情熱の仕事人。小樽のガラスの未来に向かって。Kim glass design「木村直樹」



ガラスのまちとして知られる小樽で「Kim glass design」を主宰するとともに、小樽のガラスシーンを盛り上げようと活動。祝津地区の海辺の工房に、ガラスアーティスト・木村直樹さんを訪ねました。

 

小樽でガラスの世界に飛び込んで

小樽の街並みを歩いていると、数々の美しいガラス製品を目にすることができます。小樽のガラス産業、そしてガラス工芸は、明治40年代に製造が始まった、漁業に使われるガラス製の浮き玉を礎として発展してきました。
 
市内中心部から少し離れた祝津地区。漁師町の風景の中、目前に日本海が広がるロケーションに、Kim glass designの工房&ギャラリーはあります。








小樽に来るまで、ガラスとはまったく関わりがなかったという木村さん。「金沢で働いていたんですが、北海道に帰りたくて。仕事を探しているときにたまたま行き着いたのが、小樽のガラス工房のホームページだったんです」。画面に浮かび上がる作品に心を奪われ、その工房に志願して、ガラスの世界の門を叩きました。





必死になって親方に仕える日々。目を盗んでは道具やガラスにさわって仕事を覚え、技術を身につけていきました。しかし、当初の意気込みは次第に葛藤へと変わり、ガラスから気持ちが離れていた木村さんは小樽を後にします。
 
「親方に対する憧れが強くて。ガラスが好きというより、僕は親方に好かれたいがためにやっていたんですよね」。当時をそう振り返ります。








「小樽に戻って来ないか」。木村さんに声をかけたのは、ガラスギャラリーや販売店を展開する小樽の会社の社長でした。

「ガラスをやめてしまうのは、小樽にとってももったいないことだからと」。修業時代を知り、認めてくれる人がいたことが「うれしかった」。
26歳のときに工房を構えて独立。手がける製品の大部分は、吹きガラスの中でも、型を使わずに成形していく宙吹きガラスという技法から生み出されています。





木村さんのガラスは、多様な色づかい、和洋の枠に捉われないデザインを特徴とし、ギャラリーでは作品にもふれることができます。現在は神戸ともつながりができ、個人のお客さんや料亭からのオーダーメイド品を手がけることが増えてきているそうです。







工房の近くには、「おたる水族館」があります。夜間延長の「夜の水族館」(8月6日までの金・土限定、20時まで営業)が開かれる期間、木村さんのガラスアートと魚たちのコラボ展示「グラスアートアクアリウム」も見学することができます。





「目の前が海というこの祝津に身を置くことで、ガラスにつながる部分はありますし、ものづくりをする上で恵まれた環境だとひしひしと感じています。ここ(祝津)までわざわざガラスを見に来てくれる人がいる。一生懸命やっていれば、次につながっていくのかなと」。





この道を志してから12年の月日が流れました。木村さんは「ガラスに向き合うことが、楽しくなってきた」と話します。

 

ガラスのまちへの思いとともに

7月29 日〜31日には、第8回目となる「小樽がらす市」が、「おたる潮まつり」と同時開催されます。
 
旧国鉄手宮線と色内広場を会場に開かれるガラス市には、地元・小樽をはじめ全国から約40のガラス工房などが集結。それぞれの思いが込められたガラス製品が並び、作家さんによるデモンストレーションや吹きガラスの製作体験なども行われます。木村さんは、このがらす市の実行委員長に就いています。





「このイベントは、観光の方々にガラスを広く知ってもらう場であり、地元の方々と僕たちとの交流の機会でもあります。毎回たくさんの市民のみなさんが足を運んでくれて、リピーターになってくれているんです。大事にしていきたいイベントですね」。
がらす市は「小樽雪あかりの路」と同時に冬にも開かれています。





小樽の吹きガラス工房は現在11軒、加えてバーナーワーク(ガラス細工)の作家さんが数名活動しているそうです。
ガラスのまちを次につないでいくには、「おもしろい作品をつくって活動して発信していくことが、必要で大切なこと」だと、木村さんは考えています。
 
「僕がいうのはおこがましいですが、いま挑戦していくことで将来の自分自身に、さらに小樽のガラス業界により良い波が生まれたらと。ガラスを生業にしたいという人たちが、全国から集まってくるようなまちにしていきたいですね」。
 
小樽のガラス、まちの未来を思いながら、木村さんは窯の前で汗を流す日々を送っています。




 

第8回小樽がらす市

●開催日時 / 7月29日 (金) 〜31日 (日)
 29日は12:00〜21:00、30・31日は10:00〜21:00
●ところ / 旧国鉄手宮線(小樽市色内1丁目15)、色内広場(市立小樽文学館・美術館中庭)
●問い合わせ /小樽がらす市実行委員会事務局(小樽市産業港湾部産業振興課) 
 TEL:0134-32-4111(内線263)

 

関連リンク

Kim glass design