「ここにしかない」もいいけど、「なんでもある!」も実はすごいんです。栗山町「値ごろ市」

畑もつくる人も、無理なく自然に、心おおらかに農作業をすれば、野菜はやさしく、おいしく育つ。そして、おいしいものは、人を幸せにする!
 
…と、自信たっぷりに宣言する農家の直売所があります。
 
 
 
 
札幌と夕張の間、やや夕張寄りに位置する栗山町。
ここで、60戸の農家を核に、採れたての野菜を、旬の時期に、値ごろ感のある価格で販売しているのが「値ごろ市」です。
 
その特徴は、100%農家直売。
 
 
 
 
「値ごろ市」を運営している、湯地の丘自然農園代表取締役社長 渕野巌さんは、こう話してくれました。
 

 
「農産物の安心安全、生産者の顔が見えるなんて、そんなの当たり前のこと。今は、農家もつくるだけではなく、ちゃんとお客さんの顔を見て、意見や感想を聞かないとダメ。自分たちのつくったイモや玉ねぎが、どうやって食べてもらっているのか、逆に、もっとこうすれば、うちの野菜はおいしくなる!と教えたり、そういう『つながり』が大切だと思います。
 
一般のお客さんだけではありません。レストランなどの料理人にも、栗山の野菜はおいしいと認めてもらって、その料理を食べたお客さんが、栗山の野菜に興味を持って、そして次は栗山まで来てくれる…そんな輪というか、広がりをつくりたくて、11年前から「値ごろ市」をやっています」。
 
 
 
 
栗山町は、道内で生産される主な農産物を、ほとんど網羅しているそうです。つまり、「なんでもある」。
 
渕野さんたちはかつて、この「なんでもある」が、「ここにしかない」という特別感に比べて、見劣りしてしまうと思っていたそうです。
しかしある時、お客さんの一言で気付きました。
 
「道内は11月にもなると、店頭に並ぶ野菜が減ってくるんですが、栗山は品数が豊富。それこそ、なんでもある。自分たちはそれが当たり前だと思っていたけど、なんでもあるということは、実は当たり前じゃないってことを、お客さんに教えてもらいました」(渕野さん談)。
 
 
 
 
ただ、なんでもあると言っても、そこは北海道。雪が降ると野菜は減ります。
そこで、渕野さんたちは、自分たちの考え方に共感してくれた鹿児島の農家と手を組みました。
 
「鹿児島は8月になると暑くて何もできない。でもこっちはバンバン採れる。逆に、冬は何もできないけど、鹿児島は冬でも収穫ができる。お互い足りないところを補っていこうと、交流をしています」とのこと。
 
取材時の5月上旬は、まだ道産の野菜が少ない時期でしたが、「値ごろ市」には鹿児島コーナーができていました。
 
「昔、薩摩と長州が組んで中央に進出したじゃないですか。これからは、北と南です。栗山と鹿児島、薩長連合みたいなもんです(笑)」(渕野さん談)。
 
 
 
 
「『値ごろ市』は、農家の直売所ですが、参加している農家には決して無理強いはしません。農家のお母さんたちは、早朝から畑に出たり、朝食をつくったり、お弁当をつくったり、すごく忙しいんです。そんな時に、●時まで収穫して持ってこい!なんて言えませんよ。
 
無理をかけると、人にストレスがかかる。すると、畑の野菜にもそれが移るんです。ギスギスしながらつくった野菜は、ギスギスした味になる。でも、家族みんなでニコニコしながらつくると、野菜もおいしく育つんです。本当ですよ!」と渕野さん。
 
 

 
今年は春先の天候が悪かったので、農作物の生育がちょっと遅れていますが、天候が回復したら、すぐに例年通りに追いつくとか。
6月はアスパラ、ズッキーニ、キャベツ、イチゴなど、7月はトマト、キュウリ、ナス、スイートコーンなど、8月はオクラ、枝豆、メロン、スイカ等々、「値ごろ市」には栗山で採れた旬の味覚が種類も豊富に並びます。
 
近郊の人なら、直接行くと採れたての野菜を購入することができます。
道外向けに、地方発送しているものもあるので、栗山の農家の人たちが丹精込めて育てた野菜たちを、味わってみてください。
 
そして、食べたら、ぜひ感想を伝えてあげてください。
その感想があれば、来年も、再来年も、農家の人たちはもっともっとがんばれるのです。
 
 
■値ごろ市
所在地/夕張郡栗山町湯地29番地
※国道234号線沿いマックスバリュ栗山店向い
TEL/0123-72-2977
開店期間/5月3日~11月下旬(毎日営業)
営業時間/9:00~18:00
 
■運営:湯地の丘自然農園
http://www.shizennouen.com
 
夕張郡栗山町湯地29番地
TEL・FAX/0123-72-2743
 
 
北海道Likersライター チバタカコ
http://www.facebook.com/chiba.takako.9
 
写真撮影:北海道Likers フォトライターいつき