2016年11月04日 | うずらはしちあき

情熱の仕事人。札幌の名店、親子の厨房の向こう側。中国料理 布袋「佐藤勲・佐藤郁文」

札幌の中国料理布袋の佐藤さん親子

市電の走る南1条通沿いに看板をあげて18年。ファンが愛してやまないザンギをはじめ、味とボリュームの良さで街の人々の胃袋をわしづかみにする「中国料理 布袋(ほてい)」。創業者の佐藤勲さん、2代目の郁文さんに話しを伺いました。

 

50歳からの新スタート。東京で知る父親の頑張り

お昼に週3回、4回と足を運ぶ常連さん、また、女性の来店も多数。そこが、布袋の強み。オープンは1998年。多くの人から愛される名店は、街の日常の中に変わらず在り続けています。
 
「新たに勤めるには年齢的な壁がありました。自分でやるしかないと始めた店です」。中国料理一筋に歩んできた勲さんが、布袋を開いたのは50歳のとき。周辺で働く人が気軽に利用できる店にと、スタートを切りました。


札幌の中国料理店布袋の創業者、佐藤勲さん▲中国料理 布袋 相談役 佐藤 勲さん:上砂川町出身。高校卒業後、札幌グランドホテルに入社し、中国料理の道へ。同ホテルに10年間勤めたのち、施設やレストランなどで腕をふるう。1998年「布袋」を開店。多くのファンを生む


「父の職業をかっこいいと思っていましたし、背中を見てきて自分もやるもんだと」。調理師免許を取得できる高校を卒業した郁文さんは、勲さんが新たな挑戦を始めた頃、東京へと発ちます。それから中華料理店で約10年間修行を積みました。
 
「面接に行ったきり帰って来なかったですね」と勲さん。「帰って来たのは10年で3回くらいかな」と、郁文さんは笑います。インターネット上で目にしていた布袋の話題、お客さんの声。思い浮かぶのは、札幌で頑張っている父親の姿でした。


札幌の中国料理布袋の社長、佐藤郁文さん▲中国料理布袋 代表 佐藤郁文さん:札幌市出身。高校卒業後、東京の中華料理店に就職。10年ほど勤めてUターンし「布袋」へ。イベントへの出店、店舗展開など新たな取り組みにも挑戦


郁文さんが家業に入ったのは7年ほど前。「料理人になったからといって、当初は布袋をどうこうしようという気持ちはなかったですね。僕の場合、小さい頃から継ぐことを意識してきたというわけではないので、2代目というプレッシャーもありませんでした」。

 

札幌でザンギといえば布袋。進化させ現在の“布袋のザンギ”に

衣はカリッ、中のお肉はふんわり、そして肉汁がジュワッ。大ぶりな絶品のザンギは、布袋の代名詞的な存在です。ちなみにザンギとは、わかりやすくいうと鶏の唐揚げのこと。北海道のソウルフードです。
 
本店の「ザンギ定食(A)」にはザンギが7個、「ザンギ定食(B)」はザンギ4個と小鉢いっぱいの麻婆豆腐が。お昼はこの“ザン定”がオーダーの4〜5割を占めるそうです。


札幌の中国料理布袋の大きなザンギと麻婆豆腐の定食▲「ザンギ定食(B)」880円。ザンギは見た目からインパクト大!麻婆丼も楽しめます。来札の機会があればぜひ ※写真提供:布袋


温度の違う油で3度揚げすることで完成するという、カリッとジューシーなザンギ。味が付いているのでそのまま食べても美味しく、ネギ入りの少し酸味のある特製タレにつけると、これまた食欲がそそられるのです。ザンギはテイクアウトもでき、それにもタレ付き。時間帯や曜日を問わず、ひっきりなしに注文が入ります。

「A定食はザンギがたくさんなので、味を変えて食べてもらうのはどうだろうと思いまして」。特製タレは勲さんが作っていた油淋鶏(ユーリンチー)のタレをベースに、郁文さんが編み出しました。


札幌の中国料理布袋のザンギとザンギにつけるタレ▲ザンギの人気の理由はタレにもアリ!  ※写真提供:布袋
 
「今の揚げ方、大きさ、肉のサイズに適した漬け込むタレの調味料の分量。ザンギにこだわりを持っていた息子が、試行錯誤の中でかたちにしてきたものです。私の世代は先輩に教わったやり方からなかなか脱却できないんですが、若い人たちはお客様を見て、常にどうするかを考えている。そういう部分はすごいなと思いますね」と勲さん。
 
郁文さんは、「ザンギはもともとすごく出ていました。その頃は父が経営者。タレにしてもコストをかけて作る必要はないと言われたら返す言葉はないですよね。やらせてくれたことに感謝しています」と話します。


札幌の中国料理店布袋の麻婆豆腐がたっぷりかかったマーボーメン▲「マーボーメン」880円。一度食べるとまた食べたくなる一杯です ※写真提供:布袋


ザンギと並んで人気なのが「マーボーメン」です。もともとは、まかない料理。残った麻婆豆腐がもったいないからと、ラーメンにかけて従業員に出したところ、好評だったことから改良を重ねてグランドメニューに加えたそう。開店から1年ほどして登場したこのマーボーメンも、長く支持され続ける布袋の味です。

 

受け継がれていくもの、互いへの思い

2012年に経営を引き継いだ郁文さん。イベントに出店したり、新店を開いたり、新たな挑戦もしています。2014年には、商業施設「赤れんがテラス」内に布袋2号店を開店。この11月8日には、中央区北1条西3丁目にある札幌中央ビル3階に新形態のお店をオープンするといいます。店名は「福禄寿」。長い経験を持つ中華の料理人と寿司職人の2人を料理長に置く、30席ほどの中華とお寿司のお店だそうです。
 
郁文さんの挑戦を、勲さんはどのように感じているのでしょうか。
「赤れんがテラスに店を出したときも、私はノータッチ。もう任せたわけですから、口出しはしません」。
 
「売上が伸びて自信もあったんです。だけど、何をしてもどこまで頑張っても父の店というのがあって。赤れんがテラスの店も、一所懸命に立ち上げたんですけど、結局は『お父さんの』っていわれるんですよ。でもそのとき、それが嬉しいんだなと思えて。父がすごいっていわれることのために、自分はやっているんだなって気づいたんです」。
郁文さんの思いをじっと聞く、勲さんの姿が印象的でした。
 
郁文さんは同じ料理人として、ひたむきな勲さんに改めて尊敬の念を強くしています。
「職人だなと感じますね。お客様にこれを食べてほしいんだという思いがすごい。自分が父の歳になったとき、これほど情熱を持ってできるのかなと」。


札幌の中国料理店布袋の佐藤さん親子▲シューマイを研究中という勲さんのイチオシは「燻製焼売」


勲さんは店を営業し続けることに、精一杯の力を注いできました。
「今、好きなことをやれているのは、結局のところサポートしてもらっているからですね。新しいメニューを考えるのは、私のほうが得意ですよ(笑)。働いてくれている若い人たちに、何をどれだけ残してあげられるか。私がやれることは、そこだと思っているんです」。
 
郁文さんも、こう続けます。「お客様が美味しいといってくれる布袋の味を維持すること、そのための努力を続けることがすごく大事で。何か新しいことをしながらも変わらないって難しいことだと感じていますが、従業員の働きぶりは挑戦していかないとと思わせてくれますし、従業員が挑戦できる場所をつくってあげたいとも思います」。
 
「人を大事に」とは、郁文さんが勲さんから学んだことのひとつです。それぞれの思いや言葉はどれも、互いに、そして“人”へ寄せられたものでした。味だけではない魅力が、布袋にたくさんの笑顔を集めているのだと感じ、また、佐藤さん親子を前に温かい気持ちになりました。

 

関連リンク

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