写真展「タウシュベツ拾遺」開催/写真家・岩崎量示さん

こ・・・これは・・・・


Photograph:Ryoji Iwasaki


編集部でこの写真を見た時、興奮を抑えられなかった。
撮影者は、北海道Likersユーザーの1人。
いいね!するだけでは我慢できなくなり、ついに写真家を訪ねることに決めた。
札幌から帯広までJR特急で2時間半で帯広。彼は糠平から帯広まで車で迎えに来てくれた。 

「まさか本当にくるなんて!」 

タウシュベツ橋梁に魅せられ8年もの間、写真を撮り続けている岩崎量示さん。
帯広から糠平までの道は片道60キロ、車でおよそ1時間、大自然を撮影しながらユニークな経歴を聞くことができた。




「気分的にはまだ旅の途中のつもりなんです。」

埼玉県に生まれ育ち、バックパックひとつで北海道と沖縄などを旅して、
沖縄の石垣島で三線(サンシン:琉球文化を代表する楽器)を習いながら、合間に離島を散策、、四国でお遍路さん、北海道はYAMAHAのメイトという原付で2周。宿の手伝いもした。
そうして量示さんが上士幌町ぬかびら源泉郷に腰を据えたのは8年前の2005年。

糠平のタウシュベツ橋梁との出会い。 

「あと何年残っているかわからない橋梁のことを写真に残しておくべきだと思った。」




そう話す量示さんは、驚くことに、それまでカメラの経験はほぼゼロ。独学でスタート。

「その前は大きなホテルで皿洗い、他に郵便局の仕分け、スキー場のレンタル、ペンションやユースの住み込みバイト、ライターとか…数えるといろいろやってましたねー。きっと僕は日本一皿洗いが早いカメラマンです(笑)」




帯広から糠平へ向かう途中でちょっと寄り道した十勝川には白鳥が飛来。この十勝エリアは撮影スポットが無数にある。

なんて美しいところなんだろう!





「今日は今年一番の暖かさですよ。」そう言いながら、分厚いダウンコートを貸してくださった。 




糠平湖に向かう途中ぬかびら源泉郷の温泉街で立ち寄ったビストロ ふうか。




とても美味しいハンバーグをつくるご夫婦の小さなお店。(以前テレビ朝日の番組「人生の楽園」に登場したこともあるそう)

ぬかびら源泉郷源泉は、かけ流しのナトリウム・塩化物-炭酸水素塩泉として有名で、近くにぬかびら源泉郷スキー場もある。
お店はスキーヤーで賑わっていた。

「りょうちゃん、もう来て8年なの。早いねぇ。」
そう言って奥さんがコーヒーをサービスしてくれた。
このお店も、来たばかりの頃のアルバイト先だったそう。

温まったところで、さて、糠平湖へ。

と思った瞬間、軒下に現れた大きな鹿に編集部仰天!




「うゎぁぁぁぁ!!!!近い!!!!」

焦る編集部(これでも道産子…)に埼玉県出身の量示さん
「今年は雪が早かったし、積雪が多いから、山に食べ物なくて下の街に沢山降りてきちゃうんです。」
と、余裕の解説。

ひがし大雪自然ガイドセンターに長靴を借りに行く。

「りょうくんの取材?写真撮られる側になるのは珍しいねぇ。」 ガイドさんがそう言うのは、単純に写真家が写真を撮られるのは、という意味かと思いましたが、後日談で、実は量示さんご自身が写真を撮られるのが苦手だと聞いた。(すみませんw)

そう言ってガイドさんがまた温かいコーヒーを出してくれた。

「人気者ですね」と言うと、

「人口100人くらいですから…」と照れ笑い。

都会っ子と思えない、ほのぼのとした雰囲気の量示さんに案内されながら糠平湖へ 。




エゾユキウサギやエゾリスの足跡がいたるところに。




林を抜けて湖面に到着。奥を見ると不自然に盛り上がる亀裂があった。

これは「きのこ氷」




「一日20cmくらいずつ水面が下がるので、水中の切り株に湖面の氷が残されて出来るんです。」 




「湖周は大体山手線一周くらい(ちなみに山手線一周は34.5キロ、糠平湖は32キロほど)。もう行きましょう」

きのこ氷の撮影もほどほどに、道を急ぎはするのだけれど

進んで、振り返って、また、違う景色が現れるから何度も足を止めてしまう。

彼方で量示さんが湖面を撮影していた。

覗こうとすると、手のひらで湖面を少し融かしてくれた。




透き通ってる!

私が撮影してもこの程度…




ある日の量示さんが撮影した写真↓


Photograph:Ryoji Iwasaki


ガスを含みながら湖水が凍り、幻想的な風景が出来上がるそう。

湖面でワカサギ釣りを楽しむ人達のテント。


Photograph:Ryoji Iwasaki


カラフルで何だか可愛らしい景色。




到着。これが北海道遺産の1つか。

いつもの撮影ポイントを尋ねると
「ぐるっと一周します。いろんな時刻、いろんな角度で」
と いうことで、いつも通りにやってもらうことに。 

老朽化が激しい部分は、鉄骨が露出していた。




Photograph:Ryoji Iwasaki


裏側。氷のかたまりがゴロゴロ落ちている。きらきらと輝いてとても綺麗。






「夜に撮影に来た時、氷の亀裂に足が挟まって抜けなくなったことがあります。」 




量示さん、それ笑えません!!

だんだんと、日が暮れてきた。




真っ白な大地も青空も私達も、段々と深い青に染まっていく。


Photograph:Ryoji Iwasaki


「橋が崩れてしまったら、そのあとはどうする予定ですか?」

「決めていません。あと3年くらいで崩れるかも、と言いながら、もう8年です(笑)」

8年も同じものを撮っているとは思えない、楽しそうな表情だった。

このまま橋が崩れずに、ずっと北海道を撮り続けてくれたら嬉しい。

今年の5月、東京で量示さんの個展が開催される。

「明日はもう橋が崩れてしまうのでは…と思いながら撮っています。」

そんな旅の途中の記録、ぜひ見に行って欲しい。

 

タウシュベツ拾遺

期間/2013年5月24日(金)~30日(木)
時間/午前10時~午後7時(最終日は午後4時まで)
場所/富士フイルムフォトサロン 東京 スペース2(東京ミッドタウン フジフイルム スクエア)



 

岩崎量示さん プロフィール

1979年4月生 写真撮り&物書き
埼玉県出身、北海道在住
Facebook: http://eng.mg/87873
HP: http://eng.mg/5d27b