2017年12月01日 | チバタカコ

地名がついた鍋料理「石狩鍋」~石狩と鮭(3)

石狩市宝寿司の石狩鍋


石狩と鮭シーズ最終回は「石狩鍋」。筑前煮、深川丼など地名のついた料理は全国にありますが、「鍋」に地名がついているのは「石狩鍋」くらいでないかい?鮭のアラからいい出汁が出て、体の隅々まで浸みる味噌味の鍋はこれからの季節には欠かせません。

 

北海道の郷土料理と言われている「石狩鍋」の歴史

秋田の「きりたんぽ鍋」や「しょっつる鍋」、山梨の「ほうとう鍋」、広島の「牡蠣の土手鍋」、福岡の「水炊き鍋」など、全国には有名なご当地鍋がありますが、地名がついている鍋料理は「石狩鍋」くらいでしょう。
 
「石狩鍋」の研究をしている工藤義衛さんは、「『石狩鍋』は、どのような変遷を経て完成したのか。そもそも『石狩鍋』とはいかなる料理なのか。そこに石狩の歴史と文化を考えるカギがある」と言います。
 

いしかり砂丘の風資料館、石狩市教育委員会生涯学習部文化財課 課長の工藤義衛さん▲いしかり砂丘の風資料館、石狩市教育委員会生涯学習部文化財課 課長の工藤義衛さん

 
「石狩鍋」の起源については、記録がないのではっきりしたことはわからないそうです。が、味噌と鮭があればできる料理で、さらに鍋に使われているキャベツ、白菜、タマネギといった野菜が明治以降から栽培が始まったものが多いことから、今、私たちが知っている「石狩鍋」は明治中頃に形づくられたものだろうと、工藤さんは話してくれました。
 

石狩鍋に入っているキャベツ▲石狩鍋の歴史を紐解くと、キャベツがキーポイントに!?
※imagephoto
 

鮭漁が盛んだった石狩では、鮭のアラを使った「鮭鍋」というものがあったそうです。そして、その料理は「台鍋(だいなべ)」とも呼ばれていたとか。これは、明治時代、札幌に醜女で知られた遊女がいて、その名が「台鍋」。つまり、鮭のアラがごたごた入った鍋料理は「見た目がきれいではない」ということから、「台鍋」と呼ばれたのではないか?という説があるそうです。
 

石狩鍋に入っている鮭※imagephoto
 

「鮭鍋」「台鍋」と呼ばれていた鍋料理は、醤油味や塩味だったそうですが、昭和初期に味噌仕立てのものが登場。その頃石狩町では、鮭の地引網漁が観光客に大人気で、それを見に来ていた観光客に味噌仕立ての鮭鍋をふるまったところ評判になり、それが「石狩鍋」と呼ばれるようになったそうです。
 
ちなみに、工藤さんによると1976(昭和51)年の第2版増訂版の「広辞苑」に「石狩鍋」はなく、1983(昭和58)年の第3版から「石狩鍋」が載っているそうです。広辞苑の編集工程から考えると、昭和50年代半ば頃に「石狩鍋」が全国的に認知されたのだろうということでした。

 

石狩市の「石狩鍋復活プロジェクト」と「あき味の会」

石狩発祥の「石狩鍋」を提供する飲食店を倍増させようと「石狩鍋復活プロジェクト」が、今、石狩市内で展開中です。その活動を推進しているのが「あき味の会」。
「あき味の会」会長で、「宝寿し」代表の中田雅民さんに、活動について話をうかがいました。
 

石狩市花川にある「宝寿し」代表で、「あき味の会」会長の中田雅民さん▲石狩市花川にある「宝寿し」代表で、「あき味の会」会長の中田雅民さん
 

「あき味の会」の活動が始まったのは2005年頃。「石狩にはせっかく地元発祥の『石狩鍋』があるのに、全然アピールされていなくて、市も宣伝が下手。もっと自己アピールをして、『石狩鍋』を全国、世界へ広めよう!と地元の飲食店が奮起したのが始まりでした」と中田さん。
 

「宝寿し」店内に掲出されていた「石狩なべ」の額。田岡克介石狩市長の筆▲「宝寿し」店内に掲出されていた「石狩なべ」の額。田岡克介石狩市長の筆だそうです

 
2008年には、一般社団法人日本記念日協会に「9月15日は石狩鍋の日」と記念日登録をしました。「石狩では9月15日頃から鮭が獲れ始め、915で『くいごろ』と語呂合わせにもなっているんですよ」(中田さん談)。

 
石狩市宝寿し店内▲店内には、「石狩鍋」のポスターやのぼりが。のぼりの上にあるのは、馴染み客手づくりの鮭のぬいぐるみ。のぼりやポスターで使われている「石狩なべ」の文字は、田岡克介石狩市長の筆からデザイン

 
「全国の人が『石狩鍋』は北海道を代表する鍋と知っているのに、意外と地元に知らない人が多い。もっと地元の人たちにも食べて、知ってもらいたいですね。また、毎年札幌の雪まつりで雪像づくりをしている人たちに『石狩鍋』を差し入れしたり、東京にある『石狩会(石狩出身の人たちの会)』ではイベントに参加して東京の人たちに『石狩鍋』をふるまったり、『石狩鍋』を広げるためにさまざまな活動をしています」。
 
「石狩鍋」を提供している「あき味の会」の飲食店は、石狩観光協会のHPで確認できます。
 
 

「石狩鍋」発祥地の石狩で、本場「石狩鍋」を食す!

ここまで取材して、食べないわけにはいかないべ…ということで、「宝寿し」の「石狩鍋」をいただきました。
 

「宝寿し」の「石狩鍋」▲「宝寿し」の「石狩鍋」。一人前1300円、予約が必要です
※写真は二人前

 
本場の「石狩鍋」は、味は味噌味、鮭の身、アラが入っているのはもちろん、キャベツか白菜、タマネギ、突きコンニャクがてっぱん具材。その他は、それぞれの店によって異なり、個性の見せどころ。
「宝寿し」の「石狩鍋」は、キャベツ、水菜、タマネギ、突きコンニャク、キノコ類、豆腐、長ネギ、魚のすり身、鮭の身・白子・アラが入っていました。
 


▲グツグツ煮立った「石狩鍋」
 

「宝寿し」の「石狩鍋」▲アツアツをいただきます!
 

まずは味噌味の汁をすすって…こ、この味は!?単純な味噌味ではなく、まるく深みのあるコク、さらにちょっと辛味が。
 
「味がまろやかになるので、隠し味に生クリームを使っています。それと、辛味は豆板醤です」と中田さん。
 
キャベツやタマネギなど野菜の甘味、ぶつ切りした鮭の身、アラからもいい出汁が出ていて、まろやかでコクのある味噌味に、あとからちょっと辛味が追い付いてくる。これは美味い!なんぼでも食べらさる
 

「宝寿し」の「石狩鍋」▲アラをしゃぶるのも「石狩鍋」の醍醐味。鮭は骨が太く身離れがよいので、骨と骨の間に詰まった身も、きれいにしゃぶれます
 

…とその時、中田さんが「〆はおじやにするかい?」と。そうです、鍋の〆と言えば、残った出汁でうどんかラーメンですが、「石狩鍋」は、おじやです。

 
「宝寿し」の「石狩鍋」の〆おじや▲ご飯を入れて…


「宝寿し」の「石狩鍋」の〆おじや▲溶き卵を入れて…
 

「宝寿し」の「石狩鍋」の〆おじや▲小葱をパラパラ…
 
 
「宝寿し」の「石狩鍋」の〆おじや


「宝寿し」の「石狩鍋」の〆おじや▲これがおいしくないはずがない!
 

「宝寿し」の「石狩鍋」二人前、ライターとカメラマンで、残さずきれいに完食。いやー、道産子でよかった。
 
石狩川と日本海が出会う石狩川河口地域鮭の神様「鮫様」、そして「石狩鍋」。石狩と鮭の関係は、単に歴史があるというだけではなく、食文化としてもしっかり根付いたものでした。
 
さて、隠し味の生クリームと豆板醤という技も覚えたので、今夜は家で「石狩鍋」でもやるかい。したっけ、サッポロクラシックも冷やしておかないとなんないべ。
 
 

 関連リンク

石狩市
石狩鍋(一般社団法人 石狩観光協会)

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