北海道情報サイト「北海道ライカーズ」北海道情報サイト「北海道ライカーズ」

what likers

Icon search探す

公開 | 小西 由稀

大地を創る人。カブの白い肌は技術とプライドの証し。渋谷祐太さん(七飯町)

白カブの生産者「渋谷農園」の渋谷さん


函館市に隣接し、大沼国定公園を擁する七飯(ななえ)町。
ここは日本で初めて近代農業が行われた町です。
 
明治初期、それまで人力に頼っていた農業に、牛馬の力を借りて大型の農機器を取り入れた西洋式=近代農業を行った先進地なのです。
 
七飯町の白カブ
 

その七飯町に、白カブを丁寧につくる31歳の生産者がいます。
「渋谷農園」の渋谷祐太さん。
今回は渋谷さんの奮闘記をご紹介します。 
 

畑の中にビーチパラソルが?!
これも白カブへの愛情ゆえ。

白カブの収穫風景
 

畑を訪ねた4月下旬、白カブの収穫の真っただ中でした。
 
七飯町で春一番に採れる野菜が白カブ。
冬場、農作業ができない北国の生産者にとって、シーズン最初に採れる野菜へは格別な思いがあります。
 
白カブはビニールハウスで栽培しますが、ハウス内に入ると、あれ?なぜかビーチパラソル!

ビニールハウス内にビーチパラソルが!?
 

これにはちゃんと理由があって、収穫する時、白カブの肌に直射日光を当てないための配慮。美白&美肌ケアを徹底しています。

白カブの日焼けを防ぐビーチパラソル▲温度が上がりやすいハウス内で作業をする人にも、日差しを遮るビーチパラソルはやさしい
 

七飯は、町全体で農薬や化学肥料を基準値以下に抑えるクリーン農業に取り組んでいます。
 
渋谷農園の黒土は柔らかくふかふか。
そこから顔を出した色白なカブの美しさと土の色とのコントラストが印象的!
 
収穫したての白カブ▲七飯町では4月~6月が収穫期。生育期間は約3ヶ月
 
収穫したカブはサイズ別に分ける▲収穫した白カブの玉の大きさを計り、サイズ別に仕分けする作業が続く
 
 

見た目だけの問題ではない。
技術とプライドが育む白肌。

 
「良い白カブとは?」と質問をすると、「やっぱり肌が真っ白なカブですね」と渋谷さん。

白カブの生産者、渋谷祐太さん
 

カブが丸々と真っ白に育つには、まず土が健康でなくてはなりません。
葉がしっかりと育ち、光合成をして、カブに栄養を送り、元気に育つ。
その過程で、ハウス内の温度や風通しの良さにも常に気を配ります。
 
光合成して栄養を届ける葉
 

また、土中の小石とふれたり、小さな虫食いがあると、その傷から黒ずみ、商品価値が下がってしまうため、収穫するまで気が気ではありません。
 
真っ白な白カブ
 

つまり真っ白なカブは、自分の仕事の成果を映す鏡。
そこを目指すことで、技術や自信につながる。
手間を費やし、気を配り、見た目に美しく育てることは、春一番の白カブを食卓へ届ける七飯町のプライドでもあるのです。
 
機械で水洗いした後は、人の手で汚れをチェック。その際には軍手は必須▲機械で白カブを水洗いし磨いた後、手作業で汚れの最終チェック。肌を爪で傷つけないように軍手は必須
 

水洗いしたばかりの白カブを試食させてもらいました。
まるで果物のような甘味とジューシーさ!これはサラダで食べたいおいしさです。
  

農業を甘く見ていた自分を反省。
良いものをつくって地域に恩返しを。

 
農業後継者としての渋谷さんは、少し変わった経歴かもしれません。
おじいさんが元々農業を営んでいましたが、お父さんが違う仕事に就き、渋谷家の畑はしばらくさら地の状態に。
 
渋谷農園の様子
 

高校卒業後、渋谷さんは「特にやりたいことがなかったから」と、その畑を生かして農業を始めることにしました。
当初はカーネーションなど花きを育てていましたが、連作障害を起こしたことから栽培作物を野菜へとシフト。
 
カブの畑
 

ところが、「野菜をつくり始めたころは、ヤル気のないダメな農業者でした」。
 
渋谷さんの言葉を借りれば、「何も考えずただやっていた」ため、経費だけがかさみ、「収入が少なく、生活していくにもヤバイ状況で…」。
 
そんな時に手を差し伸べてくれたのは、地域の先輩農業者のみなさんでした。
土づくりや栽培、経営のアドバイスをしてくれたそうです。
 
池田農園の池田さん▲先輩農家のひとり、「池田誠悦農園」の池田誠悦さん。「祐太はこの頃がんばっているから、畑がどんどん良くなってきていますよ」
 

「甘えていたんですよね。農業後継者なら父や祖父から仕事を学ぶのでしょうが、オレはひとりだから、できなくて当たり前だと人のせいにしていた。できないなりに考えなければいけないのに、何もしていなかったんです。
 
周りに助けてもらって、教えてもらって、今はすべきことが見えているので、農業が楽しくて。やった分、ちゃんとはね返ってくるんですよね。さぼっていた分を取り戻さないと」。
 
渋谷農園の渋谷祐太さん
 

白カブの収穫が終わると、ホウレン草、スイートコーン、小松菜、枝豆の栽培、収穫が続きます。
 
「いろんなことに挑戦していきたい。そして、少しでも良いものをつくって地域に恩返しができればいいなぁって思っています」。
  

関連リンク

・七飯町
 

「大地を創る人」とは

さまざまなおいしい食を生み出す北海道を「大地」と表現。農業や漁業、酪農業を通し、「新しい北海道を創りたい」「北海道を支えたい」「未来の北海道をデザインしたい」。そんな思いを胸に抱く北海道の生産者を、「大地を創る人」としてご紹介します。
この記事をSNSでシェアしよう!
  • 大地を創る人。カブの白い肌は技術とプライドの証し。渋谷祐太さん(七飯町)
  • Google+

F3ea6fa5 2971 4d12 8e62 077dc40dce4f

Writer

小西 由稀

Title
Close