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公開 | 佐々木葉子

札幌のハイセンスエリア・円山で、市場感覚のお買い物はいかが?(1)

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定番スポット巡りもいいけれど、そこに暮らしているような感覚で街を歩いてみたい。
そんな時は、札幌の人気エリア・円山で、個人商店を訪ねてみませんか。
パート1では、円山の魅力、朝市から続く土地の話などを中心にご紹介します。

 

一度は住んでみたい憧れのエリア、円山地区。

札幌の円山地区は、地下鉄「大通」駅から東西線で3つ目の「円山公園」駅を中心に広がる一帯。住宅地としても、ちょっとおしゃれに食事を楽しめるグルメエリアとしても人気です。

この円山という地名は、初代北海道庁長官・岩村通俊が京都の円山に因んでつけたと伝えられています。

札幌の円山は標高226mの小さな山で、山をおおう原始林は特別天然記念物に選定。円山の麓に広がる円山公園内でエゾリスを見たという話は、地元では実はよく聞かれ、自然が豊かなことの証拠でもあります。


alt、▲桜や紅葉の名所でもある「円山公園」▲桜や紅葉の名所でもある「円山公園」

 
alt、▲秋は昼、冬は朝に活動することが多いというエゾリス。冬眠はしないため、真冬に見かけることも▲秋は昼、冬は朝に活動することが多いというエゾリス。冬眠はしないため、真冬に見かけることも

 

朝市から「まるやまいちば」へ、そして

円山地区は農村として発展。明治の中頃には朝市が立つようになり、そこでは近郊の農家たちがリヤカーで野菜などを運びこみ、仲買人が買い取り、小売をしていたとか。
 

alt、▲提供写真:「円山朝市に集まった近郊の野菜(大正時代)」、三関家提供▲提供写真:「円山朝市に集まった近郊の野菜(大正時代)」、札幌市公文書館所蔵


戦後、組合が結成され、ひとコマずつ店舗を区切り、生産者が直接販売できる、市場のスタイルが確立。それが、後の「まるやまいちば」につながります。

「まるやまいちば」は、地下鉄が通る前の1970年、鉄骨二階建てで完成。多種多彩な業種の55店舗が入居する、スーパーのような存在でした。

「市場のいい時代は、毎日、40kgの漬物樽がいくつも空になるほど、よく売れた。ごはんを食べる暇もなかった」。こう語るのは、「まるやまいちば」で商売をしていた「こんのつけものや」のオーナー・金野好伸さん。円山生まれ、円山育ちの円山っ子で、父が約70年前に創業した食品販売店を受け継ぎ、50年前から漬物販売店を営んでいます。
 

alt、▲円山商店街のボス、円山の生き字引と、一目置かれる金野さん▲円山商店街のボス、円山の生き字引と、一目置かれる金野さん



alt、▲「まるやまいちば」が健在だった頃の金野さんのお店。取材の申し込みも多かったそうです▲「まるやまいちば」が健在だった頃の金野さんのお店。取材の申し込みも多かったそうです


ただ、近隣に大型スーパーができるなど、時代の流れの中で「まるやまいちば」は、2010年に店じまい。おしゃべりも楽しい対面販売、各店の個性や持ち味ある品揃えに魅力を感じていた地元の方々に、惜しまれながらの最後でした。

それでも、この土地で商売を続けたい。そう願う人々は、独立開業して路面店を開いたり、仲間が集まって「ミニまるやまいちば」を運営したり、市場ならではの商いの灯を守っています。また、そうした歴史がある街で、昔ながらの対面販売を行う新しいお店もでてきています。

 

夫婦で好きなものを作り、売る。「こんのつけものや」

円山でのお買い物めぐり。まずは、金野さんのお店を訪ねました。

「まるやまいちば」で長い間商売を続け、現在のお店に移転して10年。「比べれば、いまのほうが楽しいかな」と金野さんがつぶやくと、恵美子さんも「そうよ。今は好きなもの作って売ってるから。昔は既製品を仕入れて売るだけで精いっぱいだった」。商売繁盛、されど、休む暇なしだったのでしょう。

 
alt、▲手作りの漬物を前に立つ、金野好伸さん。「私はちょっと後ろに、控えめにね」と微笑みむ恵美子さん▲手作りの漬物を前に立つ、金野好伸さん。「私はちょっと後ろに、控えめにね」と微笑む恵美子さん


「こんのつけものや」の自家製漬物の一番人気は、糠漬け。毎日、甕の底から糠をかき混ぜ、甕の周りについた糠をきれいに取り除き、糠床を丁寧に使い続けて33年という年代ものです。

「そのむかし、札幌の天ぷら屋さんで天丼を注文したら、付いてきた糠漬けがおいしくて。作り方を聞いたら、教えてくれないの。だから、テレビや雑誌で調べて、我流で漬け始めたのよ」。恵美子さん、つい昨日のことのように語ります。

「作り方を教えてと言う若い人が多いよな」と水を向ける金野さんに、恵美子さんは「我流で良かったらと教えてあげるの。糠に南蛮と、刻んだ昆布を入れて、好き好きで他のものを入れてもいいの」。

でも、どうしても教えられないものがひとつあるそうで、「それは内緒なんだってさ」と笑う金野さんに、恵美子さんが口を真一文字にしてうなずきました。いいご夫婦です。

 
alt、▲恵美子さんが作る糠漬け。「漬けて2、3週間が食べ頃。お買い求めいただくときは、私がきゅうりを必ず味見して、まだ浅いとか、いまが食べ頃とか一言添えています」▲恵美子さん作の糠漬け。「漬けて2、3日が食べ頃。お買い求めいただくときは、私がきゅうりを必ず味見して、まだ浅いとか、いまが食べ頃とか一言添えています」

 

もうすぐ時期のニシン漬けは、予約で完売!

これから寒くなると、知る人ぞ知る、「こんののニシン漬け」が始まります。ニシン漬けは、北海道のソウルフード。ただ、手間がかかるので、自宅で作る人はめっきり少なくなりました。

恵美子さんは、昔ながらの漬け方がモットー。「キャベツ、干したダイコン、昔ながらのカチカチに干した本乾身欠きニシンを麹と塩でしっかり漬ける。今風の浅漬けっぽい出来上がりではなくて、田舎の味。だから、懐かしいと喜ぶ方が多いのよ」。

ところがこのニシン漬け、店頭に並ぶことはなく、お二人で作れる量はすべて予約で売り切れてしまうそうです。

「糠漬けのほか、糠たくあん、赤カブの甘酢漬けなど、店には常時約10種類ほどの自家製の漬物があるから、そっちも食べてみて」と金野さん。作れば売れるからといって、ムリして作るつもりはなさそうです。

 
alt、▲キムチ、山ごぼうの味噌漬け、小茄子の漬物など、どれも2、3食で食べきれるサイズがうれしい▲キムチ、山ごぼうの味噌漬け、小茄子の漬物など、どれも2、3食で食べきれるサイズがうれしい


入口から入って右側には、2、3人がかけられるベンチがあり、金野さんは仕事の手が空けばそこに座って、通りを眺めています。

金野さんは知り合いが通れば、外に出て行って話しかけ、話しかけられた方は「ちょっといいかい」とばかりに、ベンチに腰掛ける。そんなやりとりが残っているところも、この街の味になっているようです。


alt、つけものやこんの外観


パート2では、「まるやまいちば」出身の鮮魚店と精肉店、3年前にこのエリアにオープンした大福屋さんが登場します。
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