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公開 | 小西 由稀

大地を創る人。“なまら”うまい野菜を届ける熱き農家集団「なまら十勝野」(芽室町)

株式会社なまら十勝野のメンバー


SNSの時代、自ら発信する生産者は多くいます。
 
ですが、今回紹介する「株式会社なまら十勝野(とかちや)」のWebサイトを見て驚きました。特にメンバープロフィールのページ、“個性光るなまら十勝野メンバー”というタイトルとともに、この画像が目に飛び込んできました。
 

なまら十勝野のwebより

 
個性、光りすぎです。
 
Webサイトはユニークなだけではなく、熱いこだわりが随所に散りばめられていました。そんなメンバーに会いに、十勝・芽室町を訪ねました。
  
 

平均年齢38歳。13軒でつくった新スタイルの法人。

北海道Likersをご覧のみなさんにはおなじみですが、“なまら”は北海道弁で“とても”という意味があります。広大な“十勝”平野で、とてもおいしい“野”菜を生産する農家集団。だから、なまら十勝野。
 
10年ほど前から続けている農業の勉強会がベースとなり、2016年に13軒の農家で結成した農業法人です。平均年齢は現在、38歳。
 

なまら十勝野のwebより▲なまら十勝野Webサイトより
 
 
なまら十勝野がユニークなのは、野菜の生産は個々で行い、販売を組織で行うというスタイル。
 
「当初は法人で生産から…と考えましたが、それぞれが代々受け継いできた土地なので、簡単に一元化はできない。それならば、13の農場が自慢の農作物を納め、それを販売するという形でスタートしました」。
 

なまら十勝野の堀井和宏専務▲取締役の堀井和宏さん

 
「今は40種類くらいの野菜を取り扱っています。1軒だと種類や数は限られる。でも、13軒からの思いの詰まった野菜が集まることが、自分たちの大きな強みになっています」(堀井さん)。
 
販売先はすべて顔の見える相手。主に全国の飲食店、多店舗展開している飲食チェーン、野菜加工会社のほか、ECサイトで個人にも販売しています。
 

雪室の越冬じゃがいも▲メンバーの1人、パートナーファーマーの末吉弘明さんの雪室越冬じゃがいも。雪の冷気で0~5度に保った雪室の中で、秋に収穫したじゃがいもを熟成。冬~春にグンと甘味を増す人気商品
 
 

熱い理念で未来につなぐ。その価値観が大切。

農家はそれぞれが経営者、つまりは社長の集団。やりにくさはないのでしょうか。
 
「社長が集まる組織だからこそ、理念が大切だと思っています」(代表の小山勉さん)。
 
~なまら十勝野の理念~
  • 受け継がれた生命の誇りを未来につなぐ。
  • すべての仲間と認め合い、世界を笑顔にする。

なまら十勝野の段ボール


「自分たちの親や先祖、地域の方々が、命、土地、技術、想いを今につないでくれた。自分たちが農業を継ぐことができる環境をつくってくれた。
そこに感謝して、農業という“職”を次の世代につなげることが、自分たちの役割だと思っています」。
 

なまら十勝野の小山勉代表▲代表の小山勉さん
 

小山代表の熱い話に引き込まれます。
この熱量のある語りに惹かれ、仲間に加わったメンバーも。
 
「組織って、ライバルで競い合うことが多いと思いますが、得意分野が各々違うのだから、認め合って、応援し合える関係が築ければ、農業はもっとすばらしい産業になると思うんです」。
 

なまら十勝野の前身の勉強会からの創設メンバー▲勉強会からの創設メンバー。左から小山代表、堀井さん、取締役の竹内さん
 

実家が農家であろうと、なかろうと、子どもたちの職業選択肢の1つとして、普通に農業がある。そんな魅力ある農業の実践を、13軒それぞれが考えているといいます。

 

安全・安心・おいしいは当たり前。それが、なまら基準。

安全・安心は当たり前。さらに「おいしいも当たり前にしよう」と、なまら十勝野では独自の栽培基準、通称“なまら基準”を設けています。
 
限りなく山に近い土づくりをすること。
 
山は肥料がなくても、さまざまな植物が育ちます。それは山が持つ多様性と微生物のおかげ。
なまら十勝野でも、微生物が活発に活動できるよう、多様性のある土づくりを目指しています。
 

結球前の白菜▲何の野菜かわかりますか? 正解は、結球前の白菜
 
 
また、人それぞれに解釈のある“おいしさ”を、なまら十勝野では「栄養価が高く、健康であること」と定めました。
 
そこで大切になるのが、作物ごとに異なる生理、機能をきちんと学ぶこと。
 
どんな性質があるのか、どんな風に土から栄養分を吸収するのか。いかに作物にストレスをかけずに栽培できるのか。
 
土や作物が健康ならば、結果、農薬や化学肥料は必要最小限に抑えることができます。安全・安心とおいしいは、リンクするのです。
 
「でも、まだまだです。勉強は一生、土づくりは永遠です」(堀井さん) 

 

“見える化”で自分たちの想いを届けたい

なまら十勝野が特徴的なのは、自分たちの思いをわかりやすく伝えるために、安全やおいしいの“見える化”を実施していること。
 
農薬の残留検査はもちろん、いくつかの野菜は成分分析にかけ、機能性の高さを数値化。また、食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証「J-GAP」の全員取得を目指し、現在のところ8軒が取得しています。
 
“見える化”を意識したのは、前身の勉強会グループの時代、対面販売で経験した苦い思い出から。
 

なまら十勝野の竹内敬太専務▲取締役の竹内敬太さん
 

「目の前のお客さんが質問しているのに、ぜんぜん答えられなかったんです。自分たちがつくる野菜はなぜ、安心なんだろう。なぜ、おいしいんだろう。種をまいて収穫するだけで、つきつめて考えたことがなかった。
 
ほかと比べて、本当に安全でおいしいのか。その疑問を深掘りするところから始まりました」(竹内さん)
 
見える化は、自分たちの思いを伝える表現の1つであり、信頼や技術の証しにもなります。
 

なまら十勝野の末吉さんと谷口さん▲パートナーファーマーの末吉弘明さん(左)と谷口智則さん
 

「なまら基準と見える化を実践するようになって、おいしさにつながっている実感はあります」(谷口さん)
 
「食べる人の顔を想像しながらつくるようになりました。食べる人の幸せを思うことが、自分の仕事を楽しくしてくれています」(末吉さん)
 
「仲間、技術、良好な農場環境、手応えなど、確実に何かが残る。だから、次の挑戦ができるように思います」(竹内さん)

 

夢はメンバー200人!? もっともっと“なまら”うまいを

なまら十勝野では、パートナーファーマーを毎年募集。最初の1年はトライアル・パートナーファーマーとして理念や栽培基準を共有し、翌年に正式なパートナーファーマーの仲間入りに。2018年も新たに2軒が加わり、15軒の法人となる予定です。
 

なまら十勝野のメンバー

 
「会社としての目標は、2040年までにパートナーファーマーを200人に増やすこと。芽室町だけと線は引かず、十勝全域に広がればいいと思っています。
 
安全・安心・おいしい、さらに世界基準の見える化を日本でも当たり前にするには、これくらいの規模感はほしいところ。志を同じくするメンバーが集まれば、農業界に1つカタチを築くことができるんじゃないかと思っています」(小山代表)。
 
北海道の農業、日本の農業をさらに魅力的に、さらに面白いなものにしてくれそうな株式会社なまら十勝野。今後の活躍に期待大です!
 

関連サイト

・なまら十勝野

 

「大地を創る人」とは

さまざまなおいしい食を生み出す北海道を「大地」と表現。農業や漁業、酪農業を通し、「新しい北海道を創りたい」「北海道を支えたい」「未来の北海道をデザインしたい」。そんな思いを胸に抱く北海道の生産者を、「大地を創る人」としてご紹介します。
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小西 由稀

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