幕別町図書館の「北の本箱」

知人の本棚を見ると、その人の頭の中をのぞいているようでちょっとおもしろい。
特に著名人の本棚を見てみたい、と思ったことありませんか?
帯広市のすぐ隣にある幕別町の図書館「北の本箱」コーナーでは、小説家、劇作家、実業家などが個人で所有する本がズラリと並んでいます。
なぜ幕別?そして、誰の一体どんな本が陳列されているのでしょうか。



 
はじまりは、幕別町生まれのジャーナリスト・和多田 進さんが編集長を務める『現代ニッポンにおける人生相談』(週刊朝日別冊)に、増えすぎた本の置き場に困っている、と和多田さん自身が掲載したこと。
保管庫のスペースに余裕のあった幕別町図書館が本を引き受けることに名乗りを上げ、「北の本箱」は1997年に誕生しました。
現在、森村誠一さん、福原義春さんなど18名の本が所蔵されています。その数なんと29,000冊!!
では早速、「北の本箱」をのぞきに行ってみましょう!

 
 

実業家・福原 義春さんの本棚】

1931年生まれ。株式会社資生堂名誉会長。文字・活字文化推進機構会長、東京都写真美術館館長など多くの公職を務める。「文化資本の経営」「多元価値経営の時代」「ぼくの複線人生」「だから人は本を読む」「101の蘭」など著書も多数。
読書家として知られる福原さんの本棚は6列にも及び、写真、植物、地球環境、江戸を中心とした歴史など、様々な分野の書籍が並びます。
 

 

小説家・森村 誠一さんの本棚

1933年生まれ。推理小説、ノンフィクションなど幅広く手がける小説家・作家。「高層の死角」で江戸川乱歩賞、「腐蝕の構造」で日本推理作家協会賞、「人間の証明」で角川小説賞を受賞。
本棚には、森村誠一さんの作品をはじめ、小説や俳句、ビジネス書やエッセイなどが展示されています。
 

 

写真家・佐藤 明さんの本棚

19302002年。服飾写真家の先駆者として活躍。1930年奈良原一高、細江英公、川田喜久治らとグループ『VIVO』を結成。主な作品に「女」「北欧散歩」「バロック・アナトミア」「フィレンツェ」「おんな・そして・白夜」「プラハ」など。1966年に写真批評家協会作家賞、1998年に日本写真協会年度賞を受賞。1990年にウィーン市長特別表彰を受彰。
本棚には、珍しい写真に関する書籍、レアな写真集などが展示されています。
 

 
「北の本箱」の魅力について、司書の民安園美(たみやすそのみ)さんにお話しをお伺いしました。
「普通の図書館では選書しない本がたくさんあります。さすがに、それぞれの分野で成功された方たちが選ぶ本だけあって、こういうのもあったのか、と唸るようなものが多いです」
 
 
民安さんは「知の巨人」といわれる松岡正剛さんの編集学校で学び、その知識を生かして、既存の分類法にとらわれず、さまざまな切り口でテーマを決め、知的好奇心をくすぐる本棚の陳列を目指しているそうです。
「図書館という堅いイメージを打ち砕くような、ワクワクする場所にしたい」と語る民安さん。
 
本を横にしたり、重ねて置いたり、陳列の仕方も工夫をされているのだとか。
ユニークなのは、あるテーマを決めてそれに関連した本を三冊紹介するという「三冊堂」のコーナー。
「インクが紙にしみる」、「傍らの辞書が主役になる時」などのテーマの付け方もおもしろく、ほぼ1週間ごことに更新されています。民安さんはじめ司書さんの本に対するセンスと愛情が伝わるコーナーです。
 
 
また幕別町図書館では、地元の技能士会の協力により、素敵でちょっと変わった「ブックシェルフ」(本棚の意味)もお目見えしました。

 


 
なるほど。本棚の中に使う本棚なんですね。
使い方は自由自在。テーマごとに本を区切ることができる画期的なアイデアです!
色もカラフルでかわいいし、遠くからでも見やすい「ブックシェルフ」ですね。
知れば知るほど魅力的な取り組みを数多く手がけている幕別町図書館。
既成概念に捉われず、自由な発想で考えるきっかけを与えてくれる、そんな素敵な場所です。

「北の本箱」に陳列されている本は、一部を除いて、十勝管内の方には貸し出しも可能です。
十勝に住んでいなくても幕別町図書館を訪れることはもちろんOK
十勝を訪れた際には、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。