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公開 | 小西 由稀

第17回「情熱の仕事人」トークセッションレポート!

情熱の仕事人トークセッションの17回目


北海道Likersのインタビューシリーズ「情熱の仕事人」連動企画として、北海道Likersと北海道新聞のコラボでお送りしているトークセッションを5月8日、道新プラザ「DO-BOX」で開催しました。

 

深谷宏治さんと佐藤郁文さん、料理人同士のセッション

約一年ぶり、17回目の開催となった今回は、函館料理界の重鎮で「レストラン バスク」オーナーシェフ・深谷宏治さん、札幌中国料理界の旗手で「中国料理 布袋」の2代目・佐藤郁文さんをスピーカーにお迎えしました。
 
トークセッションは、恒例となった来場者の皆さんとの「黒ラベルで乾杯」からスタート!
 

トークセッションのスタートは、恒例の乾杯から

 
ジャンルと世代の異なる料理人おふたりが、どんなお話を聞かせてくれるのでしょう。
会場には食に関心のある皆さんが多く、事前に募集したこんな質問から始まりました。
 
「お家では料理をしますか?」
 
申し訳なさそうに「まったくしません」と答えた佐藤さん。対して深谷さんの「最近はマダム(お店を切り盛りする奥さま)のために2~3品、家庭料理を作っています」という答えに、会場からは驚きと羨望の声が上がりました。
 

トークセッション

 
現在70歳の深谷さんは、レストランの仕事を下の方に少しずつ任せ、これまでできなかったことに時間を割いているのだそう。そのひとつが、奥さま孝行という訳ですね。

 

これまでの道のり

料理人として活躍されているおふたりが、食の道へと進むきっかけになったのは、家庭環境にありました。
 
深谷さんのご実家は米穀店。食の流行に敏感な父親と料理上手な母親の影響、さらに一緒に遊んだ幼なじみの実家が洋食レストラン「五島軒」だったことなど、食に親しんで育った子ども時代の話をされました。


レストランバスクのオーナーシェフ、深谷さん▲深谷宏治さん:レストラン バスク オーナーシェフ:1947年、函館市生まれ。東京理科大学工学部卒業。大学研究室に助手として勤務後、料理人を志す。75年渡欧。スペイン・バスク地方にて、バスク料理を中心にスペイン料理を修業。帰国後函館に戻り、81年自身のレストランを開業。著書に『スペイン料理[料理 料理場 料理人]深谷宏治』(柴田書店)がある

 
トークセッション
 

その後、深谷さんは東京理科大学で人間工学を学び、大学研究室での勤務を経て、料理人を目指すことに。
 
「工学系の知識を生かし就職することは、公害など環境問題に加担するようで嫌だった。将来を考えた時、食べるのが好きだったし、おいしいものを作れば人に喜んでもらえる」と、この道を志した話を聞かせてくれました。
 
 
中国料理布袋の代表、佐藤さん▲佐藤郁文さん:中国料理布袋 代表:札幌市出身。高校卒業後、東京の中華料理店に就職。10年ほど勤めてUターンし「布袋」へ。イベントへの出店、「中国料理布袋 赤れんがテラス店」「寿司・中国料理 福禄寿」の店舗展開など、新たな取り組みにも挑戦
 

佐藤さんは、自身が高校3年の時、長年ホテルで料理人をしていた父親・勲さんが「中国料理 布袋」を開店。「父の職業をかっこいいと思っていましたし、背中を見てきて自分も料理人をやるもんだと思っていました」。
 
また、学生時代から外食が多く、「いろいろなサービスに触れて思ったこと、感じたことが、今に生かされていると思います」。

 

料理人として、ひととしての転換期

トークセッション


深谷さんは「洋食の原点を知りたい」と渡欧。仕事が見つからなかった苦労話を、笑いを交えて振り返りました。
最後に訪れたスペイン・バスク地方の街、サンセバスチャンで運命的な出会いをした恩師、ルイス・イリサールさん(現代スペイン料理を代表するシェフ)とのエピソードを披露。
 
料理に地元の食材を生かす重要性。レストランが人を呼ぶ力を持つ意味。地域の料理人同士で知識や技術を共有する意義。バスク地方全体を良くするという考え方。「すべては100年先を考えた街づくりのために動いているんです」。
 

深谷シェフ

 
単に日々料理をつくるだけではなく、街づくりに料理人が関わるという恩師の姿勢は、後の深谷さんの活動「函館西部地区バル街」、「世界料理学会 in HAKODATE」に多大な影響を与えたといいます。
 
全国に波及したイベント・バル街、国内外の著名な料理人を惹きつける世界料理学会の逸話にも、会場の皆さんは興味深く耳を傾けていました。
 

トークセッション
 

佐藤さんは「東京はステップアップのための場」と我慢し、10年間ほとんど帰省せずに修業。布袋の人気はインターネットで情報を得ていて、「がんばっている父の姿がうれしかったし、励みになった」と笑顔で語ります。
 
札幌に戻り、最初に取りかかったのは、布袋の看板料理・ザンギのブランディングでした。タレをつけることで“味変”できる現在のスタイル、よりおいしく揚げるためにフライヤーの台数を増やし、揚げ方を変えたのは、佐藤さんの発案。
 
また、本州のイベントに積極的に出店することで、ザンギという食文化を発信。「食で人を呼び寄せる力」を実感したと話されました。
 

布袋の代表、佐藤さん
 

一方で、2代目としての葛藤も。「本店の売り上げをアップさせても、“お父さんスゴイですね”と言われる。自分でイチからやっていない分、気持ちの中でわだかまる部分があって」。
 
その後、自ら店舗展開をし、各店を軌道にのせることに成功。「それでも“お父さんスゴイですね”と(笑)。自分でやった上で言われることなら仕方がないと、素直になれました」。
 

これからの北海道、故郷への思い

トークセッションの最後には、“北海道・故郷”をテーマに語ってもらいました。
 

トークセッション
 

佐藤さん:生まれ育った札幌、北海道を離れてみると、ほかに負けないものが多いと気づかされました。
北海道のおいしいものをうまく融合させて発信することを考えていきたい。そして、食を通じて北海道を元気にするお手伝いができればと、思っています。
 
深谷さん:かつて賑やかだった函館も今はさびれ、“茶色い街”と言われることがあります。ですが、文化や旧市街地など、先人の残した財産はたくさんあり、それを大切にし、後世に伝えていきたいと思っています。
 
料理人としてできることはないか。それが、仲間と一緒にやっている旧市街地を食べ飲み歩くイベント・バル街であり、世界料理学会です。1回でいいので、ぜひ来てほしいと思います。


トークセッションを終えた深谷さんと佐藤さん
 

司会者より「第30回函館西部地区バル街が秋に開催されます。皆さんもぜひお出かけください!」という呼びかけに、深谷さん、佐藤さんに大きな拍手が送られました。
 
次回の開催は、北海道Likersでお知らせします。ぜひ、ご来場ください。
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Writer

小西 由稀

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