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公開 | 田中 勲

札幌伝統野菜の「札幌黃」というたまねぎを知っていますか?

札幌黄


日本中どこの家庭にも必ずある野菜の一つ、たまねぎ。このたまねぎに札幌は深~い縁があるのです。それを今に伝えるのが、札幌伝統野菜であるたまねぎ「札幌黄」です。

 

目次

・札幌は日本有数のたまねぎ産地だった!
・全道で栽培された「札幌黄」。なぜ「黄」?
・衰退した札幌黄とたまねぎ栽培
・札幌黄の復活をかけて!


 

札幌は日本有数のたまねぎ産地だった!



たまねぎ栽培発祥の碑▲札幌市東区の札幌村郷土記念館に1978年に建てられた碑。「わが国の玉葱栽培この地にはじまる」と彫られています


日本のたまねぎ栽培は、1877(明治10)年、クラーク博士の後任として日本にやってきたブルックス博士の指導によって、札幌村(今の札幌市東区)で始まりました。

見慣れない野菜・たまねぎは最初は人々に敬遠されましたが、保存ができることから、北海道の炭鉱の従業員や船舶の乗組員向けに需要が高まり、栽培がどんどん盛んに。そして、明治時代後半、北海道は日本一のたまねぎ産地となったのです。

また品種改良によって「札幌黄」が登場したのも、その頃でした。北海道全域で栽培された札幌黄は、ロシアやフィリピン、香港や台湾にも輸出していたというのですから、驚きです。


たまねぎ収穫の原風景▲昔ながらのたまねぎの収穫期の風景(札幌市内)


大正から昭和にかけて、一時期低迷していた北海道のたまねぎ栽培でしたが、次第に盛り返し、1960~70年代に日本一に返り咲きます。

これが札幌黄の全盛時代!その主要産地だったのは、明治時代からの栽培の歴史を持っていた、札幌を含めた石狩管内だったのです。

今の札幌の大都会ぶりを考えると、札幌がたまねぎの一大産地だった…なんて、なかなか感慨深いものがありますね。

 

全道で栽培された「札幌黄」。なぜ「黄」?



収穫間際の札幌黄の畑▲収穫間際の札幌黄の畑(サッポロさとらんど)


日本のたまねぎ栽培の父ともいえるブルックス博士が、アメリカから日本に持ち込んだたまねぎは、「イエロー・グローブ・ダンバース」という品種だったのではと考えられています。

明治時代に日本でこれに品種改良が加えられ、札幌黄になったのです。「札幌黄」という文字は、1906(明治39)年に北海道農事試験場が発行した「北海道農事試験場彙報」に初めて登場します。

そこには札幌黄の原種が「イエロー・グローブ・ダンバース」だと明記されています。試験場が名付けたのか、農家がそう呼んだのかは不明なのですが、「イエロー」が「黄」の由来となったのは、間違いないようです。

 

衰退した札幌黄とたまねぎ栽培



札幌黄の種取り▲在来種に分類される札幌黄の種取り風景(サッポロさとらんど)。F1種の場合は種取りは行わず、種は毎年購入


札幌のたまねぎ栽培は1972年が作付面積のピークでした。その後は札幌の人口増加に伴い、宅地化が進んでたまねぎなどの畑が急速に減少して、今に至っています。

またたまねぎの品種にも大きな変化がありました。1970年代後半から、たまねぎにもF1種と呼ばれる品種が導入されるようになりました。

F1種は、親となる複数の品種のよいところだけを引き継ぐので、病気に強く、収量が多く、さらに大きさが揃っているという長所を持っています。

長年栽培されてきた札幌黄は、どんどんこの新しいF1種に置き換わっていきました。札幌のたまねぎ畑の減少ともあいまって、札幌黄は数軒の農家が細々と栽培を続ける「幻のたまねぎ」となってしまったのです…。

 

札幌黄の復活をかけて!



札幌市役所の食堂の札幌黄メニュー▲札幌市役所の食堂にも札幌黄のメニューが


札幌黄を作り続けていた農家には、種を絶やしてはならないという使命感の他に、なにより札幌黄の味に惚れ込んだ人のためにという想いもありました。

肉厚で水分が多く、火を通すと甘みととろみがグンと増す札幌黄には、その味の良さから、飲食店を中心に根強いファンがいたのです。

それを背景に、札幌黄を守る運動が芽吹きはじめました。まず2007年、札幌市の農業政策担当だった三部英二さんの活動によって、札幌黄がスローフード協会の「味の箱舟<食の世界遺産>」に登録されました。

伝統的な地域の食材を見直そうという機運が高まってきたことも、札幌黄の復活を後押し。札幌市では、市役所の食堂のメニューや学校給食の献立に札幌黄を使用して、需要を喚起する活動を行うようになりました。

また2013年には、札幌保健医療大学保健医療学部栄養学科の荒川義人教授を会長に、札幌黄の情報発信とファンづくりを目的とした「札幌黄ブランド化推進協議会」が発足しました。

この協議会が札幌黄の生産者やJAさっぽろの協力を得て始めたのが、「札幌黄オーナー制度」です。


札幌黄オーナー募集ポスター▲2018(平成30)年の札幌黄オーナー募集は3月12日(月)~7月31日(火)で実施中。7月30日(月)までは、クラウドファンディングでのオーナー募集も行っている


2016年現在、札幌市で札幌黄を作っている生産者は31戸11ha。オーナー制度は、これをもっと増やしていくために、人々が札幌黄や札幌黄を使った加工品を購入していこう!という運動です。ここ数年、毎年北海道内外から、600~700口の申し込みがあるといいます。


収穫を待つ札幌黄の畑▲収穫を待つたまねぎ畑(札幌市内)


「幻のたまねぎ」から、徐々に味を楽しむ現代の食材へと復活を遂げようとしている札幌黄。まだ食べたことな~いという方は、何らかの形でぜひ一度、味わってみてください!

 

関連リンク


・札幌黄ふぁんくらぶ(札幌黄ブランド化推進協議会HP)
※札幌黄オーナー制度、札幌黄料理を提供しているお店などの情報も

・札幌黄ブランド化推進協議会Facebookページ

・札幌黄オーナー募集クラウドファンディング(CAMPFIRE)
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Writer

田中 勲

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