2013年05月14日 | チバタカコ

北海道でしか見られないものが、ここにある。「上野ファーム」

ここは、北海道第二の都市旭川市の中心部、JR旭川駅から車で約30分のところにある「上野ファーム」。

1906年、宮城から北海道に入植し、稲作農家として代々続いている農場である。
 
 
上野ファーム 旭川
 
 
消費者に米の直接販売を始めた頃、「せっかく農場まで買いに来てくれるのだから、きれいにしておもてなしを」と、「魅せる農場」をコンセプトに、あぜ道や農道の脇に花を植え始めたのがそもそもの始まりだ。
 
 
上野ファーム 旭川
▲マザーズガーデンと名付けられた庭(6月)。庭造りの第一歩は、ここからはじまった
 
 
上野ファーム 旭川
▲9月になるとマザーズガーデンは、また違う姿を見せる
 
 
そんな心づくしで始まった庭造りが、長女上野砂由紀さんのイギリス留学により一変する。
 
ガーデン研修のためイギリスに渡った砂由紀さんは、そこで本場のイングリッシュガーデンと出会う。
それは彼女にとっては衝撃的なカルチャーショックだった。
 
何の基礎知識もなく、花の名前すら知らないという中で、砂由紀さんは「こんな庭を北海道につくりたい!」という強い想いだけで、庭造りにどんどんのめり込んでいったという。
 
 
上野ファーム 旭川
▲5月になると楽しめるプルモナリア

 
帰国後、砂由紀さんは両親から畑の一部をまかされ、庭造りを始めた。
そうして完成したイングリッシュガーデンは、旭川市内、近郊から徐々に口コミで広がり、いつしか1シーズンに5万人以上の人が訪れる庭に成長していった。
 
北海道は、今まさに雪から解放され、植物が一斉に芽吹く時期だ。
道外なら、梅が咲いて、桜が咲いて、チューリップが咲いて、というように、教科書通りに花が咲くのだろうが、北海道は違う。
閉ざされた冬から解き放たれた生命の息吹は、我先にと争うように太陽に向かって手を伸ばす。
 
「上野ファーム」では、まさに、今、その瞬間があちこちで繰り広げられている。
 
 
GW後半は、裏山の射的山に咲く自生種でもあるエゾエンゴサクが水色のじゅうたんのように広がる。
 
 
上野ファーム 旭川
▲射的山は、上野ファームの後にある丘だ。まさにこれからの時期、エゾエンゴサクが見ごろだ

 
その射的山も、季節で姿を変える
 
 
上野ファーム 旭川
▲スイセンが咲く5月
 
 
上野ファーム 旭川
▲5月下旬
 
 
上野ファーム 旭川
▲6月上旬
 
カラフルなチューリップが咲き始めると、一気にポップでかわいい雰囲気になる。
 

上野ファーム 旭川

 
6月になると、木々の新緑が輝き出す。通称「上り藤」と呼ばれるルピナスが満開になるのはこの頃だ。
7月に入るとバラが咲き始め、庭は一層華やかになる。百花繚乱とは、まさにこのことだ。
 
 
上野ファーム 旭川
▲紫のグラデ―ションが楽しめる道「パープルウォーク」
 
 
上野ファーム 旭川
 
 
上野ファーム 旭川
▲鏡を合わせたように左右対称に宿根草を植えこんだ「ミラーボーダー」。ゆっくり歩きたい道だ
 
 
そして、8月、9月と、上野ファームは、空を流れる雲や押し寄せる海の波のように、刻々と姿、色を変えながら北海道の四季を移ろう。
 
 
上野ファーム 旭川
▲8月
 
 
上野ファーム 旭川
▲8月
 
 
上野ファーム 旭川
▲9月
 
 
上野ファームに行ったら、庭の真ん中に立ち、そっと目を閉じて、耳を澄ませてみてほしい。
葉擦れが植物たちのささやき声のように聞こえるだろう。
湿った土の匂いに北海道の大地の力強さを感じるだろう。
 
そして、花が、葉が、草が、土が、こんなにもまぶしくて、こんなにも静かに心に沁みて、こんなにも優しいものだということを、教えてくれるだろう。

 

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