2017年05月15日 | 小砂 志津子

原始の自然、ここにあり!「北海道大学植物園」

北大植物園北ローン

札幌で緑のオアシスといえばここ!
高山植物園や北方民族植物標本園、ハルニレの大木が残る自然林もあり、さまざまな植物を札幌の街ナカで見ることができます。また、重要文化財となっている博物館や、原始の札幌の地形がそのまま残っているということも魅力。北海道大学植物園(以下、北大植物園)は、過去と現在をつなぐ貴重な場所でもあるんですよ。

 

国内初の近代的植物園

札幌駅から徒歩10分の場所にある北大植物園は、約350メートル四方・面積は13.3ヘクタールあり、約4,000種の植物が育成されています。

 
植物園正門▲植物園の正門。奥に見えるのは重要文化財の「門衛所」


札幌農学校の教頭だったクラーク博士が、開拓使に「植物学の教育には植物園が必要」と強く進言したことで造られました。植物学に精通していたクラーク博士は、近くで観察や育成ができる学びの場の大切さを説いたのだと考えられています。開園したのは明治19年のことでした。


植物園バラ園▲20種類のバラや、ハマナスが植えられているバラ園(写真提供:北海道大学植物園)


北大植物園は、日本初の「近代的植物園」。国内では2番目にできた植物園です。
「近代的植物園」とは、観賞用の庭園の集まりではなく、科学を基盤においた「研究の場」であるということ。園内では植物の育成のほかに、種の保存、絶滅危惧種の保全なども行っているそうです。

その貴重なフィールドには、好奇心と五感を刺激する見どころがたくさん。
花や自然が好きな方はもちろん、歴史に興味のある方にもおすすめの場所です。

 

北方植物の宝庫

ハルニレの大木や、高山植物園、北方民族植物標本園など、北海道で自生するものを中心に、多くの植物が保存・育成されています。


ハルニレ大木▲園内にあるハルニレの大木。樹齢は100年を超すと考えられている。園内にはハルニレの林もある(写真提供:北海道大学植物園)


高山植物園▲スプリンクラーで霧を吹きかけるなどして、大雪山系トムラウシ山の8合目の環境を再現した「高山植物園」。約600種の植物が植えられている


ケナシヒマラヤユキノシタの花▲高山植物の花は、5月中旬から秋頃まで見られる。写真はケナシヒマラヤユキノシタの花


ライラック並木▲北ローンの隣にある「ライラック並木」。ヨーロッパやアジアの品種が20種類ほど植えられている(写真提供:北海道大学植物園)


北方民族植物標本園▲「北方民族植物標本園」は、アイヌを中心とした北方民族の人々が衣食住や薬として使っていた約200種の植物を展示。説明看板には用途が記載されている

 

原始の札幌を感じさせる地形と自然林

「自然林」では、原生林に覆われていたかつての札幌の姿を想像することができます。ハルニレやイタヤカエデ、オニグルミなどの樹木が茂り、人の手を加えずに、自然の変化を調査しているそうです。自然林にどのような木の種が飛んできているのかを調べるための白い網も設置されています。

 
自然林▲5月上旬に新緑が芽吹いた自然林の樹木。元はハルニレ林だったそうだが、今ではさまざまな木が生えている。右側の大きな木がハルニレ


約1,000年前の擦文時代の竪穴式住居跡もあるのをご存知でしょうか。
植物園は豊平川の扇状地で、アイヌ語でメムと呼ばれる地下水が各所に湧き出る場所だったそうです。その水辺の多いところに人が棲みついていたようで、園内の3ヶ所で観察することができます。
 

竪穴式住居跡▲少しくぼんだ所が竪穴式住居跡。擦文時代の土器も発見されている


今でも池や湿地が多い北大植物園ですが、池の水はそのメム(地下水)を、ポンプでくみ上げて川に流しているそうです。

 
湿生園の散策路▲散策路がある湿生園。ミズバショウやショウブの花が見られる

 

敷地内にある北海道初の博物館

北大植物園の最大の見どころが、重要文化財の博物館。北海道で最も古い博物館として知られています。ところで、植物園になぜ博物館があるのでしょうか。

 
博物館外観▲明治15年に開拓使の博物館として建てられた。正面玄関の上に五稜星がある


博物館は、明治15年に札幌駅の北口にある偕楽園のあたりにできたもの。最初の敷地が狭かったことで、当時原始林で羊牧場として使われていたこの地に博物館を移したそうです。
植物園ができたのは4年後の明治19年。移設した博物館の周囲が、植物園になったということのようです。

小さな博物館ですが、中には明治時代の動物のはく製や、北大の職員が研究、訓練をしたという南極観測隊の貴重な資料も展示されています。あの南極物語のタロのはく製もあるのですよ。

入口のすぐ前にそびえるのが、明治23年に札幌市の牧場を襲い、屯田兵に射殺されたというエゾヒグマのはく製。2m以上はありそうなオスのヒグマです。

 
エゾヒグマのはく製▲明治時代のエゾヒグマ。展示用のガラスケースも重要文化財のひとつとなっている


絶滅したエゾオオカミのはく製。かつては何千頭もいましたが、明治20年頃にはほとんど見られなくなったそうです。

 
絶滅したエゾオオカミ▲エゾシカの減少や駆除、伝染病などが原因で絶滅したと考えられている


絶滅した今でこそ貴重なはく製ですが、当時の人にとっては家畜を狙う害獣。
当時の人は、駆除したオオカミにほとんど価値を見出してはいなかったことでしょう。
博物館がオオカミをはく製として残したことで、明治時代のオオカミと当時の人との関わりなどを現代に生きる私たちに見せてくれる。これは、博物館の大きな役割なのだそうです。

もうひとつ興味深いのは、イギリス出身の動物学者・ブラキストンに関する展示。
津軽海峡をはさんで本州と北海道の生態系が大きく異なるという生物境界線「ブラキストン線」を提唱した人物です。
博物館では、ブラキストンが収集した本州と北海道の動物のはく製を所蔵。その一部を津軽海峡に見たてた通路を挟んで左右に展示しています。

 
ブラキストンのシマフクロウ▲シマフクロウはブラキストンが新種として発見したことから、英語名「Blakiston's Fish-owl」にブラキストンの名前が入っている

 

宮部金吾記念館と札幌最古のライラック

植物園の初代園長である宮部金吾の記念館前には、札幌最古といわれているライラックの木があります。このライラックは、北星学園の創設者であるサラ・クララ・スミス女史が明治23年頃にアメリカから持ってきたものと言われています。

 
札幌最古のライラック▲正門の近くにある白い建物が宮部金吾記念館。ライラックの見ごろは5月下旬~6月中旬(写真提供:北海道大学植物園)


宮部金吾▲植物園の設計から携わった宮部金吾は、札幌農学校の二期生で、北方植物の第一人者


見どころが多い北海道大学植物園。その他にも、温室、重要文化財の建物、アイヌ文化を紹介する北方民族資料室などがあります。
博物館を見るだけでも、またハルニレの大木にふれたり園内を散策するだけでも十分に楽しめる場所です。
花と緑を愛でるのと同時に、原始の自然にふれて、過去と現在のつながりに少しだけ思いをはせると、北大植物園をちょっと違う角度から楽しめますよ。

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