2017年04月16日 | うずらはしちあき

情熱の仕事人。札幌の伝統「月寒あんぱん」をつなぐために。(株)ほんま社長「本間幹英」

月寒あんぱんの株式会社ほんま、本間社長

札幌市豊平区月寒(とよひらく・つきさむ)の地で誕生し、時代を超えて親しまれる「月寒あんぱん」。手がけるのは株式会社ほんま。111年続く老舗の5代目として、地域の歴史とともにある銘菓を伝えているのが本間幹英さんです。

 

明治の人が作り上げた「月寒あんぱん」

明治政府が開拓使を置き、蝦夷地を「北海道」と改名して本格的な北海道開拓と札幌のまちづくりが始まったのが1869(明治2)年。ほんまは1906(明治39)年創業と、札幌を代表する菓子製造販売の老舗。原点の「月寒あんぱん」をはじめ、発売から50年以上たつ「玉ドーナツ」「月寒ドーナツ」などロングセラーを送り出しています。
 
こんがりと焼かれた薄皮に包まれて、十勝小豆のこしあんがぎっしり。見ても食べてもまんじゅうに近いのですが、商品名を月寒あんぱんといいます。


月寒あんぱんの株式会社ほんま、本間社長▲月寒あんぱん本舗 株式会社ほんま 代表取締役社長 本間幹英(ほんまみきふさ)さん:1970年、札幌生まれ。札幌南高校、早稲田大学出身。食品メーカー、会計事務所、外資系コンサルティング会社勤務を経て、2005年株式会社ほんまに入社。06年6月より現職


明治時代、旧陸軍歩兵第25連隊の駐屯地だった月寒地区(古くは「つきさっぷ」と呼ばれた)。連隊に菓子を売っていた商人が、明治初期に東京で大ヒットした「桜あんぱん」の噂をもとに想像で作ったのが始まり。仕上がった「あんぱん」は、丸く平たい月餅のようなまんじゅうでした。
 
この製法を教わった一人に、ほんまの初代・本間与三郎さんがいました。煉り込んだあんがたっぷり入った与三郎さんのあんぱんは、兵士やその家族からとても喜ばれたといいます。与三郎さんは、本間さんの祖父のお兄さんに当たります。


十勝の小豆のこしあんがたっぷり入った月寒あんぱん▲こしあん入りの元祖・月寒あんぱん。歯ごたえがありながら口どけの良い生地と小豆の風味豊かなあんのバランスが絶妙


「当時は連隊パンとか兵隊パンとも呼ばれていたようです。月寒で独自に広まっていったことで、月寒あんぱんと名前がついたんでしょうね。おいしいと買ってくれるお客様がいたから残ったんだろうと思います」と本間さん。
 
豊平区の国道36号沿い・月寒中央通8丁目に位置する、月寒あんぱんの総本店。その近く、月寒中央通7丁目から同区内の平岸(ひらぎし)小学校前に至る道路に「アンパン道路」の愛称がついています。これは、1911(明治44)年の道路開削時、毎日配られたあんぱんを食べながら兵士らが作業に従事したことに由来。月寒あんぱんには、地域の歴史もぎっしりと詰まっているのです。

 

サラリーマンからほんまの社長に。
「懐かしい」の声に危機感

勤めていた東京の会社を退職し、札幌に戻っていた本間さんに突如、ほんま継承の依頼が舞い込んだのは35歳の時。月寒あんぱんは商品として身近だったものの、それまで会社や経営とはかかわりがなかったといいます。
 
「4代目の次がいない状況でした。それでもう一度、本間家から社長をということで」と背景を明かします。「これは天命だと」。引き受けることに迷いはありませんでした。
 
月寒あんぱんの生地は明治以来の配合とし、あんは十勝産の小豆を自社工場で煉り上げているそうです。「北海道の原料を大切に生かし、正直に作る」。その姿勢は今も昔も変わりません。
 
味は現在、元祖の「こしあん」に「かぼちゃあん」「黒糖あん」「黒胡麻あん」「抹茶あん」の5種類を展開。おやつとして親しまれ、おすそ分けのお菓子や折々の贈り物としても利用されている月寒あんぱんは、2015年に日本ギフト大賞の都道府県(北海道)賞を受賞しています。


月寒あんぱんや玉ドーナツなど株式会社ほんまの商品▲「月寒あんぱんスティック」や「月寒あんぱん復刻版」もラインアップ。こしあん入りの「玉ドーナツ」も人気の商品


社長に就任した2006年当時、幾度となく聞いたのは月寒あんぱんに対する「懐かしい」という声でした。
 
「懐かしいということは、今は食べられていないんだなと。たまに無性に食べたくなる存在でなければいけないと思っていましたので、今一度認知してもらう、もっと広く知ってもらうことが必要だと強く感じました」。
 
直営店を開き、また、若い世代の人にも受け入れられるようにと味のバリエーションを増やしたほか、食べやすいスティックタイプも開発。全国各地で催される物産展に積極的に出店し、近年は道外の大型スーパーなどにも販路を広げています。
 
月寒あんぱんを広く知ってもらうことは、月寒という地を知ってもらうことにもつながります。「親善大使の役割を担っているのかなと。勝手に思っているんですけどね」と本間さん。「催事などで道外に行くと、『げっかん』といわれちゃう。そう読む人を減らすことも親善大使のミッションです」と笑います。

 

「絶やしてはならない」という思いを胸に

以前は月寒の別な場所で営業していた総本店を月寒中央通に移し、2015年秋にリニューアルオープン。「ここ月寒中央通はアンパン道路の始点・終点でもありますし、やはり中央通に店をという気持ちがありました」。

総本店には地元の人をはじめ、遠方からのファンも多数来店。「ここに来れば買えるということを大事にしたい」と話します。


月寒あんぱんを食べている株式会社ほんまの本間社長▲時にユーモアを交えながら思いを語ってくださった本間さん


本間さんは、地域の小学校での出前授業を通して、まちの歴史の1ページに月寒あんぱんがあることや、小豆をはじめ北海道の素材から商品が作られることを子供たちに伝えています。
「子供さんたちにもっと身近に感じてもらい、食べてもらいたい。そのための取り組みを何か考えていきたいですね」。
 
気持ちの真ん中にあるのは、月寒あんぱんを「絶やしてはならない」という並々ならぬ思い。
 
積み重ねられてきたものを守りながら、新たなアイデアや工夫を加え、月寒に根ざした札幌の伝統を伝えていく。本間さんは熱をたぎらせています。


月寒あんぱんのほんまの月寒総本店外観▲月寒総本店。地下鉄東豊線「月寒中央」駅の4番出口からすぐ

 

関連リンク

月寒あんぱん本舗 株式会社ほんま

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