事。事業を継続していくためには本を売って資金を回していかないといけませんし、何よりつくっただけでは誰にも届いてない。伝えたくて、届けたくて本をつくっている。だから、何としてでも売るんだ!そう決めていました」。
昼は全国各地の書店を巡り営業し、夜はその地域でビジョンを持って活動する人たちと語り合う。
その旅の途中途中で出会った人たちとのつながりが、今も事業に生きているそうです。

 

 


 

本を売ることもそうですが、本ができるまでにも相当な年月と紆余曲折があったとか。

「構想13年です(笑)。高校生の頃から本を作ろうと色々な取り組みはしていました。大学は中退してしまいましたが、グラフィックデザイナーなど様々な職種を経験しながら、並行して色々な本を作っては未完で終わる日々でした。最後に『HOKKAIDO RPG』というA3サイズで200ページ超という壮大な本の制作に取り掛かりましたが、自信作であるもどう考えても売れそうにない(笑)。この頃から作品づくりではなく、自己満足にならない『商品としての本』を作ろうと考えるようになっていきました。そこでその本の特集にあった『北海道裏観光ツアー』という企画をスピンオフさせて完成させたのが、『北海道裏観光ガイド』です」。

 

 

 

 


 

「定番ではない北海道の面白さを伝えたい、選択肢は一つではない」という思いも込められている北海道裏観光ガイド。

 

そもそも、なぜ出版社を立ち上げようと思ったのでしょうか。

「以前から『自分たちを取り巻く不一致』を改善したいと思っていました。その目的のために、僕にとってその時に最適だった手段が本だったわけです。なので「編集」という行為を、ただ単に書籍を編集するだけでなく、出版の分野以外、特に観光や地域づくりなどにも持ち込みたいと思っています。編集的視点から新しい『見方』で価値を高めて、『おもてなし』のある先駆的な事業に挑戦したいです」。

 

 

 

 


 

2013年2月に出版された2冊目となる『n次創作観光/コンテンツツーリズム/観光社会学の可能性』(著者の岡本健さんは北海道大学出身)は、アニメ聖地巡礼を事例に観光の可能性を読み解く学術書。本書も「学術と読者の間にある壁を低くしたい」という著者の思いと、「学術という最先端の知を知りたい」という読者の需要が一致したことから生まれました。

 

最後に今後の展望を伺いました。

「あらゆる分野に『編集』という視線を持ち込むことで、不一致を改善し、社会の矛盾を統合し、次の時代の環境をつくっていきたいと思っています。次に取り組みたいのは、『都市と田舎』の不一致についてです。多くは交流が活発化することで解決に向かうと思うのですが、何より大きい『人の交流=移住』に注目し、僕も取材も兼ねて一定期間田舎へ移住し、新しい事業をはじめようと思っています。また、僕らみたいな人だって出版社をやれるんだからと、背中を押せるような存在になれたらいいですね。特別じゃない僕たちが、誰かに依存することなく、世の中をおもしろくしていきたいと思っています」。

 

これからも益々のご活躍を期待しております。