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公開 | チバタカコ

北海道の鹿部町発、イリエ船橋商店の「軽石干し」の魚がおいしい!

鹿部町イリエ船橋商店軽石干し


道南の鹿部(しかべ)町に、駒ヶ岳(こまがだけ)噴火の際の軽石を利用した「軽石干し」という名の魚の干物が誕生したというので、さっそく行ってきました。したっけ!なーまーらー、おいしい干物に出会えました!
 
 

目次

・「軽石干し」は、近所の立ち話から始まった
・「軽石干し」は、ち密なデータ分析で完成
・「軽石干し」の製造は、時間の逆算から始まる
・ホッケの軽石干しができるまで
・「軽石干し」のお味は?
・「北のハイグレード食品S2019」と「北海道新技術食品部門開発奨励賞」
・「軽石干し」は、どこで買える?

 
 

鹿部町の「軽石干し」は、
近所の立ち話から始まった

鹿部町は、1929(昭和4)年の駒ヶ岳大噴火で大きな被害を受けました。周辺にあった森町や砂原町(現森町)、七飯町も然り。その時に降り積もった火山灰(軽石)の上に、今の鹿部町があります。


1929(昭和4)年、駒ヶ岳大噴火の時の鹿部町1▲1929(昭和4)年、駒ヶ岳大噴火の時の鹿部町
※写真提供:鹿部町


1929(昭和4)年、駒ヶ岳大噴火の時の鹿部町2※写真提供:鹿部町


1929(昭和4)年、駒ヶ岳大噴火の時の鹿部町3▲町が埋もれてしまうくらいの大きな被害であったことがわかります
※写真提供:鹿部町

 
火山灰の土地というと、やせ細って農作物がよく育たないというマイナスイメージがあります。が、一方で吸水性がよく、水はけがよいことでも知られています。
 

イリエ船橋商店の代表取締役、船橋敦子さん▲イリエ船橋商店の代表取締役、船橋敦子さん
 

ある時、イリエ船橋商店の代表取締役、船橋敦子さんは近所の郵便局の局長が、軽石を石でたたきつぶしているのを見かけます。話を聞くと、鹿児島では桜島の火山灰を使った「灰干し」という魚の干物があり「鹿部でも何かつくりたい」という思いつきがあったとか。
 
船橋さんはさっそくインターネットであれこれ調べてみました。すると、肉に塩水を吹きかけて、浸透圧で肉を柔らかくするという項目に目が止まりました。
 
「肉でできるなら、魚でもできるんでないかい。うちは魚の加工業だから、新鮮な魚はたくさんある!」
 
しかし、あれこれ考えてはみたものの、所詮は素人。そこで、北海道立工業技術センター(以下、道立技術センター)に相談し、鹿部町の軽石を調べてもらい、そこから試行錯誤が始まりました。

 

「軽石干し」は、ち密なデータ分析で完成

道立技術センターの分析結果で、鹿部の軽石には無数の穴があり、その半分が空間で100gあたり約43gの水を吸収することがわかりました。
 
そして、「軽石干し」に利用する軽石は2~5mmくらいの粒が最適で、流水洗浄後、乾燥させて180℃で3時間滅菌処理をすると、衛生的に使えることもわかりました。
 
この軽石を使って、魚にちょうどいい塩気を持たせた干物づくりを開始。
 
「天日干し、塩水漬けなど、いろいろやりましたよ」と船橋さん。
 
その結果、開発された技術が「軽石干し」です。
 
「軽石干し」は、魚の水分を除く時の時間と温度が一番重要なポイント。一番適切なタイミングで仕上げると、魚のうま味成分であるイノシン酸が身に多く残り、さらにアミノ酸が濃縮するので、一層うま味を感じます。
 

イリエ船橋商店軽石干しの船橋さんが「カルテ」と呼んでいるデータ表▲船橋さんが「カルテ」と呼んでいるデータ表。水分量がどれくらい減ったか、塩分はどれくらいかを測っています
 

カレンダーの裏を再利用した手書きのカルテは、ぱっと見るとアナログな感じがしましたが、その内容はち密なデータ。「軽石干し」が、実に科学的につくられていることがわかります。
 
最も適切な塩分濃度で、味ムラのない安定した商品に仕上げるために、毎回必ずチェックしているそうです。
 
 
軽石干しのカルテを持つ船橋さん▲「数字で確認できると、仕上がりに自信が持てる」と船橋さん

 
「道立技術センターが詳細な分析をしてくれたおかげで、ここまでできるようになった」と船橋さんは話します。

 

「軽石干し」の製造は、時間の逆算から始まる

「軽石干し」は、干した魚の水分が90%になり、塩分が0.6~0.8%になることが条件。魚の種類によって、例えば宗八なら24時間、ホッケとイワシは18時間など、干す時間が異なることも実証済みなので、製造作業は時間の逆算から始まります。
 

軽石干しの軽石▲これが使用する軽石。この軽石の布団に包まれて魚がじっくり熟成されます


取材時はちょうどホッケの仕込みがあり、18時間後に仕上げるのを逆算して、午前中に仕入れたホッケのさばきが行われ、「軽石干し」の作業は14時からスタート。翌朝6時頃に完成するという流れです。

 

ホッケの「軽石干し」ができるまで

ホッケの「軽石干し」作業を見学することができました。
 

軽石干しの作業場▲「軽石干し」の作業場
 

軽石干しで使う開いたホッケ▲その日に仕入れたホッケを開きます
 

軽石干しのホッケの汚れをとる▲汚れなどを丁寧にに拭き取ります
 

軽石干しのホッケの重さを量る▲干す前のホッケの重さを量ります。18時間後、水分の抜けを確認するためにもう一度量ります。これが、船橋さんのカルテに記録されています
 

軽石干しのホッケの重さを記す▲ホッケの重さを記します
 

「軽石干し」は、以下のような層にして、魚(今回はホッケ)をサンドします。
 
    軽石
    布
    セロハン
    
魚(ホッケ)
    セロハン
    布
    軽石
 
 
軽石干しのホッケにセロハンをかぶせる


軽石干しのホッケにセロハンを密着させる▲魚の形に合わせてセロハンをぴったり密着させるのがポイント
 

塩を量る▲きっちり塩の分量を量り…
 

軽石干しのホッケに塩をふる▲塩をふります。この時、まんべんなく塩をふるのにコツが必要だとか
 
 
軽石干しのホッケに布を敷く▲布を敷いて…
 

軽石干し用に軽石を敷く


軽石を敷き詰める▲軽石を敷き詰めます
 

これを5℃以下の冷蔵庫で、所定の時間(ホッケは18時間)寝かせてでき上りです。
 

軽石干しのホッケ(上)と宗八▲「軽石干.」しのホッケ(上)と宗八。通常は冷凍しています。これは解凍したもの


軽石干しのホッケと宗八▲大きいので家庭用魚焼きグリルに入りきらないかも。もったいないけど、その時は頭を切るとか、半分に切るとかして焼いてください 。フライパンでも焼くことができます

 

「軽石干し」のお味は?

ここまで手間暇かけてつくった「軽石干し」の味は…というと、ホッケを食べた個人的な感想ですが、

干物特有の魚臭さをほとんど感じない。これは魚臭さが苦手な人でも食べやすいはず。
身がふっくら!ふわっとした感じは、箸を入れた瞬間に伝わってきます。
・パサつきがなくとてもジューシー
うす塩なので、ホッケ本来の味がしっかりわかります。
・何より、この絶妙な塩加減!しょっぱくないので、なんぼでも食べらさる
 
 
焼いたホッケの開き※写真はイメージです

 
その後、軽石干しの宗八とイワシもいただきましたが、まー、おいしい!
魚好きにはたまらないおいしさ。ご飯のおかずはもちろんですが、酒の肴としても相性抜群です。
 
いやいや、なまら、おいしいわ!
 
 

「北のハイグレード食品S2019」と
「北海道新技術食品部門開発奨励賞」

イリエ船橋商店の「軽石干し」は、北海道が主催する「北のハイグレード食品S(セレクション)2019」に選定されました。ちなみに、2014年にも同店の「はちみつ明太子」が選定されています。


北のハイグレード食品S(セレクション)2019選定、軽石干しのホッケと宗八
 
 
また、軽石干しの新製法は2018年、同じく北海道が主催する「北海道新技術」の食品部門で「開発奨励賞」を受賞しています。
 

北海道新技術」の食品部門で「開発奨励賞」、鹿部町イリエ船橋商店
 
 

イリエ船橋商店の軽石干しは、どこで買える?

軽石干しは、鹿部町の道の駅「しかべ間歇泉公園」で販売している他、通販でも購入可能。
船橋さんは「現在、販路を広げるために、あちこちで商談しています」と話していましたので、近々、皆さんの近くでも手に入れることができるかもしれません。


冷凍の軽石干しホッケと宗八▲冷凍した軽石干しのホッケと宗八


鹿部町のイリエ船橋商店でももちろん購入可能ですが、直接来店の場合は、予め連絡をしてください。
 
 

関連リンク

イリエ船橋商店通販
北のハイグレード食品S
鹿部町公式HP
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