2017年08月12日 | 田中 勲

情熱の仕事人。北海道の可能性を追求する。クリプトン・フューチャー・メディア株式会社代表取締役「伊藤博之」

伊藤博之さんメイン


効果音などのサウンド素材の輸入販売からスタート、歌声合成ソフトウェア「初音ミク」の大ヒットで、一躍世界に名を轟かせたクリプトン・フューチャー・メディア株式会社。その創業者である代表取締役の伊藤博之さんに、今手がけている新しい事業、イベントを中心に北海道への想いをお聞きしました。

 

スマホアプリ「Domingo」で北海道民を倍にする!?

創業以来、音楽や音源をテーマにした事業で業界をリードしてきたクリプトン・フューチャー・メディア株式会社ですが、2017年1月25日、これまでとは全く異なる事業のスタートとして、地域密着型情報発信アプリ「Domingo(ドミンゴ)」のiOS版をリリースしました(Android版は2月27日リリース)。


Domingoブローシャ


このDomingo、自分のスマホにインストールしていると、さまざまな北海道の情報がリアルタイムにキャッチできるというもの。しかもこの新事業の背後には、伊藤さんが考える「北海道民倍増計画」があるというのです。それって、どういうことなのでしょうか?

「これは日本全体もしくは先進国共通の問題なのですが、この先、北海道の人口約538万人が、どんどん減っていきます。しかし、観光で北海道を訪れる人は、国内外合わせて年間約800万人で、北海道の人口よりも多いのです!この北海道訪問者に、北海道のファン=疑似北海道民になってもらえれば、道民は倍になります。私達の事業は、情報を提供することで、多くの人に北海道のファン、つまりバーチャル道民になってもらおうというものなのです」。


伊藤博之さんプロフィール▲クリプトン・フューチャー・メディア株式会社 代表取締役 伊藤博之さん:1965年北海道標茶町生まれ。北海学園大学経済学部を卒業後、北海道大学に就職、事務職員として勤務した後、1995年に札幌でクリプトン・フューチャー・メディアを設立


このコンセプトで開発されたDomingo。まず、自分がフォローしたい北海道の市町村を登録することからスタートします。フォローした市町村の最新情報は、「お知らせ」のタグをクリックすることで、見ることができます。


Domingoお知らせ画面▲Domingoでフォローした市町村からのお知らせ画面


もう一つのタグ「ニュース」をクリックすると、北海道のさまざまなメディアから提供されている北海道情報を、ジャンル別に閲覧することができます。北海道Likersもここに情報を提供。8月からイベント情報も充実しました。ニュースは、AI(人工知能)を使っていてユーザーの好みを学習、それに合わせた表示を行うシステムになっています。


Domingoニュース画面▲Domingoのニュース画面


北海道を訪れた人が、Domingoをインストール。気に入った町のフォロワーとなって、その町の最新情報を受け取ることで次の訪問を考えたり、産品を購入したり。そういう形で、バーチャル道民になる…という仕掛けなのです。

「フォロワーの数が増えていけば、何人のフォロワーを持っているかが、市町村のポテンシャルを見るバロメーターになるのでは…と考えています。現在(7月31日時点)、北海道にある179の市町村の内135がDomingoを公認、情報提供にご協力いただいています。またこのDomingoに関しては、北海道庁とも2月にタイアップ協定を結びました。情報を伝えるバーチャル道民の増加で交流人口を増やし、北海道全体を活性化していきたい。そこで、Domingoは500万ダウンロードを目標としています。だって『倍増』ですから(笑)」。

しかし少し気になるのは、Domingoがどのようにビジネスに繋がっていくのか…です。

「目先のことは考えていません。これは人工知能開発や適切な情報流通のための実験だと考えていますし、市町村やメディアなどと、いろいろな繋がりを作る場だとも捉えています。将来的に、新しいビジネスのアイデアが膨らめばいいという感覚ですね」。

 

「札幌で起業」を、アドバンテージにする

北海道に生まれ、北海道に育ち、北海道で起業。北海道以外で生活したことがなく、自らを「純粋な道民」と称する伊藤さん。そもそも札幌で会社を興したことが、その後の発展にプラスになったと語ります。

「会社を作った1995年は、インターネット元年と呼ばれた年でした。当時から弊社の顧客は道外中心でした。遠い札幌にいるからこそ、このインターネットをフル活用してビジネスを進めていこうと、腹を決めることができたのです。そこで大手プロバイダーのインターネット回線を、北海道第一号として契約しました」。

この決断の結果、デジタル音源をインターネットを使って販売するというビジネスモデルをいち早く確立、今ある会社の基盤を築くことができたのです。

「東京で起業していれば、きっと自分の足で納品していましたね(笑)。インターネット導入も大幅に遅れたでしょう。その点で非常に幸運だったと思います」。


伊藤博之さん北海道を語る


自身のこのような経験も踏まえて、伊藤さんは北海道の可能性を強く信じています。例えば地球全体では大きな問題である温暖化も、北海道にとっては、これまで栽培できなかった作物を作ることができるチャンスになる、と。

「ただ原料だけではこれまでと同じです。以前から北海道には付加価値を加える力が必要だと言われてきました。そのためには、私は『心地よさ』など人間の感性や、共感を追求しているクリエイターの力を借りることが、絶対に必要だと感じています」。

 

産業×クリエイターで化学反応を起こしたい

伊藤さんが今、実行委員長として中心となって開催準備を進めているのが、今年初の正式開催となる産業イベント「No Maps(ノーマップス)」です。


NoMapsポスター


IoT(Internet of Things/モノのインターネット)と呼ばれる、全てのものがインターネットで接続される世界の進展で、かつては縁遠いと思っていた最先端の技術が、どんどん生活レベルにまで浸透してきています。No Mapsはそんな先端技術の交流の場。2017年10月5日〜15日の11日間、札幌で先端技術に関する展示や会議、実験などが行われます。

「特に力を入れたいのは広い大地のある北海道や、都市機能が充実した札幌を、新しい技術の実証実験の『聖地』として世界にプロモーションしていくことです」。

例えば、今回札幌で実験を行うのは、中国発の自転車シェアリングサービスである「Mobike(モバイク)」。GPSが装備されている専用の自転車の場所を、ユーザーがスマホアプリで検索して利用。使用後は、乗り捨て自由というサービスです。この他にも市街地でのドローンを使ったゲームや、金融技術を応用した音楽ライブなどの実験が予定されています。

またスタートアップ(新規立ち上げ企業・事業)関連のプログラムも豊富。IT系を中心とした起業家を北海道から…という意気込みが感じられます。


伊藤博之さん〆


「もう一つ、このイベントの特徴は、技術だけではなく、音楽のライブイベントや、フィルムイベント(札幌国際短編映画祭)も同時に開催することです。産業とクリエイターの交流を促すことで、化学反応を起こしてみたい。No Mapsを通して、学生や企業など北海道の地力をアップして、オール北海道で、北海道から数年後に世界に広まるサービスを生み出す企業を作る。これが今の私の夢です」。

「純粋な道民」として北海道のためにを常に考えてきた伊藤さん。経営者として、そしてビジョナリストとしての活動が、どのように花開いていくのか。伊藤さんの熱を帯びた言葉に、今後の動向からも目が離せないと強く感じました。
 

関連リンク

・クリプトン・フューチャー・メディア株式会社
・Domingo
・NoMaps

\応援したい!と思ったら「なまらいいね!」/

この記事をSNSでシェアしよう!
  • 情熱の仕事人。北海道の可能性を追求する。クリプトン・フューチャー・メディア株式会社代表取締役「伊藤博之」
  • Google+

3dc70850 3c05 46c6 9ca8 fe04bbfd0a64

Writer

田中 勲

関連記事

FacebookのIDを利用して、北海道Likersへ登録します。

北海道Likersは、北海道を愛する皆さんと北海道を盛り上げるコミュニティです。

  • 利用規約に同意の上ご登録ください。
  • FacebookのIDで簡単に登録できます。登録は無料です。
  • Facebookに設定しているメールアドレスを登録します。お客様のメールアドレスは、北海道Likers運営からの連絡に利用いたします。
Title
Close