北海道情報サイト「北海道ライカーズ」北海道情報サイト「北海道ライカーズ」

what likers

Icon search探す

公開 | 佐藤 大輔

サービス精神が生んだ「乗せない」カツ丼とは?室蘭の老舗「小がねそば」の名物を食らう!

サクサクとんかつとふわトロ卵に、ご飯によく合うつゆが絡むカツ丼。
丼片手に「ガッ」とほおばる従来の丼の概念を覆す、室蘭発祥のカツ丼があると聞き、早速現地へ突撃してきました!

 

「小がね」のルーツは、なんと函館にあり

室蘭市と登別市、さらには苫小牧にものれん分けされた店舗を持つ、地元では古くから市民に親しまれてきた「小がね」。
数あるお店の中で今回お伺いしたのは、創業者を叔父に持ち、現在(有)そばの小がね代表取締役の秦真司さんが経営する、「小がねそば輪西店」です。


外観▲もとは小がねが経営する鍋物屋があったという場所をそば店に改修


小がねの創業は昭和34年頃。
函館市でそば店を営んでいた初代が、当時経済成長が著しかった室蘭市の中島町に店を構えたのが始まりです。

同じく函館に住んでいた秦さんはまだ高校生。時間があればよく店を手伝いに来ていた縁で室蘭に移住し、室蘭で出会った笑顔がキュートな奥さん・政子さんとともに、自身もお店を持つことになったそうです。


ご夫婦▲お互いに「騙されて結婚した(笑)」と言って譲らない秦さん夫妻


ところが当時、室蘭市ではそばがあまり食べられておらず、お客さんの入りはイマイチ。繁盛していたのはラーメン店でした。

そこで小がねでもラーメンの提供を始めましたが、やはり本業のようにはうまくいきません。

「不得手なラーメンの影響で、小がね自体の客離れが起こることはなんとしても避けたい!」ということでラーメンからは一旦距離を置き、出前に力を入れます。
※現在提供しているラーメンはリピーターもいる人気メニューです!


メニュー札▲毎日来ても飽きが来ない豊富なメニューラインナップ


そんな中好評だったのが、現在も一番人気の「カツ丼(1000円)」を含む丼物でした。

 

「丼」なのに別皿提供!その真相に迫る!

カツ丼、天丼、親子丼。丼にも色々あるけれど、大抵の人が思い描く姿は丼に盛られたほかほかご飯の上に、食の進むあれこれが乗っかった姿ではないでしょうか。
ところがここ、小がねそば輪西店のカツ丼は、そんな常識を軽々と打ち砕いてくれます。


提供直前のかつ丼▲ホール担当の奥さんとの連携は、さすが長年連れ添ったパートナー


それではアップでご覧ください。
どうぞー!!


かつ丼全景▲フタを開けた瞬間立ち上る湯気と香り…ん?カツだけ??


いかがでしょうか?
カツ丼を注文してこれが出てきたら、「お!きたきたー!」のあとに一瞬

「あれ?」

と思うのではないでしょうか。

そうです、カツが別皿なのです。

別皿で出てくる理由について一部ネット上には、

"あまりにもカツが大きく、丼に乗りきらなかったから”

という情報が流れていますが、個人的にはお客様目線で考えると「なら器を大きくするか、カツ重ねればいいんじゃない?」と思っていました。

長年の疑問に今、答えを得るチャンス到来。
秦さんによれば、この提供スタイルは「出前をしていた頃の名残」ではないか?とのこと。

…?
どういうことでしょう…?

事の顛末はこうです。

小がねのカツ丼も、元々は丼にカツが乗ったオーソドックスな丼でした。
さて、丼の出前を取ったことがある人ならわかるかもしれませんが、出前用に作ったカツ丼が口に運ばれるまでには、お店で食べる時よりもずっと時間がかかります。

当然その間ご飯は汁を吸い続け、俗に「花が咲いた」と呼ばれるふやけた状態になりがち。
これでは作りたてを食べてほしいお店側はもちろん、つゆと一緒にご飯をかきこみたいツユだく派も、しょんぼりするより他ありません。


店内▲小上がりが4卓あり、小さな子ども連れでも利用しやすい店内


もうお気づきでしょうか?

そうです、「カツ別皿」は、出前でもご飯をふやけさせずに、おいしい状態で食べて欲しいという思いから始まったのです。
さらにもうひとつ、小がねのカツ丼の汁は多めです。これは、ツユだく派のお客様からの要望に応え、「もう好きなだけかけてちょうだい!」というサービス精神が具現化したものです。

なるほど、だからレンゲが添えられているんですね。


レンゲ汁▲たっぷりの汁を好きなだけご飯にかけられる幸せにどっぷり浸りましょう


なんだか絡み合った糸がスッとほどけたような気分です。
物事には必ず理由があるんだと、改めて学ばせていただきました(しみじみ)。

 

さらに解剖!輪西店のカツ丼

別皿で提供するのは各店統一のルールですが、お皿部分は陶器の丸皿のお店もあれば、鉄皿のお店もあり、各店それぞれの個性があります。
輪西店のカツ丼をさらに見てみましょう!

肉は地元「室蘭ミート」の北海道産生ロースを使用。調理後で250gという大ボリュームも小がねのカツ丼が愛される理由の一つです。


揚げ中▲熟練の手さばきでカツを揚げていく秦さん


肉断面▲理屈抜きで食欲に訴えかけてくるこの断面と照りの力


つゆの元になるだしはサバ・カツオ・ソウダガツオの混合だし。
このだしと創業以来つぎ足してきた秘伝の「返し」を合わせ、丼物用にはさらに「あま」と呼ばれる甘~いたれを加えて完成です。


つゆ▲3種の混合だしの旨みと、歴史の深みのある返しを合わせたつゆ


カラリと揚がったお肉を、つゆが入った鍋に並べ、卵をひと回しして軽く煮込めば、たまらない香りが容赦なく胃袋を揺さぶります。


煮込む▲カツ「今ぼく、おいしくなってます(ぐつぐつ)」


提供用の陶板皿に移し、いよいよお客様の下へ!
・・・と思ったら、こ、これは!


ほのお▲赤々と燃える炎の揺らめきが、期待感に拍車をかけます


旅館でよく見る、アツアツ陶板焼きスタイルではないですか!!
「日本人は目で食べる」とはよく聞きますが、やっぱりこうやって出されると俄然楽しい気分になりますね。

ちなみに小がね全店を見回しても、このスタイルで提供しているのは、輪西店だけだそうです。
「せっかくだからアツアツを食べてほしい」というサービス精神で始めた提供スタイルだそうですが、むしろアツアツは苦手!という猫舌さんもご安心ください。


火消しサービスございます!
味とボリュームとサービス精神、まさにおなかも心も満腹になれる「小がねのカツ丼」。
室蘭周辺のランチに是非お試しあれ!


みそカツ丼▲からみそカツ丼(1,100円)もごはんが進みすぎる逸品 ※名古屋風の「味噌カツ丼(1,100円)」もあるのでご注意を


おそばにも丼にも使える小がね輪西店自家製つゆ(320円)もお土産におすすめです♪


販売用つゆ
この記事をSNSでシェアしよう!
  • サービス精神が生んだ「乗せない」カツ丼とは?室蘭の老舗「小がねそば」の名物を食らう!

4686fd46 4c7d 4bff b73f cf231e143ce4

Writer

佐藤 大輔

Title
Close