2013年03月13日 | うずらはしちあき

ほっとするやさしさを感じる木の器。「工房 十勝の木のうつわ」/幕別町

幕別町の市街地から離れた中里地区にある旧中里小学校。玄関を開けて声をかけると「場所はすぐにわかりましたか?」と、佐々木要さんが笑顔で迎えてくれた。
廃校となった小学校の校舎を借りて、佐々木さんが「十勝の木のうつわ」を開設したのは2002年のこと。現在はつくり手に息子の允(まこと)さん、匠さんが加わり、家族で工房を営んでいる。

 
工房 十勝の木のうつわ

 
手がけているのは、お碗、ボウル、プレートといった、日常使いのできるシンプルなデザインの木の器とカトラリー。ミズナラ、セン、ニレ、タモ、カバなど、材料となる樹種は30以上に及び、そのほとんどが十勝をはじめ、北海道産の木だ。コブ材や十勝川の埋もれ木などの貴重な材も器になる。

 
工房 十勝の木のうつわ▲幕別町出身の佐々木要さん。作品を展示している教室にて。取材中、ここの小学校の卒業生という方が「近くまで来て懐かしくて」と、工房を訪れていた

 
佐々木さんは、広葉樹を中心に扱う地元の製材会社に約30年間勤務してきた。「見たその時から、色合いも感触も香りもそれぞれに違う、自然の木の素晴らしさに魅了されました。木の力に生かしてもらっています」。
器づくりは、木の名前を覚え、木についてもっと知るために、自宅で木工ろくろを回して削り始めたのがスタートだったという。
 
「これが、私たちの財産なんです」。そういって、材種見本のお皿を並べてくれた。
夏冬の寒暖の差が年輪の成長に影響を及ぼし、木の表情をつくること。水のきれいな川に眠っていた埋もれ木は、木のタンニンと水中のわずかな鉄分が反応し、自然の草木染めが行われること。ていねいに教えてくれる佐々木さんから木に対する思い入れや人柄が感じられ、また、次々と出てくる興味深い話に引き込まれていく。

 
工房 十勝の木のうつわ▲樹種見本の平皿。木目の違いや、いろいろな表情があることに驚かされる

 
工房 十勝の木のうつわ▲上と下は同じ樹種。左からミズナラ、タモ、ニレ。上の3枚は十勝川の埋もれ木、下は自然林からのもの。ミズナラの埋もれ木は、黒色に発色している

 
作品は自然乾燥させた材を使用するものや、グリーン材とよばれる生の木を加工してつくるものなどがある。木の特性を熟知した佐々木さんによって選ばれ、木目を生かして形となった器たちは、同じ材種であっても一つひとつが個性のある表情を持つ。

 
工房 十勝の木のうつわ▲クルミ材のろうと型の器(写真提供/工房 十勝の木のうつわ)

 
工房 十勝の木のうつわ▲セン材のカフェオレボウル。木の器はそれぞれ、ウレタン・オイル・漆で仕上げられる(写真提供/工房 十勝の木のうつわ)

 
工房 十勝の木のうつわ▲ハルニレのグリーン材から。生木を使った器は、つくりあげた後に乾燥していく過程で少しずつ変形していくそう

 
工房 十勝の木のうつわ▲教室いっぱいに、ろくろの音が響く。あらかじめ乾燥させた材からつくる器は、いくつもの工程を踏み、多くの時間をかけて仕上げられていく

 
工房 十勝の木のうつわ▲中繰り後、乾燥中の材が山積みに。また、校舎の外にも中にも、器になるのを待つたくさんの木材が置かれていた

 
「木の器の色合いは、サラダなんかと似合いますね。私たちの器を通して、都会の日常生活の中で自然のうるおいを感じてもらうことができたら」。
ずっと両手で包んでいたくなるほど、さわり心地がよく、素敵な器たち。自然の木のぬくもりと佐々木さん家族のあたたかさが伝わってくる。
 
※同工房のホームページでは、木の器や全国各地での展示会情報などが紹介されています。
※十勝では帯広市「北海道ホテル」、「TREE OF LIFE」、十勝川温泉「三余庵」で作品にふれることができます。また、同工房のホームページからメールで購入のお問い合わせも可能です(一つひとつ手づくりしているため、お届けまでに時間を要するそうです)。

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