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公開 | 大宮 あゆみ

「農」の価値とカタチ③食育フリーマガジン「mogmag」編集長高橋さやかさんと旭川で有機農家を営む浅野健次郎さん500da714 faab 40a3 988a 49088cf2d731




子どもの食に悩むママたちをサポートするフリーペーパーを創刊した女性デザイナーと、JA職員を経て就農し生産者となった青年。
 
「農業」が全く別の世界を歩んできた二人を引き合わせ、強い絆が結ばれました。

 

ママになったデザイナーが陥った不安とは…

旭川市出身で、幼いころは当麻町の祖母の家で田畑を駆け回って過ごしていたという高橋さやかさん。道外の大学へ進学し、卒業後は故郷の北海道へ戻り印刷会社や広告代理店に勤務していました。

作ること、食べることが好きで、実父とお酒と音楽を楽しめる飲食店の経営も経験したという高橋さん。
その後フリーランスという立場でデザインの仕事を楽しんでいたころに第一子を出産します。
「生活が180度変わってしまった」ターニングポイントでした。




 
「はじめての子育てはわからないことばかりで不安だらけでした。特に悩んだのが離乳食。食べたもので体は作られていくと思うと、これでいいのだろうか?と悩んでしまって。食べることが大好きで料理も好きだったのに、今は全然楽しくない。楽しいはずの子どもとのごはんの時間が苦痛にすら思えてきて…」。
 
幼いころから食べることが大好きで「食」が持っている力の大きさを知っていた高橋さんだからこそ、悩みは深くなったのかもしれません。

周りのママたちに聞いてみるとみんな同じように悩んでいると知り、管理栄養士の実母の知識と自分のデザイン力で子育て中のママたちに役立つ情報発信ができないか?と思い立ち、立ち上げたのが食育フリーマガジンmogmag(モグマグ)でした。


 


離乳食へのとり分けができるレシピや、子どもの食についてママやパパが気になる情報が記事の中心になりますが、「食育」において食の生産現場を伝えることも重要と、札幌近郊の生産者を訪ねて紹介するページも作りました。





「野菜って、売られている姿だけでは本当の姿は見えていないと思うんです。畑に行って、どんな人が、どのような思いで育てているのかという背景を読者である子育て中のママにこそ知ってもらいたい。知ることで、野菜への見方も変わりますし、価格の裏にある事情も理解できるようになりますよね」。
 
シリーズ化したこのページで生産者を紹介してくれていたのが、当時JAの職員だった浅野健次郎さんでした。

 

「自然と環境」への興味から見つめた農業の姿

旭川で有機野菜を生産している両親の元に生まれた浅野さん。

小さい頃から自然への興味が強い少年だった浅野さんは、成長とともに環境問題へ関心を持ったことがきっかけで
高校卒業後一年間、宮古島での農場に従事し、大学では林業を学びながら、森を見つめる学生時代を送りました。




 

広い視野と出会い、つながりを得たJA職員時代

大学卒業後、農業に携わる将来を描きながらも、広い社会での経験や視野を得ようと就職活動を行います。
そこで出会ったのがJA中央会でした。

水田・畑作・酪農の予算成立に関わる仕事や、広報、食育、JA職員の営農知識向上につながる研修会の実施などに携わり、農業を取り巻く情勢やメカニズムなど、様々な情報や知識を知ることとなりました。

さらに、このような仕事を通じて農業に関係する方々との出会い繋がりが生まれました。
その中には、mogmag(モグマグ)の高橋さんとの出会いも。




 
「僕が事務局として携わっていたJA青年部でも『食育』事業を行っていましたが、mogmag(モグマグ)さんがアプローチする対象者は小さな子どもを持つお母さんということで、自分たちとは違ったアプローチがありメディアとしてのコンセプトや発信の仕方から新しい気づきを得ることができました。
特に子育て中の生産者さんを取り上げるような取材の際には生産者さん自身もいつもと違う視点で向き合ってもらえたりと、新鮮に感じました」。


▲浅野さんの畑は自然栽培に近く、生態系を無理にいじることなく野菜を育てるのが基本。アスパラも季節になると草の中からニョキニョキと ▲浅野さんの畑は生態系を無理にいじることなく野菜を育てるのが基本。アスパラも草の中からニョキニョキと。浅野さん曰く「草の多く生えている畑のほうが収穫した時の手触り具合からアスパラの瑞々しさを感じます」とのこと

 

JAを退職し、新規就農者として営農へ

ある時ふと、実家がある旭川の神居古潭(カムイコタン)に目を向けてみると地域の衰えを感じるとともに、少しずつ荒廃していく土地の姿がそこにありました。

故郷の風景や環境を守っていくためにも、やはり自らが生産者として農業を通じてこの土地を守っていこうと思いから、JA職員から農家への転身を決意しました。
 
サラリーマンという立場を捨てて生産者になることへの不安などについては

「ようやく自分がやろうとしていた世界に飛び込むことができる高揚感がありました。
なので、充実していたJA中央会職員としての仕事を離れることも、前向きに捉えることができました」。
 
実際就農してご苦労はないですか?の質問には

「ないです!作物や天候、地域と向き合い考えることは毎日ですが、課題にぶつかるのは他の業種でも同じで、それは苦労ではなく夢への前進だと思います。楽観的すぎますかね(笑)」。
その場にいたすべての人が元気になるような浅野さんの言葉でした。
 
現在浅野さんは、両親の畑に隣接する場所に農地を確保し、有機栽培に挑戦しています。今年(2018年)9月に有機JAS認証を取得し、ニンニクや豆類、サツマイモ、カボチャなどを農薬や化学肥料を使わずに栽培しています。


▲浅野さんの豆畑。さくら豆や黒とら豆など高級菜豆を育てている ▲浅野さんの豆畑。さくら豆や黒とら豆など高級菜豆を育てている


浅野さんが就農してからは、高橋さんは家族ぐるみで農業体験をしに時々足を運んでいます。
「浅野さんの畑はとても居心地がいいんです。別世界へ誘うような森の中にあり、そのさきにわーっと畑が広がっているんです。娘も浅野さんのところで農作業のお手伝いをするのを楽しみにしています」。

「職業として農業は、まず本人がすごく元気に健康になる。これは本当です。凄い魅力だと思いませんか?そして、人を感動させることができる。こう思えるのは高橋さんをはじめ農業に携わる者以外の方々が畑に来て素直にそこにあるものを感じてくれるからですね」。

浅野さんにとって、高橋さんは
「農業に直接携わってこそいませんが農業現場と農業に携わる者の家族、農家の考え方を知る『発信者』ですよね。
知識や経験、人脈によって高橋さんの知る『農業』には厚みがあります。

これらが私たちにとっての大きなポイントであると思います。
農業の大切なサポーターでありパートナーとして支え合って行けるように自身の努力を続けたいと思っています」。




 
地場産の食材を食べることは、その地域の景観を守り、歴史や文化を継承していくことにもつながります。
立場は違っても同じ方向を向いているお二人に今後の夢を語っていただきました。
 
高橋さやかさん「北海道の農業は、安全・安心が大前提だと思いますが、その背景にある生産者の方たちのストーリーをmogmag(モグマグ)の誌面では伝え続けていきたいです。自然豊かな北海道に住んでいるからこそ、子育て中のお母さんにも子どもにも、食の時間を楽しんでもらいたいし、mogmag(モグマグ)の活動を通してお母さんたちと生産者の方たちの橋渡しができればと思います」。
 
浅野健次郎さん「僕が就農した時は、有機栽培の研修を受け入れてくれる農家さんが近くにはいなかったんです。だから僕は、今後有機で農業をやりたいと思っている意欲のある人たちをサポートできるように、技術を磨いていきたいと思っています。農業は本当に楽しくて、やりがいのある職業だということを一人でも多くの人に伝えられたら嬉しいです」。
 
二人は去る10月20日(土)、高橋さんのmogmagが主催する「はじめのひとくち展」でも共演。浅野さんは採れたての野菜をたくさん持ってマルシェに参加しました。







 
当日はたくさんの来場者が訪れ、大盛況のうちに幕を閉じました。地方でも開催してほしいなどの声もあり、今後は札幌以外でも開催されるかもしれません。楽しみですね。


取材・原稿/北海道Likersライター 大宮あゆみ
画像提供/mogmag編集部、さんさん助産院、浅野健次郎

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