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公開 | みふねたまき

探訪画家イマイカツミさんが描く北海道を、旅するように楽しめる『大人の塗り絵』

はじめての塗り絵・北海道の旅 イマイカツミ

「大人の塗り絵」ブームが続くなか、「北海道」の文字が入った一冊を見つけました。タイトルは『大人が楽しむ はじめての塗り絵 北海道の旅』(絵と文イマイカツミ、いかだ社発行)。絵と文を手がけたのは富良野在住の画家イマイカツミさんです。柔らかなタッチで描かれた水彩画は、のんびり大らかで、どこか日なたの匂いがします。さてさて、作者のイマイさんはどんな方なのでしょう?北海道の真ん中、おへそのまち富良野へ、イマイさんを訪ねました。

 

美瑛の丘や小樽運河、ガリンコ号、ページを開くと北海道の風景が広がります

ところで「大人の塗り絵」ですが、書店でもコーナーができるほど人気になっていることをご存じでしたか?ブームの発端となったフランスでは「コロリアージュ」と呼ばれ、忙しい女性のストレス解消法として人気に火がついたそうです。特徴はボタニカル柄に代表される緻密で美しいデザイン。色鉛筆や水性ペンなどで下絵にそって無心に色を塗り、カラフルな絵を完成させることで、日常を離れ心を解放させられる。創造性を刺激するだけでなく、セラピー効果も期待できるそうです。

と、昨今の塗り絵事情をおさらいしたところで、『大人が楽しむ はじめての塗り絵 北海道の旅』を見てみましょう。本の中にはイマイさんが描いた12の作品が、完成見本とともに収録されています。黄色の連なりがきれいな「北竜ひまわりの里」、「三笠幾春別・奔別炭鉱立坑櫓」「美瑛の丘の夏景色」などなど。作品は全てイマイさんがその場所に立って、描いたものです。だからでしょうか、完成見本として掲載されている絵からは、その季節の空気感まで伝わって来るようです。


はじめての塗り絵・北海道の旅・イマイカツミ 北竜ひまわりの里▲表紙にもなっている「北竜ひまわりの里(難易度2)」※下絵には筆者が少しだけ色を塗りました。


はじめての塗り絵・北海道の旅・イマイカツミ 札幌時計台▲札幌時計台(難易度3)。観光名所と呼ばれるところはほとんど描いたことがないというイマイさん。本のなかにはこの本のために初めて描いたという小樽運河やガリンコ号から見た流氷なども収録されています。


はじめての塗り絵・北海道の旅・イマイカツミ ポストカードサイズ▲ポストカードサイズの塗り絵。上手にできたら切手を貼ってお友だちに出しましょう。


イマイさんの作品は水彩絵の具で描かれていますが、本の中では手軽に使える画材として水彩色鉛筆やマーカーなども紹介されています。色鉛筆と水彩絵の具の場合とで、塗り方のポイントも解説されていて、タイトル通りはじめての方でも気軽に楽しめそうです。かくいう筆者も緻密な下絵に「難しそう…」と一瞬たじろぎましたが、実際に塗り始めると楽しくて、しばし没頭。大人がはまる…を身をもって実感しました。

 

富良野に暮らし、北海道を描き続けるイマイカツミさん

富良野在住探訪画家イマイカツミさん▲笑顔が魅力的なイマイカツミさん。描かれる作品と同様に、ゆったり穏やか、ヒーリング効果抜群なお人柄でした。


それでは改めて作者のイマイカツミさんをご紹介しましょう。
イマイさんは、1975年大阪生まれの横浜育ち。大学では文学を専攻。むさぼるように読んだ本を通じて、作家や画家など表現することに命をかける人々の熱に触発され、大学時代は美術部に所属し絵を描き始めます。卒業後は出版社に就職しますが、仕事のかたわらではなく本格的に絵と向き合うため1年あまりで退職。それは「絵描きとして生きる」というイマイさんの決意表明でもありました。

北海道へやってきたのは2001年。農業ヘルパーとして富良野に滞在し、画家としての一歩を踏み出します。その後、2003年には世界一周スケッチ旅行と称して、10ヶ月かけてヨーロッパ、中東、アジアを巡ります。海外の街々で絵を描き旅を続けながら、いずれは日本に帰ることを考えた時、イマイさんの心に浮かんだのが富良野の風景でした。「もっとあの街の風景を描きたい」その思いひとつで、富良野へ帰ってきたそうです。


富良野在住探訪画家イマイカツミさん 画材▲イマイさんが愛用している水彩絵の具と絵筆。絵の具は「ウィンザー&ニュートン」、絵筆はラファエル。イマイさんにとってはどちらも体の一部。かけがえのない存在です。


富良野在住探訪画家イマイカツミさん 原画▲心のおもむくまま旅に出て、本当に描きたいものだけを描くイマイさん。下絵だけで4時間、彩色に4時間を費やすそうです。

 

新たな表現を求めて

イマイカツミ探訪画集▲寿郎社より出版されている「イマイカツミ探訪画集」シリーズ。「谷間のゆり夕張」「大地のうた富良野」「北海道の駅舎(上下巻)」の4集が発売されています。


富良野に移り住んで14年。夏場は農作業を手伝いながら、各地を訪ね絵を描き続けるイマイさん。「初めて展覧会をしたのが絵描きになって8年目、画集を出したのが10年目ですから、絵描きとしては遅いほうですね」。現在は、北海道新聞富良野版で「富良野農業歳時記」を連載中。広重の浮世絵に惹かれるというイマイさんが、浮世絵をヒントに新しい表現の試みとして農業の現場を描いています。4月からは北海道新聞夕刊で四国お遍路旅を描いた新たな連載もスタートするということで、こちらも今から楽しみです。

今回紹介した塗り絵の出版も、イマイさんにとっては新たな試みでした。
「塗り絵がブームになっていること自体知らなかったので、話を聞いたときは驚きました。でも、考えてみると細かく輪郭線をひいて、忠実に色を塗っていく自分の絵は塗り絵に向いていると思いました」と快諾。描きためた作品の中から、より塗り絵に適したものを選び、加えて、これまでは描いたことのなかった観光名所も新たに描きおろしています。本では作品別に難易度が記され、イマイさんからのアドバイスも添えられています。

「本のあとがきにも書きましたが、僕の見本はあくまでも参考に、自分の好きな色、好きな道具で自由に楽しんで、塗り絵をきっかけに絵を描く楽しみを知ってもらえると嬉しいですね」。
季節や時間が変われば、同じ場所でも目に映る色彩は異なります。塗り絵で北海道の旅を楽しんだら、今度は実際の風景を訪ねて本を片手に出かけてみてはいかがですか?
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