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公開 | 佐藤 大輔

ヤミツキ必至の「しっとり系」天丼!室蘭市の百年食堂・天勝

「天ぷらは薄衣の揚げたてを、サクサクとした食感を楽しみながら食べるもの」

21世紀初頭の現在、これが日本人の大多数が思い描く天ぷらの姿ではないでしょうか?
今回紹介するのは、そんな大方の予想を裏切る「しっとり系」の天丼です。
 

初代店主はなんと江戸っ子!
室蘭に「江戸前天丼」を伝える

外観▲これまでに何度か移転しており、現在室蘭市中央町に立つお店は昭和28年に建て直したもの


室蘭市中央町。かつてここはキャバレーや料亭がひしめき合っていた商店街でした。

時代の流れとともに商店街の姿もお店も変わり、今では決して賑やかな場所とは言えませんが、裏を返せば今も残っている店というのは、これまで生き抜いてきた理由のある名店だと言えるはず。

こちらの「天勝」もその一つです。


天勝の創業は大正9年。今や数少ない、室蘭の変遷とともに歩んできた老舗です。
お店の名前は創業者である初代・天里勝三さんに由来しています。

こちらの初代はなんと江戸っ子だそうで、当時好景気に沸いていた室蘭に移住したことから、鉄の男たちの胃袋を満たす江戸前天丼・天勝の歴史がスタートします。


苦節十年▲2代目の頃からあるという書、「苦節十年」。いまや100年に迫ります



…ん?
江戸…?
…江戸前…??


「江戸前天丼」ってなあに?
はい、
関東圏のみなさんにはおなじみかもしれませんが、天ぷらの世界には「江戸前天丼」というジャンルがあるそうです。
今主流となっているサクサク天ぷらよりもずっと歴史が深く、
その特徴は

 しっかりとした衣
 揚げ油にはごま油を使用
 揚げたら丸ごと秘伝のタレに付ける
 丼はふた付きで提供


この4つ。

そうか、入口を開けたとたんにおなかが減ったのは、ごま油の香りのせいだったのか。

これらの特徴について現在天勝を営む3代目・天里徳寿さんに教えていただきました。


3代目▲柔らかな応対と、はにかんだ笑顔がステキな徳寿さん


子供のころから料理に親しんでいたものの、店を継ぐことは考えていなかったそう。
宮城県仙台市の割烹料理店での修業2年目に、先代であるお父さんに呼ばれたことを機に、自然と店を継ぐことになったのだとか。
 

サクサクが欲しいなら他をあたれ!
これが天勝の「江戸前天丼」だ

↑別に3代目がこんなことを言っているわけではありませんのであしからず笑。
とはいえ、「サクサク」とは別物だと思って食べてほしい、江戸前天丼の魅力を見ていきましょう。​

①しっかりとした衣

衣はなにか特別な仕掛けがあるわけではなく、昔ながらの一般的な天ぷらの衣だそうです。
昨今上品な天ぷら屋さんに行くと、シースルーかと思うような薄い衣を羽織って出てくる事がありますが、天勝の天ぷらは、食材がちゃんとした服を着ています。


揚げ方▲揚げ方さんの練達ぶりにも注目。天ぷらが揚がる軽快な音に期待は高まるばかり


季節で言うなら沖縄の夏と北海道の秋くらいの違いでしょうか。
とはいえ、アメリカンドッグ(アラスカの冬)みたいになっているわけではないのでご安心を。
え、わかりにくい?
 

②揚げ油にはごま油を使用

人間は呼吸をしなくては生きていけません。呼吸をするたびに食欲を刺激するごま油の香ばしい香りは、もはや暴力的とも言える江戸前天丼の魅力です。
ちなみに本場の江戸(東京)では、ごま油100%という店も多いそうですが、天勝ではごま油とサラダ油を1:1で合わせた特製油で揚げることで、しつこくなり過ぎないようにしています。

③揚げたら丸ごと秘伝のタレに付ける

サクサク原理主義者が見たら気絶しかねないこの工程。
カラリと揚がった天ぷらを、創業以来継ぎ足されてきた秘伝のタレにくぐらせます。
「返し」と呼ばれるこのタレは、サバ節と煮干しの混合節を、砂糖や醤油などの調味料と一緒にじっくり煮出したもの。
お蕎麦用のものはさらに昆布だしを加えているのだそうです。


サクサク▲まだサクサクの天婦羅を…

漬ける▲「キャァァァァァァァ!!」

染みる▲じゅん、じゅわ~っと染み込みました


ごま油の風味とタレの旨みが「じゅん、じゅわ~っ」と広がったこの衣が、主役のはずの食材を脅かすほどのうまさなのです。
タレの量がが多くても少なくてもいけないとあって、揚げ方の職人さんが最も気を遣う工程がこのタレなのだそう。
 

④丼はフタ付きで提供

タレの海でひと泳ぎした天ぷらは、ご飯のビーチに寝そべります。
ここですかさず登場するのが丼のフタ。その姿は、紫外線からお肌を守るパラソルさながらであります。
こうしてフタで蒸らす事で、タレがまんべんなく衣に浸透し、江戸前天丼が完成します。


天丼全景▲丼からはみ出たエビの尻尾に期待が高まります


それではさっそく…
天丼開ける▲丼のフタを開けるって久しぶりでワクワクします

丼メイン▲出たーッッ!!そっと添えられた味噌汁もしっかりダシが効いてます


こちらが天勝の大定番「天丼(900円)」。
エビ×4・イカ×1という食の進む布陣、まずはやはりエビに食らいついてみます(ふわっじゅっ)!


天丼アップ▲甘味のある新鮮なエビが、程よくタレが回ったきつね色の衣をまとっております


なるほど、ひと口で理解しました。
この天丼は、どんぶりを持ってかきこむのが似合う天丼です。
往時の鉄の男たちのように、豪快にかぶりつきましょう!

室蘭を離れた元・市民が、天丼ではなく「天勝の天丼」が食べたくなると聞きますが、その気持ちがよくわかる食後の満足感です。

 

食べるだけじゃ物足りない!
天勝マメ知識

その①事前会計

入口の壁には提供中のメニューと価格が書かれた札がたくさん。天勝は席に着く前に入口でメニューを決めて先に支払いを済ませるシステムです。
今回は天丼をいただきましたが、常連さんに人気なのが「天ぷらそば」なのだとか。


メニュー▲メニューは全て税込みの明朗会計です
 

その②謎のフダ

支払いを済ませると、謎のフダを渡されます。実はこのフダ、何種類もあって、形と色で注文したメニューを把握しているそうです。​
新人バイトさんにとっては悩みどころですね笑。


メニュー札▲フダが入っている木のケースも味わい深い色ツヤになっています


メニュー札アップ▲フダ各種。ちなみに天丼は手前の赤くて四角いフダ
 

その③流れるようなチームワーク

営業時間中ひっきりなしにお客が訪れる天勝ですが、特にランチタイムは戦争のような忙しさです。


厨房ロング▲次々に生み出される天ぷらを眺めているだけでも楽しい


その忙しさが生み出した、
「注文を受ける→揚げ方が揚げる→タレにつける→ご飯に盛りつける→フタ閉める→提供」
という作り手と運び手の無駄のない一連の動き。
ぜひカウンター席で見学してみましょう。

・・・・・・・

どうですか、おなかが減るでしょう。
一度食べたらきっとクセになる「天勝」の江戸前天丼。
サクサク派のアナタも、それはそれとしてぜひ一度食べてみてください。


内観ロング▲小上がり席も多く、家族連れにもおすすめ
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Writer

佐藤 大輔

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