シリーズ:サケ(1)誕生から旅立ち

5月中旬。
 
関東以南の地域では、陽気に恵まれ、涼しい服装に衣替えしているようですが、
北海道では、10日前に桜が開花して、ようやく木々にうっすらと緑の葉がつき始めました。
森や川原では、虫や小鳥が飛び交い、北国に短い夏が訪れようとしております。
 
ふと川に目を向けてみると、水の中でも夏の準備が進んでいるようです。
冬に誕生したサケの稚魚が、旅立ちの時期を迎えています。
彼らは生まれてから海への旅立ちまで、どのように川で過ごしているのでしょうか?
そんな疑問に答えるべく、これから皆さんを厳冬~早春期の川の世界へご招待いたします!
 
 

 
川一面が氷に覆われ、多くの生き物が冬眠する2月。
静寂に包まれた川を覗くと、小さな命がひっそりと誕生しておりました。



 
湧き水が出る暖かな場所でじっと春を待ち続ける仔魚たち。
親から授かったお腹の栄養分を吸収しながら、60日ほどかけてゆっくりと成長してゆきます。
 

 
生き物が冬眠から目覚める4月上旬。
お腹の栄養分を吸収して成長した稚魚は、自分の力で川底から浮上します。
そして、上流から流れてくるユスリカの幼虫を食べながら群れで生活をはじめます。
一見、仲むつまじく見えますが、この頃からエサや縄張りを巡る生き残り競争が始まります。
十分にエサを採れない者は、途中で息絶えてしてしまいます。 
 

 
4月下旬。
体は銀色になり、5㎝ほどの大きさに成長しました。小さいながら、立派な顔立ちになりました。
 

 
雪解けが盛んな5月上旬。
上流方向を見ながら少しずつ下流へ移動します。水が冷たいせいか、途中で日が射すと、日光浴をしながら休息を取ることもあります。
サケも日に当たると気持ちが良いのでしょうか。
どことなく、ゆるやかな雰囲気が漂っていますね。
 

 
水鳥や大きな魚にとって、稚魚は恰好のエサです。
降海中は危険がたくさん潜んでいます。
外敵の気配を感じると、急いで倒木の陰に身を隠して危険を回避。
このようなことを繰り返しながら、ようやく海へ辿り着きます。
 
海へ降りた後はしばらく沿岸で生活し、成長とともに大型のエサを食べるようになります。夏には日本を離れて北太平洋を回遊して、3~5年後に産まれた川に帰ってきます。

 

 
幾多の荒波に揉まれ、70㎝ほどの大きさになって回帰するサケ。凛々しい姿です。誕生した頃のかわいい姿がウソのようです。
 
これからメスとオスによる厳しい産卵がはじまり、また新しい命が受け継がれていきます。
産卵の話は、秋にまたお伝えします。どうぞお楽しみに!