「くらしを紡ぐ」自ら紡ぎ、染める贅沢がある:「北海道の田舎に越して」シリーズ(2)

今日は、士別市地域おこし協力隊隊員 鯨井さんからの情報をご紹介!
 
 
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士別市地域おこし協力隊の鯨井啓子(くじらい けいこ)です。
私は1年半前、埼玉県さいたま市から道北・士別市に移り住みました。  
 
 
なだらかに連なる丘の上で、羊たちが草を食む。そんな牧歌的な風景が日本にいながらにして楽しめる場所、それが私の住むまち、道北・士別市です。
 
 
最北のインターチェンジを降りて10分。士別のまちを囲むように広々と連なる「羊と雲の丘」では、たくさんの羊が飼育されています。
 
 
 
 
関東育ちの私がとても驚いたこと、それは「北海道の春は一気にやってくる」ということです!
 
2月頃から梅、桃、桜と順番に花が咲くことで季節の訪れを感じる関東の春とは違い、士別では4月中旬、雪の下からやっと見えてくる土の上にフキノトウなどの植物がいっせいに顔を出し、景色が活気づきます。
 
ほほをなでる心地の良いそよ風と、いたるところで聞こえる雪どけの水音とともにやってくる士別の春は、ゴールデンウィークに真っ盛りを迎えます。
このころの士別は朝晩は寒いほどでも、晴れの日には気温はたちまち20℃以上に。
もっふもふの羊毛にくるまれている羊たちは暑さに耐えられなくなるため、本格的な毛刈りシーズンに突入するのです。
 
 
 
 
毛刈りのときの体勢は、羊にとっても苦しいもの。そのため毛刈りは早い人だとなんと3分程度で終わらせます!
刈りあげた羊毛は、使える部分をとりわけ、羊毛加工に使います。
 
この時期の士別は花盛り!
 
 
 
 
関東ではもうなかなか見ることのできなくなったニホンタンポポが、あちこちに黄色のタンポポロードを作ります!そんな花を生かしてできること。それが、士別で元気に育った羊の毛を使った草木染め!
 
「羊と雲の丘」内に位置する、羊毛の染め、つむぎ、織り、編み、織り、フェルトの体験施設、「めん羊工芸館くるるん」で体験することができます。
 
 
 
 
まずはかごいっぱいになるまでタンポポの花摘み。摘み終わったら布の袋に入れて、グツグツ煮出します。
色止めのミョウバンを入れて煮ておいた羊毛を投入し、さらにグツグツ。じっくり羊毛に色が入っていきます。
 
乾燥保存ができる白樺の樹皮などと違い、タンポポはすぐに煮出さないと色が変わってしまいます。
そのため、タンポポの草木染めは花を摘む時間を含めると1日作業。化学染料より時間がかかりますが、まさにこの時期だけしか味わうことのできない贅沢な作業です!
 
 
 
 
染めあがった羊毛を手で丁寧にほぐし、“カード”と呼ばれる毛を梳かす機械にかけたものがこちら!やさしいタンポポ色の羊毛を紡ぎ機で紡ぎ、毛糸にしていきます。
 
 
 
 
電動の紡ぎ機が主流ですが、まるで絵本に出てきそうな足踏みの糸紡ぎ機で糸を紡ぐこともできます!
コトコトと糸車が回る音を聞きながら窓の外に広がる緑を眺めていると、とても贅沢な気持ちになります。
 
最初はどうしても一定の細さの糸にならないしすぐに切れてしまうのですが、それもそれで初心者にしか出せない「最初の糸」の風合いになるのだそうです。
 
出来上がった毛糸がこちら!
 
 
 
 
手つむぎの糸は市販の糸と違って、作る工程で糸にたくさんの空気が含まれます。
だから身に着けるととってもあたたか。羊毛も手洗いすることで適度に油分が残り、天然の防水加工になります。
出来上がった毛糸で何を作ろうか考える時間もとても楽しい!!
 
士別には、私のふるさと・埼玉よりお店がありません。ということは、商品を選ぶ自由は埼玉よりも多くありません。
けれど士別には、自分のまちで育った羊の毛で、自分のまちの草木を使い、自分で身に着けるもの、生活に使うものを作り出せるという都会にはない贅沢があります。
 
ゆったり時間をかける贅沢。自分の手で身に着けるものを作る贅沢。そして、“素材の顔”が見える贅沢を味わいに、ぜひ一度士別に遊びに来てください!
 
 
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「北海道の田舎に越して」シリーズは、地域おこし協力隊として都会から北海道の田舎に移住し、様々な形で地域おこしに奮闘する協力隊隊員が、その地域で生活して驚いたり、感激したり、感嘆したものを、自分の言葉で発信するものです。