2017年06月15日 | 小西 由稀

大地を創る人。常に新しいチャレンジを試みる3代目漁師・成田学さん(小樽)

「あー、この人が獲るものは、きっとおいしいだろうなぁ」。そう思わせるとびきりの笑顔の持ち主が、今回の主役・成田学さん。夏に漁期を迎える小樽のウニ漁のお話を伺いました。
 

小樽・高島地区の漁師の成田学さん▲小樽の高島地区で3代続く漁師

 

実入りのいいウニの見極めが腕の見せどころ

ほぼ一年を通して、北海道のどこかではウニ漁が行われていますが、夏のウニといえば日本海沿岸が主体。その中でも小樽はスタートが早く、例年5月中旬から始まります。


キタムラサキウニ▲トゲトゲが特徴的なキタムラサキウニ
 

船の上から海中を覗き込んだままの姿勢で、バランスを取りながらウニを見つけ、ひとつひとつタモ網で拾う漁は、わずかな風や波でも転覆の危険が伴います。いくら晴れていても、風があると漁に出られない日が続くのです。
小樽・高島地区の班長をしている成田さんは、朝5時の一斉出漁を前に、その日の漁の有無を判断。これが朝一番の仕事です。


小さな磯舟で身を乗り出すようにウニを獲るウニ漁▲水中メガネに似た箱メガネを口にくわえて身を乗り出し、柄の長いタモ網を使う昔ながらの漁法。※写真は成田さんではありません
 

ウニ漁の漁具▲箱メガネとタモ網。網が届かない場所では、ウニの殻を挟んで獲る漁具使う
 

取材にお邪魔した日は久々に凪いでいて、たくさんの磯舟が浮かんでいました。小樽エリアの漁期は5月中旬~8月末まで。貴重な資源を守るため、時間は朝5時~8時まで(時期で少しずつ異なり、盛夏は9時まで)という制限が設けられています。また、小さなサイズは獲らないという規制も。


小樽・高島地区のウニ漁の風景
 
「ウニの味はエサの昆布で決まる」。そう話す成田さんは、繁茂する昆布の中に潜むエゾバフンウニとキタムラサキウニを狙います。広い海の中、小さなウニを、それも同系色の昆布の中から探し出すのですから、それはもう宝探しのような海仕事です。


笑顔の成田さん

昆布の成長は毎年場所によって異なるため、ほかの漁の合間にも状況をチェックしているといいます。短い操業時間の中、実入りの良いものをいかに見分けられるかが、腕の見せどころになるウニ漁。これまでの経験と日頃の観察力、そこから導き出される判断力が大切になるのです。
 

エゾバフンウニ▲こちらはトゲが短くまんじゅう型のエゾバフンウニ

 

獲って終わりではないウニ漁
高価なのには訳がある

ウニ漁は獲って終わりではありません。浜に戻るとウニをむき、選別する仕事が待っています。弟の広幸さん、さらに手伝いの方たちと4人で作業を進めます。


ウニの殻をむく成田さん


ウニの殻を2つに割る▲ウニの殻を2つに割る作業から
 

ウニの殻の中に実は5片しか入っていません。殻を割っては実を取り出す作業を何度も繰り返します。むきたての実はやわらかいので粒が壊れないよう、丁寧に作業を続けます。
 

バフンウニの殻むき作業


バフンウニの殻むき作業 

むいたウニには未消化の昆布など不純物が混じっているため、それらをピンセットでひとつひとつ取り除きます。
 

未消化の昆布などの不純物を取り除く作業
 
成田さんたちの作業を見ていて思いました。ウニ丼には一体何個分のウニが使われているのか…と。1kg分のウニをむいても、可食部分は約15%(150g)といわれています。ウニが高価な理由がよくわかります。海の仕事と浜の仕事が支え合い、手間暇かけて送り出すウニ。感謝しつつ大切に味わいたい、そう思いました。
 

商品詰めの際に貼るシール▲殻むきがおわったら、実を塩水パックに詰めて出荷

 

常に新しいやり方を模索
そこが漁のやり甲斐に

物心ついた頃から「漁師になる!」と決めていた成田さん。遊び場は海。父親も祖父も漁師で、よく手伝いをしていたという環境で育ったこともあり、「ほかの選択肢は頭になかった」と話します。
高校在学中から漁師に必要な資格を取得。「船舶免許は、16歳になってすぐに取ったんだよね。意外に集中力はあるのさ」と笑顔を見せます。


成田学さん 

成田さんはウニ漁のほか、タコやニシン、シャコ、コウナゴ、アワビなど、一年を通してさまざまな魚種を獲っています。
唯一漁をしないのは9月。この期間は、網など漁具のメンテナンスや準備にあてます。魚種が多いと漁具も多く、ゆっくり休んでいる暇はありません。
 

成田漁業部の看板
 

小樽・高島の海
 
「昔の人たちが考えた漁法を見直し、ムダを削って、常に新しいやり方を工夫している時が楽しいね。でも、1回失敗しないと燃えない。でも、2回失敗したら元のやり方に戻す。そこには意味があると思うから」。
 
ウニ漁での新たな挑戦を尋ねると、「漁場の見極め方」という答えが。前述した通り、良質のウニを探すなら良質の昆布探しから。「昆布の育ち方は常に一定ではないので、どう見極めるかは毎年の挑戦かな」。
 
取材者の特権で、むきたてのウニを一片、味見させていただきました。ふっくらとしたウニは口の中ですーっととけ、甘さはもちろんのこと、磯の香りの余韻が長く感じられました。初対面の印象通り、成田さんの笑顔は、やはりおいしいものを獲る人の福々しい笑顔でした。
 

成田学さん

 

「大地を創る人」とは

さまざまなおいしい食を生み出す北海道を「大地」と表現。農業や漁業、酪農業を通し、「新しい北海道を創りたい」「北海道を支えたい」「未来の北海道をデザインしたい」。そんな思いを胸に抱く北海道の生産者を、「大地を創る人」としてご紹介します。

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Writer

小西 由稀

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