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公開 | チバタカコ

札幌の地酒「千歳鶴」~北海道の酒蔵シリーズ(1)

札幌の地酒、日本清酒(株)千歳鶴

 
札幌市民の皆さん、「札幌の地酒は何?」と聞かれたら何と答えますか?
「え?札幌に日本酒あるの?」と思う人も意外と多いのでは?
札幌市中央区豊平川沿い、明治5(1872)年創業の「千歳鶴」が、それです。

 

目次

・札幌の地酒「千歳鶴」
・「千歳鶴」の酒蔵はどこにある?
・豊平川の伏流水が、「千歳鶴」をつくる
・北海道産の酒造好適米「吟風」と「きたしずく」
・千歳鶴6代目杜氏、市澤智子さん
・おすすめの銘柄は、純米大吟醸「瑞翔」、数量限定販売「濃厚純米」
・酒造りのイメージが、昔とはガラリと変わってきた
・試飲もできる「千歳鶴 酒ミュージアム」
・札幌で「千歳鶴」が飲める、直営店3店

 
 

札幌の地酒「千歳鶴」

いま、道内には12の日本酒メーカーがあります。「北海道と日本酒は、なんだかイメージがわかない」と言われがちですが、北海道の日本酒はいま、確実にレベルを上げ、評価も高まっています。
 
北海道の酒蔵シリーズ第一弾は、札幌の地酒「千歳鶴(ちとせつる)」です。
 

札幌の地酒「千歳鶴」、日本清酒(株)
 

「千歳鶴」をつくっているのは、日本清酒。その原点は、明治5(1872)年、石川県能登から移住してきた柴田與次右衛門(しばたよじうえもん)が、創成川のほとりで造り酒屋「柴田酒造店」を開店したことから始まります。
 
今から146年前のことです。
2018年は、北海道命名150年なので、どれだけ歴史があるかがわかります。
 
開拓使の役人たちに評判だった「柴田酒造店」は業績を伸ばし、明治30(1987)年には同業者を束ねて「札幌酒造合名会社」を設立。大正13(1924)年には「札幌酒造株式会社」となり、昭和3(1928)年に8企業を合同し、現在の「日本清酒株式会社」になりました。
 

日本清酒(株)の丹頂蔵
 

そして、日本酒の統一銘柄を「千歳鶴」としました。

 

「千歳鶴」の酒蔵はどこにある?

「酒蔵」というと、古い日本建築の建物をイメージしますが、日本清酒は、昭和34(1959)年に竣工した、当時は国内最大規模の「丹頂蔵」が酒造工場です。

 
札幌にある日本清酒「丹頂蔵」▲日本清酒「丹頂蔵」
 

場所は、札幌市中央区南3条東5丁目。今風に言うと、創成川イーストエリア。
ズバリ、札幌都心部です。
 

約1万リットルのタンクが80本並ぶ「丹頂蔵」▲約1万リットルのタンクが80本並ぶ「丹頂蔵」。ちなみに、1万リットルを一升瓶にすると5,600本くらいで、それを1日一合飲んだとして飲み切るとしたら何年かかるかというと…150年くらいかかるそうです。2018年は北海道命名150年でしたね…

 
国道36号線を北広島方面から札幌都心部(すすきの方面)に向かって車で走り、豊平川に架かる豊平橋を渡るあたりで右斜め前方に「千歳鶴」の看板が見えます。
  
このような都心部に酒造工場があるというのは、全国的にも珍しいこと。では、なぜこんな都心に酒造工場があるのか?
 
それには理由があります。

 

豊平川の伏流水が、「千歳鶴」をつくる

「千歳鶴」の仕込み水は、豊平川の伏流水です。
 
伏流水とは、河床や河川敷の下を流れている地下水で、地中で自然のろ過が行われるため、表流水に比べて水質が良好といわれます。

表面水とは表面を流れているもので、豊平川がそれにあたります。
 

豊平橋より一本北東側、一条大橋方面から見た「丹頂蔵」▲豊平橋より一本北東側、一条大橋方面から見た「丹頂蔵」。蔵に沿って流れる川は、札幌の母なる川「豊平川」
 

都心部で酒をつくり続ける理由は、この良質な水脈があるから。
 
豊平川に沿って、ビール工場や醸造工場が立ち並んでいることからもわかるように、同じ水源を使っているのでしょう。
 
「千歳鶴」創業以来使い続けているこの水の性質は中硬水。バランスの良い水で、これが酒造りに適しているそうです。
 
…と聞くと、その水、飲んでみたくなりませんか?
 
飲めます!


千歳鶴酒ミュージアムにある、地下150mから汲み上げている水▲千歳鶴酒ミュージアムにある、地下150mから汲み上げている水
※取材時はメンテナンス中でした
※飲料の検査は受けていますが、飲用は個人の責任において行ってください。
 

千歳鶴酒ミュージアム」に行くと、誰でも自由に飲むことができるので、ぜひ立ち寄って札幌の銘水でのどを潤してください。

 

北海道産の酒造好適米「吟風」と「きたしずく」

今更ですが、日本酒の原料は米と水と米麹。

「千歳鶴」の水は、豊平川の伏流水、では米はと言うと、純米酒や吟醸酒の約7割に北海道産酒造好適米「吟風(ぎんぷう)」を使っています。

 
日本清酒(株)千歳鶴の新十津川村の契約農場1▲新十津川村の契約農場
※提供写真
 

「酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)」とは、「酒米」とも呼ばれる酒造りに適した米のことです。食用の「ななつぼし」「ゆめぴりか」などとの大きな違いは、米粒が大きく、米の中心に「心白(しんぱく)」という、白く不透明な部分があること。
 
全国的には「山田錦(やまだにしき)」という酒造好適米が有名です。
 
日本清酒では、新十津川町の「ピンネ酒米生産組合」の生産農家と手を組み、道産酒造好適米だけを原料とする酒造りを行っています。
 

日本清酒(株)千歳鶴の新十津川村の契約農場2※提供写真
 

毎年田植えと稲刈りの時期には、杜氏をはじめ日本清酒の社員が新十津川へ行き、作業を体験します。
 
生産者がどれだけ愛情をかけ、苦労をしながら育てているのか、身をもって体感することで、生産者も一緒に酒造りをしていることを知り、また、生産者は自分たちが育てた米がおいしい酒になることで、励みになり、そして自信にもなると言います。

 
日本清酒(株)千歳鶴の新十津川村の契約農場3※提供写真
 

新十津川では、「吟風」だけではなく「きたしずく」という酒造好適米の作付けも始まりました。日本清酒では、「吟風」と「きたしずく」の2品種を使った酒造りも始まっています。

 

千歳鶴6代目杜氏、市澤智子さん。
「これが北海道の酒だという味が、もうすぐ確立されつつある」

良質な水があり、道産の酒造好適米にこだわる日本清酒で、杜氏(とうじ)として陣頭指揮を執っているのは、6代目杜氏の市澤智子さん。
 
杜氏とは、酒造りの最高責任者のこと。酒の設計図を描き、複雑な酒造りの工程を統率・判断し、その蔵の「味」を決めることができる唯一の人です。
 

千歳鶴6代目杜氏、市澤智子(さとこ)さん1月▲千歳鶴6代目杜氏、市澤智子(さとこ)さん。釧路市出身

 
東京農業大学短期大学部で醸造を学び、卒業後Uターンして地元釧路で地ビール会社、その後福司酒造に勤め、平成27(2015)年9月、縁あって日本清酒に入社。翌年7月に、146年続く日本清酒初の女性杜氏となりました。
 
杜氏として北海道全体の日本酒を見た時、「道内での日本清酒の立ち位置を考えた」と言います。
 
「これだけ大きな会社なのに元気がない、うちはもっともっとできるはずです。道内産の酒造好適米の品質はどんどん上がってきているし、評価も高い。造り手がしっかり酒造りを確立できれば、道産の酒の価値は間違いなく上がる」と思ったそうです。

 
千歳鶴6代目杜氏、市澤智子(さとこ)さん2
 

「千歳鶴」とは?北海道の酒とは?おいしい酒とは?とあれこれ尋ねましたが、市澤さんの答えは、必ず「米」にたどり着きました。
 
釧路の福司酒造に勤めていた頃から、新十津川の生産者とは交流があり、自身で毎年何度も何度も生産者を訪ねるそうです。
 
「道産の酒造好適米は、本当にレベルが上がっていると肌で感じます。生産者は、より良い米をつくろうと日々努力しているし、苦労して育てた結果、この酒になったと生産者にちゃんと伝えることは、よりいいものを造ろうと互いに相乗効果が高まります」。
 
「道産の酒造好適米で造った酒はこういうものだ、これが北海道の酒だという味が、もうすぐ確立されつつあると感じています。もう少しなんです。まだまだできる、やれる自信もある」と市澤さん。
 
市澤さんが、酒の味わいで一番大切にしているのは「バランス」。

米、酵母の組み合わせ、甘味、酸味などのバランスをつくるのが自分の仕事と話します。
 
自身が酒を飲む時は、好きだから楽しむのはもちろんですが、「これは!?」と思うと、どうやってつくっているのか酒の内容を分析して紙に書き出しているのだとか。
 
しかし、杜氏になって3年目、「今シーズンは、壁にぶつかっているかもしれない」とも言います。
 
「今までは『こんな酒だろう』と想像できたのですが、今年は、こんな発想は今までなかった!と思わせる酒との出会いがとても多かった。そういうのに出会うと、気になって気になって仕方がない。出会った酒は自分で分析し、業界の先生たちに『こういうことですか?』と教えを請います。いろいろなことを考えながら酒造りをしている人が、まだまだたくさんいるのだなぁ、と改めて感じています」。
 
日本清酒は、秋から翌春かけて酒造りをする寒造り(かんづくり)を行っています。

北海道Likersが取材をしたのは8月の終わり。まだ仕込み前なので、杜氏の仕事はちょっと暇なのかな?と思ったのですが、とんでもない!
 
この時期は、工場の機械のメンテナンスと、次シーズンの酒の設計図づくりで、杜氏の頭の中はフル稼働だそうです。
 
「北海道は空気がきれい、そこで育てた品質の良い米がある、おいしい水もある。そして食べ物もおいしい。おいしい酒が生まれないはずがない。道産酒の時代は、近いうちに必ず来ますよ」と最後に力強く語ってくれました。
 
 

おすすめの銘柄は、純米大吟醸「瑞翔」、
数量限定販売「濃厚純米」

日本清酒の代表銘柄「千歳鶴」をはじめ、「柴田」、「雪原の舞」、「吉翔」など種類が豊富で、どれをおすすめしよう…と迷ってしまいますが、ここはひとつ、北海道Likers編集長の一押しを!
 
…と思いましたが、取材時に市澤さんが「これは、ぜひ飲んでみてください!」と教えてくれたのを紹介しましょう。
 

・純米大吟醸 「瑞翔」
新十津川の「きたしずく」を使った酒。良い意味で酒臭くない、とても品の良い香りがしました。サラサラっと飲めて、個人的な感想ですが、芳醇な白ワインのような感じです。
 

日本清酒(株)純米大吟醸 「瑞翔」※提供写真

 
原料米/きたしずく(道産酒造好適米)
精米歩合/35%
日本酒度/+1
アルコール度数/16~17
酸度/1.3
 
 
・濃厚純米
吟風100%の酒で数量限定。「甘さと酸味は、今まで造ったことのない配合。かなり攻めています」と市澤さん。
 

日本清酒(株)、吟風100%濃厚純米▲千歳鶴酒ミュージアムで購入できます
※撮影:チバ

 
原料米/吟風(道産酒造好適米)
精米歩合/60%
日本酒度/-14.5
アルコール度数/15~16%
酸度/2.0
※数量限定のためなくなり次第販売終了
 
「千歳鶴」は、平成29(2017)年、平成30(2018)年、2年連続、全国新酒鑑評会にて金賞を受賞しています。
 

平成29酒造年度全国新酒鑑評会 金賞受賞「千歳鶴」▲平成29酒造年度全国新酒鑑評会 金賞受賞「千歳鶴」
 

平成30年札幌国税局主催新酒鑑評会では、道産米吟醸の部・吟醸の部・純米の部でそれぞれ最高位の金賞を受賞!

つまり三冠達成です。

札幌の地酒、北海道の日本酒はいま、そのレベルまできているのですよ!

 

酒造りのイメージが、昔とはガラリと変わってきた

酒造りの昔のイメージは、冬の農閑期に全国の酒蔵に出稼ぎに行き、南部杜氏(岩手県出身)、越後杜氏(新潟県出身)、丹波杜氏(兵庫県出身)などと呼ばれた杜氏が、長年培ってきた経験と勘で酒造りをする、まさに職人技の集大成というものでした。
 

日本清酒(株)、千歳鶴の酒造りの様子1※提供写真

 
しかし、杜氏の高齢化や時代の流れもあり、それも今は昔の話。
 
市澤さんのようにアカデミックに醸造を学び、データ分析などを緻密に行いながら酒造りをするところが増えてきています。
  
道内の酒蔵間でネットワークなど、つながりはあるのか?と市澤さんに尋ねたところ、「もちろん!情報交換は道産酒の底上げにもなる」と即答。
 
 
日本清酒(株)、千歳鶴の酒造りの様子2▲日本清酒は「社員」たちが酒造りをします
※提供写真
 
 
しかし、そうすると企業秘密にしたいことなどが漏れるのでは?とさらに尋ねると「今の杜氏は、皆自信を持っている。仮に、他社の配合などがわかったとしても、同じことはできるが、同じものは絶対できない」と言い切ります。
 

日本清酒(株)、千歳鶴の酒造りの様子3※提供写真
 

確かな知識、積み重ねてきた経験、道産酒造好適米生産者への信頼、同業者の情報ネットワーク、そして「北海道だからこそできる酒がある」という自信と誇り。
 
札幌の地酒「千歳鶴」が、全国の酒好きが「一度は飲んでみたい!」と垂涎する憧れの酒になるのは、そんなに遠い先のことではないと感じました。

 

試飲もできる「千歳鶴 酒ミュージアム」

全国、全道には酒蔵見学ができるところもありますが、日本清酒の工場見学は団体のみで、仕込み前と期間も決まっています。
 
「それじゃぁ、行ってもしょうがないなぁ」なんて思わないでください。

 
千歳鶴 酒ミュージアム外観▲千歳鶴 酒ミュージアム。「千歳鶴」の酒造り資料の展示もあります

 
「丹頂蔵」の真向かいに、「千歳鶴 酒ミュージアム」があります。
 

日本清酒(株)営業本部広報企画商品課課長 川﨑祐二さん▲ミュージアムを案内してくれた、日本清酒(株)営業本部広報企画商品課課長 川﨑祐二さん。新十津川の田植え、収穫はもちろん、丹頂蔵での酒造りも経験
 

ここでは人気の定番品、限定品、酒や酒にあうおつまみなどが購入できる他、酒粕ソフトクリームも味わうことができます。

 
千歳鶴 酒ミュージアム内観1


千歳鶴 酒ミュージアム内観2
 

そして、前述で紹介した「仕込み水」の試飲、さらに館内で販売している酒の試飲もできます。

「きたしずくの酒はどんな味?」「市澤さんおすすめの『濃厚純米』が気になる!」という人は、ぜひここでお試しを。
 

千歳鶴 酒ミュージアムで試飲中▲北海道Likers編集長、試飲中。個人的に「吉翔」や「雪原の舞」が好きなのですが、市澤さんおすすめの「瑞翔」と飲み比べ。取材ですよ、取材

 

札幌で「千歳鶴」が飲める、直営店3店

道内の居酒屋などでは「道産酒が飲める店」が、いま、随分増えてきています。旅行やビジネスで来道、来札の際にそんな店を見つけたら、北海道のおいしい料理との相性を確かめるチャンスです。
 
北海道Likersがおすすめするのは、確実に「千歳鶴」が飲める、蔵元直営店3店。

 
・札幌の地酒 千歳鶴 割烹居酒屋 直営 千歳鶴
「千歳鶴」の多彩な銘柄が味わえます。カウンターもあるので、出張時の一人飲みもOK。


烹居酒屋 直営 千歳鶴
 

札幌市中央区南5条西3丁目 ニューススキノビル1F
TEL:011-531-4788
営業時間:【月~土】 17:00~24:00 [L.O. 23:30]/【日・祝】 17:00~23:00 [L.O. 22:30]
定休日:年中無休
 
 
・札幌の地酒 千歳鶴 蔵元直営 吉翔
「吉翔」は、千歳鶴の看板銘柄。掘りごたつの小上がりで、ゆっくりできます。


札幌の地酒 千歳鶴 蔵元直営 吉翔


札幌市中央区北1条西4丁目 札幌ノースプラザビルB1F
TEL:011-242-2205
営業時間:【月~土】 17:00~23:00 [L.O. 22:30]、【月~土・ランチ】 11:00~14:00
定休日:日曜

 
・札幌の地酒 千歳鶴 立ち飲み 鶴の蔵
札幌駅が近い立ち飲み店なので、ちょっと寄れるのがうれしいところ。


札幌の地酒 千歳鶴 立ち飲み 鶴の蔵


札幌市中央区北4条西5丁目 日生北門館ビル1F(別棟)
TEL:011-222-1200
営業時間:【月~土】 16:00~23:00 [L.O. 22:30]/【祝】 16:00~22:00 [L.O. 21:00]
定休日:日曜
 
道外から来札する皆さん!千歳鶴直営店で、おいしい料理と札幌の地酒「千歳鶴」を堪能してください。
 
 

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