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公開 | わたなべひろみ

北海道の小さな集落で続く「飛生芸術祭」は2018年で10回目!

入稿記事の△部をここに入れます▲photo by AKITAHIDEKI


北海道白老(しらおい)郡白老町竹浦の奥にある飛生(とびう)アートコミュニティー。1986年の設立からさまざまなアーティストが関わる共同アトリエです。この地で毎年9月に開催される飛生芸術祭は今年2018年で10回目を迎えます。

飛生芸術祭TOBIU CAMPについて、それに先駆けて5月に行われた飛生芸術祭10周年記念企画 「飛生に集まるアーティストたちの展覧会」 ―校舎修繕のためのチャリティーエキシビション―を紹介します。

 

目次

・親子3代で関わる廃校になった小学校を利用した共同アトリエ
・森づくりに自ら関わる人達
・ゆるやかに長く続けていくために
・僕らは同じ夢を見る―


 

親子3代で関わる廃校になった小学校を利用した共同アトリエ

飛生アートコミュニティーの設立は1986年のこと。閉校となった飛生小学校を活用して開かれたアーティストの共同アトリエです。ひょんなことから、設立に関わることになったと彫刻家の國松明日香さんは笑います。
 
「仙台藩白老元陣屋資料館の武士像の制作を引き受けることになり、そのために出入りしていた白老町教育委員会で、閉校になる小学校があるのだけれど、アーティストの皆さんで活用することはできないだろうかと相談を受けたんです。だから、最初から何かを始めてやろうと思って飛生に関わったわけではなかったのです」。
 
その後、國松明日香さんは札幌から家族を伴って、飛生に移住します。
 
「メンバーと創作活動をしながら、地域の皆さんと楽しむクラシックやジャズのコンサートを開いたり、工作教室を開催したりしました。
父である洋画家の國松登と飛生に集うアーティスト仲間たちとの作品の展覧会である國松登と飛生の画家や彫刻家達展を開いたこともありました。白老町の若い実業家の皆さんや、役場の若手の方々などがいろいろな面で協力もしてくれましたね。

僕は2年間しか飛生にいられなかったのですが、その2年間は僕にとって大きなターニングポイントになったと思っています。今も、たくさんの仲間達が集まっていますが、あの当時も僕の仲間達がよく遊びに来ていました。
 
子どもの頃に返ったような気持ちになっていましたね。学校というものはそういうものを呼び覚ましてくれるものなのでしょうか。そういった意味でも素晴らしい2年間でした」。


入稿記事の△部をここに入れます▲木造校舎の内部 photo by Asako Yoshikawa

 
「その後は、僕の後輩達が、アトリエを引き継いでくれて、さらに、2002年からは息子の国松希根太(彫刻家/飛生アートコミュニティー代表)が加入して、今に至っています」。
 
 

森づくりに自ら関わる人達

2002年に国松希根太さんが飛生に移住したことをきっかけに、飛生に若者が集まってくることとなります。
 
「遊び場というか。森づくりやイベントなどを始める前は、目的などもなく、ただとにかくこの場所が好きだから来るということで、いろいろな人が集まっていました。4チームに分かれて運動会をやったり、新年会をやったり。

柔らかい雰囲気が、いろんな人を引き寄せる。来る人は拒まないし、もし、その空気に合わない人はそっと去っていく。強制ではなくあくまでも来たい人が来る、という気持ちよさが常にあります」。

とその頃から飛生を訪れていた参加者Kさんは言います。

 
そんな中、2007年、初めてのイベントであるアイヌのトンコリ奏者OKIによるTOBIU meets OKIを開催、2009年からは飛生アートコミュニティーの1年の成果を発表し、地域や住民の方々との交流を意識する場である飛生芸術祭が始まります。
 
そして、飛生芸術祭の期間中に森で一昼夜を過ごすTOBIU CAMPをスタートさせた2011年より始まったのが飛生の森づくりプロジェクトです。
 
小学校の裏手にある学校林は長いこと人の手が入らないまま荒れ果てていました。もう一度、人が集う豊かな森へと再生したいという思いから、有志数名の手により、まずは森の奥への一本道を作ろう! と、うっそうと生い茂る背丈ほどもある笹を刈る作業に四苦八苦することからスタート。

ものづくり、森づくりに精通した方々への協力も仰ぎ、倒木を取り除き、間伐材を伐採し、新たな苗木の植樹、散策路、丸太小屋、木のステージ、丸太のベンチの制作をするなど、苦労しながらも着々と飛生の森をよみがえらせています。それとともに年々、この森づくりに自ら参加する人達も増えていきます。
 

入稿記事の△部をここに入れます▲photo by Asako Yoshikawa


森づくりの参加者の1人はこう話します。

TOBIU CAMPのお客さんとして来ていたのですが、やっぱり森づくりを手伝ってみたいと思い、関わるようになりました。
月に一回の森づくりが息抜きになっています。ここでエネルギーを補充して、また日常にもどるか! って。このまま楽しくやっていけたらいいかなと思っています」。

また、別の参加者は、森では普段の生活では体験できないことができると言います。
 
「Facebookで森づくりをやっていることを知って、初めは1人で参加しました。
日常生活であまり関わることのない人に出会えておもしろい。いろいろな話も聞ける。

今では憩いの場ですね。ここに来れば仲間がいっぱいいる。
それまでやったことのないことができるようになるし。昨年は半分に切った丸太にグラインダーをかけて、ならして椅子を作りましたよ」。

 

ゆるやかに長く続けていくために

飛生アートコミュニティ―の設立からは2018年で32年。旧飛生小学校の木造校舎や滞在制作のための教員住宅の老朽化には抗えません。

これからも活動を継続していくためには補修が必要です。そのための費用をどうしたらよいか。

そんな折、アーティストの奈良美智さんから、飛生のことを知らない人達へ向けての働き掛けがもっとあってもよいのでは? という提案がありました。奈良さんは2016年から飛生アートコミュニティーの活動に賛同、参加しているアーティストの1人です。

こうして、飛生のことをより知ってもらうため、校舎修繕費用のため、飛生芸術祭10周年記念企画 「飛生に集まるアーティストたちの展覧会」 ―校舎修繕のためのチャリティーエキシビション―が開かれました。
 

入稿記事の△部をここに入れます


2018年5月3日から13日までの11日間行われたこの展覧会では、これまで飛生に集まったアーティストを中心に作品展示と販売が行われました。会場となったTOOV cafe/gallery(ト・オン・カフェ/ギャラリー)には、オープニングパーティーの行われた初日はもちろん、連日多くの人々が訪れ、その販売収益は校舎の補修や設備の整備にあてられました。


入稿記事の△部をここに入れます▲飛生を愛するアーティストたちの作品がすらりと並ぶ


入稿記事の△部をここに入れます▲子どもたちも飛生の主役 子どもたちが作ったチャリティ募金箱も

 
奈良さんが飛生の活動に参加するきっかけも期せずしてのことだったと言います。
 

「僕は那須で、木を育てることなどもやっています。そんなこともあって、飛生というところで、廃校になった小学校の学校林の再生をする活動をやっていると知り、おもしろいなーと思ってた。

調べていくと、ライブや芸術祭をやっているという。そんなことを知ってはいたんだけど、北海道新幹線が開通した時に、新幹線で津軽海峡を越えてみようと思い立って、室蘭まで来た。そこで、飛生のことを思い出して、室蘭でレンタカーを借りて行ってみたんです。
 
そうしたら、その日がちょうど森づくりの日で、いきなり行ったにもかかわらず、歓迎してもらって、いろいろな話をするうち、また、秋に来て何かやろうということになったんですね。それが2016年のことで、その年のTOBIU CAMPでトークとアニメーション上映をやりました。
 
でも、ただ行って作品を発表して参加した気になっちゃうのは違うんじゃないかなと思わせるものが飛生にはありました。もっと地域と関わってというのがあってのことだと思ったので、2017年は1ヶ月前から滞在して、森づくりにも参加するところから始めて、ここで作品も制作しました」。


入稿記事の△部をここに入れます▲チャリティーエキシビジョンと同時期に開催された「奈良美智+飛生アートコミュニティー キャラバントークツアー 2018 in HOKKAIDO」の様子 募金を募るために奈良さんが来場者にペンで腕などに絵を描く

 
「ここに森づくりに来るのは、普段はどこかで働いていたり、漁師さんだったり、子育て中のお母さんだったり、みんな頼まれてきているわけじゃなくて、やりたい人が自分の空いている時間を利用して来ている。僕も奈良美智という名前で来るのではなくて、そんなメンバーの1人としてやっていけたらいいなって。やってるみんなの姿が本当にかっこよかったんで」。

 

僕らは同じ夢を見る―

今年2018年で10年目を迎える飛生芸術祭は9月8日(土)から16日(日)まで行われます。

オープニングイベントとなるTOBIU CAMP 2018は9月8日(土)9日(日)の一昼夜。

 
旧飛生小学校の校舎、飛生の森のあちらこちらで、音楽、アート、ダンス、演劇とさまざまなパフォーマンスが総勢88組にのぼるキャストによって繰り広げられます。
 
日中は樹々の木漏れ日の中、日が暮れたら、明々と灯るたき火の炎に照らされて、あるいは森の暗がりの間に見られる、多様な表現を堪能することができます。
 

入稿記事の△部をここに入れます▲photo by AKITAHIDEKI


森のワークビレッジでは、アイヌ伝承楽器ムックリづくり、音づくり、造形体験、シルクスクリーンなど、大人も子どもも、一緒にものづくりを楽しむことができるワークショップが開かれます。ここでも、毎年、思いもよらない傑作が生みだされます。
 

入稿記事の△部をここに入れます▲photo by Asako Yoshikawa


森で遊び疲れて、お腹がすいたら、フードエリアへ。30以上の選りすぐりのショップがオリジナルの手づくりメニューを用意して待っています。TOBIU CAMPの楽しみの1つはフードにあると言っても過言ではありません。
 
大人も子どもも、思うままに森の中で過ごすことができます。

 
「年々居心地のいい場所になっているかなって思います。
子どもたちがすごく自由に思いっきり駆け回って、声を上げて、道端の水たまりでどんなに遊んでもいい。それを周りの大人も、場所も受け入れる態勢が出来ているっていうのが、本当に素晴らしい。すてきだなって」。

と、自身もダンサーとしてパフォーマンスを行う牛島有佳子さんは、こう言います。

 
飛生の語源は、「Tupiu」というアイヌ語です。「ネマガリダケが多いところ」いう意味と言われますが、「黒い鳥が多くいた場所」とする記述もあるそうです。

Tupiuという黒い鳥が見守る森という考えをもとに、そこに集う人々がそれぞれの「神話」を紡ぐことができる世界を目指して森づくりは続いています。

 
入稿記事の△部をここに入れます▲photo by Asako Yoshikawa


「僕らは同じ夢を見る―」……夢のような森の空間の中で、自分なりの「神話」を見つけに飛生の森を訪れてみてはいかがでしょうか。



開催概要

※9月6日に発生した平成30年北海道胆振東部地震の影響により、TOBIU CAMP2018「森と人との百物語」は開催中止となりました。
飛生芸術祭2018につきましては現在のところ未定だそうです。
詳しくはこちらhttps://tobiu.com/topics/6005をご覧ください。

飛生芸術祭2018「僕らは同じ夢をみる-」

期間 2018年9月8日(土)〜16日(日)
会場 飛生アートコミュニティー(旧飛生小学校)
   北海道白老郡白老町字竹浦520


飛生芸術祭オープニングイベント
TOBIU CAMP 2018「森と人との百物語」

期間 2018年9月8日(土) 〜 9日(日)[雨天決行] オールナイト / キャンプイン
時間 8日 開場12:00 / 9日 閉場14:00 ※時間は予定
入場チケット
・一般前売 : 4,500円
・しらおい割前売券:4,000円(白老町内取扱い店舗のみ)
・当日 : 5,500円
・学生(専・大学生):3,000円(ローソンチケットにて/ 当日学生証掲示)
・9月9日(日)AM6:00以降の入場:1,500円

※高校生以下無料(保護者同伴のもと)
※駐車場無料


飛生の森の展覧会(公開展示)
期間 2018年9月10日(月)〜16日(日)10:00-16:00
会場 飛生アートコミュニティー(旧飛生小学校)
入場料
ドネーション制 (期間中会場に募金箱を設置)、高校生以下無料

※9月8日、9日はトビウキャンプの入場チケットの購入が必要です。


※飛生アートコミュニティーは、アーティストの制作アトリエですので、イベント時以外の内部の見学は基本的には受付ていません。
希望の方はあらかじめお問合せフォームから申し込んでください。

 

関連リンク

飛生芸術祭 / TOBIU CAMP

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