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公開 | 佐々木葉子

木が集まって森、作り手の魅力が集まって「旭川家具」

alt、▲TOP画像


木との付き合いが古い旭川市と近郊の東川町、東神楽町などの多数の作り手が集い、
世界に発信するブランド「旭川家具」。

中堅メンバーの一人、「AISU project」代表の小助川泰介さんに、
森と木、ものづくりへの思いを聞きました。

 

この仕事を一生やるなら、一生使えるものを作りたい

小助川さんが「AISU project」を立ち上げたのは2012年。

「使い捨てない、長く愛す」をテーマに、「愛す」を「AISU」と表しました。
 

alt、▲小助川さんが端材で作ったシロクマ。木材や大型工具がひしめく工房で、ここだけはほのぼのとした雰囲気▲小助川さんが端材で作ったシロクマ。木材や大型工具がひしめく工房で、ここだけはほのぼのとした雰囲気


「それまで僕は、「旭川家具」のメーカーで特注家具や大型商業店舗の什器製作などを担当していました。一点物の製作はやりがいがありましたが、店舗什器は場合によっては、テナントの入れ替えなどによって半年程度で廃棄されることもありました。精魂込めて作ってもすぐに捨てられ、環境に負荷をかけてしまう。その現実に、ものすごくショックを受けました」。

歯がゆさと切なさを感じた小助川さんは、以前から好きだった北欧家具のデザインなどを肌で感じたいと、デンマークへ視察に出ます。

そこで改めて、自分がやりたいことは、シンプルで使いやすく、美しいデザインのものづくりであることを確認します。

「デンマークのレストランでは、200年前に作られた椅子が使われていました。いいなぁと思いましたね。この仕事を一生やるなら、一生使えるものを作りたい。そう心に決め、陳腐化しないデザイン、本当に美しいものだけを求めていくことにしました」。
 

alt、▲青森県弘前市に生まれ、幼少期は函館で育った小助川さん。高校卒業後、建築会社に勤務するために旭川市へ移住。建築の仕事を通じて、旭川が「家具の街」であることを知ったそうです▲青森県弘前市に生まれ、幼少期は函館で育った小助川さん。高校卒業後、建築会社に勤務するために旭川市へ移住。建築の仕事を通じて、旭川が「家具の街」であることを知ったそうです

 

山で呼吸している木を見て、選ぶところからも

小助川さんが作る家具と木工品は、約8割が旭川市を中心とする上川地方の木から作られます。

小助川さんは製材された木を使うだけでなく、お客様を山へ案内し、木を選ぶところから家具作りを始めることもあるそうです。
 

alt、▲上から時計回りでクリ、ナラ、ニレ、カバ、セン。いずれも上川地方でとれる木です▲上から時計回りでクリ、ナラ、ニレ、カバ、セン。いずれも上川地方でとれる木です


「テーブルをご注文されたお客様がそうでした。そのお客様は下川町で木を選び、私が工房で作っている間も様子を見に来られ、ご自身も天板にオイルを塗る作業に参加されました。さまざまなプロセスに関わったからこそ愛着もひとしおのようで、完成したテーブルの木目にも愛情を感じられているようでした」。
 

alt、▲100年生きた木は100年使えると言われますが、それも日頃のメンテナンスがあってこそ。小助川さんは、お客様に自宅でのお手入れの方法も丁寧に説明します▲100年生きた木は100年使えると言われますが、それも日頃のメンテナンスがあってこそ。小助川さんは、お客様に自宅でのお手入れの方法も丁寧に説明します


工房には、納品前のオリジナルのベンチがありました。

「横から見ると、二枚の座面がゆるやかなVの字になっていますよね。これは、長時間座っていてもお尻の座りが良く、疲れないようにするためで、板の角度は1ミリ単位で変えながらベストを探すんです」。
 

alt、▲座面は北海道産ナラ材を使用。自然・健康オイルとワックスで丁寧に仕上げてあります▲座面は北海道産ナラ材を使用。自然・健康オイルとワックスで丁寧に仕上げてあります

 

端材の再利用も積極的に。環境への配慮も含めてデザイン

「AISU project」の木工品にも、小助川さんの森や木、環境に対する向き合い方が表れています。

こちらは、旭川市内から眺められる北海道最高峰・旭岳の等高線を印したカッティングボード。

家具を作る途中で出た端材を再利用したもので、しっかりした造りながら、価格がリーズナブルなのはそのせいです。

 
alt、▲上はニレ、下はナラを使用(各3,780円)。「あくまでも端材の再利用なので、どの樹種を選べるかはタイミング次第なんです」と小助川さん▲上はセン、下はカバを使用(各3,780円)。「あくまでも端材の再利用なので、どの樹種を選べるかはタイミング次第なんです」と小助川さん


こちらは、スノーボードをイメージした表札。割り箸ほどの大きさの端材を組んだものをかたどって、作ります。
 

alt、▲大きさや形などを伝えれば、小助川さんが世界でひとつの表札を作ってくれます!▲大きさや形などを伝えれば、小助川さんが世界でひとつの表札を作ってくれます!


「端材は捨てればゴミ、でも、手間をかけ、上手に使えば家具にもなります。カタチだけではなく、環境への配慮も含めてデザインする。そうした姿勢はずっと貫いていきたいです」。

 

「ASAHIKAWA DESIGN WEEK 2018」の旅イベントも企画

小助川さんは、森と木と環境の素敵な関係を小さな子どもたちにも伝えようと、「木育」の活動も積極的に行っています。

また、さまざまなイベントなどに出向き、自ら講師となって教える「シロクマをつくるワークショップ」は、高齢の方の間でも人気です。


この6月20日から開催される、旭川家具のエキシビション「ASAHIKAWA DESIGN WEEK 2018」には作品を出品するほか、公式イベント「中川町フォレストツーリズム 旭川家具のふるさとを巡る旅」のプランニングにも参加しました。
 

alt、▲旭川の層の厚いものづくりを体感できる「ASAHIKAWA DESIGN WEEK」は通算64回目。エキシビション、トークイベント、食や近郊のまちの連携イベントなど、多彩なプログラムが用意されています。■6月20日(水)~24日(日)、旭川デザインセンターほかで開催▲旭川の層の厚いものづくりを体感できる「ASAHIKAWA DESIGN WEEK」は通算64回目。エキシビション、トークイベント、食や近郊のまちの連携イベントなど、多彩なプログラムが用意されています。■6月20日(水)~24日(日)、旭川デザインセンターほかで開催


この旅は、森のプロが案内する森林ウォーク、ウッドテラス体験、地元食材の焚き火ランチを楽しめるほか、2日目は小助川さんが講師となって、中川町産の木を使った折りたたみスツールのワークショップを開催します。
 

alt、▲ワークショップで作るスツールの試作品。「体験とはいえ、長く使えるものを作りたかった」と、小助川さん。このスツールは、安心して腰を掛けられる強度も保持しています▲ワークショップで作るスツールの試作品。「体験とはいえ、長く使えるものを作りたかった」と言うように、このスツールは安心して腰を掛けられる強度も保持しています


「僕は函館育ちで、建築畑出身。専門の学校で学ぶこともなく、家具職人にギアチェンジできたのは、旭川という風土に負うところが多いです。ここは、自分が何かを求めて踏み出せば、誰かが受け入れてくれる地域。素晴らしい先輩や刺激的な仲間とともに、家具の街・旭川をブラッシュアップしていきたいですね」。
 

alt、▲「木のおかげで、人と人とのつながりも増えました。家具になる広葉樹が減ってきているので、植樹と並行して、山の手入れも考えていかないといけないと思っています」▲「木のおかげで、人と人とのつながりも増えました。家具になる広葉樹が減ってきているので、植樹と並行して、山の手入れも考えていかなければと思っています」


木が集まって森になるように、作り手の魅力が集まって「旭川家具」というブランドになる。

そんな素敵なストーリーが、今日もどこかの森、どこかの工房で育まれていそうです。

 

関連リンク

AISU project
AISUproject facebook
ASAHIKAWA DESIGN WEEK2018
旭川デザインセンター
旭川デザインセンターfacebook
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