2016年07月17日 | うずらはしちあき

情熱の仕事人。小樽のガラスの未来に向かって。Kim glass design「木村直樹」

小樽キムグラスデザインを主宰する木村直樹さん

ガラスのまちとして知られる小樽で「Kim glass design」を主宰するとともに、小樽のガラスシーンを盛り上げようと活動。祝津地区の海辺の工房に、ガラスアーティスト・木村直樹さんを訪ねました。

 

小樽でガラスの世界に飛び込んで

小樽の街並みを歩いていると、数々の美しいガラス製品を目にすることができます。小樽のガラス産業、そしてガラス工芸は、明治40年代に製造が始まった、漁業に使われるガラス製の浮き玉を礎として発展してきました。
 
市内中心部から少し離れた祝津地区。漁師町の風景の中、目前に日本海が広がるロケーションに、Kim glass designの工房&ギャラリーはあります。


小樽キムグラスデザインの工房とギャラリーの建物▲手前が工房、奥の水色の建物がギャラリー兼ショップ


小樽キムグラスデザインの工房前に広がる海の風景▲工房の前に広がる眺め


小樽に来るまで、ガラスとはまったく関わりがなかったという木村さん。「金沢で働いていたんですが、北海道に帰りたくて。仕事を探しているときにたまたま行き着いたのが、小樽のガラス工房のホームページだったんです」。画面に浮かび上がる作品に心を奪われ、その工房に志願して、ガラスの世界の門を叩きました。


小樽でキムグラスデザインを主宰する木村直樹さん▲株式会社KIM GLASS DESIGN 代表取締役 木村直樹さん:1984年生まれ、北見市留辺蘂町出身。美術展への出展など、積極的に創作活動も展開。第55回日本現代工芸美術展にて現代工芸賞を受賞。小樽がらす市実行委員長も務めている


必死になって親方に仕える日々。目を盗んでは道具やガラスにさわって仕事を覚え、技術を身につけていきました。しかし、当初の意気込みは次第に葛藤へと変わり、ガラスから気持ちが離れていた木村さんは小樽を後にします。
 
「親方に対する憧れが強くて。ガラスが好きというより、僕は親方に好かれたいがためにやっていたんですよね」。当時をそう振り返ります。


小樽キムグラスデザインのクリアガラスの一輪挿し▲Kim glass designのギャラリー展示から。泡の入ったクリアガラスのシンプルな一輪挿しなど


小樽キムグラスデザインの色ガラスのうつわ▲鮮やかな色合いが目を引く器


「小樽に戻って来ないか」。木村さんに声をかけたのは、ガラスギャラリーや販売店を展開する小樽の会社の社長でした。

「ガラスをやめてしまうのは、小樽にとってももったいないことだからと」。修業時代を知り、認めてくれる人がいたことが「うれしかった」。
26歳のときに工房を構えて独立。手がける製品の大部分は、吹きガラスの中でも、型を使わずに成形していく宙吹きガラスという技法から生み出されています。


小樽キムグラスデザインの美しい大皿作品▲こちらの作品は飾り皿


木村さんのガラスは、多様な色づかい、和洋の枠に捉われないデザインを特徴とし、ギャラリーでは作品にもふれることができます。現在は神戸ともつながりができ、個人のお客さんや料亭からのオーダーメイド品を手がけることが増えてきているそうです。


小樽キムグラスデザインの壺作品▲梅をモチーフとした丸花器


小樽キムグラスデザインのギャラリー展示の様子

工房の近くには、「おたる水族館」があります。夜間延長の「夜の水族館」(8月6日までの金・土限定、20時まで営業)が開かれる期間、木村さんのガラスアートと魚たちのコラボ展示「グラスアートアクアリウム」も見学することができます。


おたる水族館で期間限定で見学できるキムグラスデザインのアート展示▲昨年の「〜ガラスの珊瑚礁〜グラスアートアクアリウム」の展示 ※写真提供:Kim glass design


「目の前が海というこの祝津に身を置くことで、ガラスにつながる部分はありますし、ものづくりをする上で恵まれた環境だとひしひしと感じています。ここ(祝津)までわざわざガラスを見に来てくれる人がいる。一生懸命やっていれば、次につながっていくのかなと」。


工房で窯の前に立つ小樽キムグラスデザインの木村直樹さん▲Kim glass designを立ち上げて6年。現在は木村さんを含め4人で製作にあたり、製作体験も受け入れている


この道を志してから12年の月日が流れました。木村さんは「ガラスに向き合うことが、楽しくなってきた」と話します。

 

ガラスのまちへの思いとともに

7月29 日〜31日には、第8回目となる「小樽がらす市」が、「おたる潮まつり」と同時開催されます。
 
旧国鉄手宮線と色内広場を会場に開かれるガラス市には、地元・小樽をはじめ全国から約40のガラス工房などが集結。それぞれの思いが込められたガラス製品が並び、作家さんによるデモンストレーションや吹きガラスの製作体験なども行われます。木村さんは、このがらす市の実行委員長に就いています。


小樽のガラスイベント、ガラス市の様子▲小樽がらす市の様子 ※写真提供:小樽がらす市実行委員会事務局


「このイベントは、観光の方々にガラスを広く知ってもらう場であり、地元の方々と僕たちとの交流の機会でもあります。毎回たくさんの市民のみなさんが足を運んでくれて、リピーターになってくれているんです。大事にしていきたいイベントですね」。
がらす市は「小樽雪あかりの路」と同時に冬にも開かれています。


小樽のガラスイベント、小樽がらす市の旧国鉄手宮線会場の風鈴トンネル▲JR小樽駅から港に向かって5分ほど歩くと旧国鉄手宮線へ。風鈴が吊るされたトンネルは夜にライトアップも ※写真提供:小樽がらす市実行委員会事務局


小樽の吹きガラス工房は現在11軒、加えてバーナーワーク(ガラス細工)の作家さんが数名活動しているそうです。
ガラスのまちを次につないでいくには、「おもしろい作品をつくって活動して発信していくことが、必要で大切なこと」だと、木村さんは考えています。
 
「僕がいうのはおこがましいですが、いま挑戦していくことで将来の自分自身に、さらに小樽のガラス業界により良い波が生まれたらと。ガラスを生業にしたいという人たちが、全国から集まってくるようなまちにしていきたいですね」。
 
小樽のガラス、まちの未来を思いながら、木村さんは窯の前で汗を流す日々を送っています。


小樽祝津地区の港の風景▲祝津港の風景

 

第8回小樽がらす市

●開催日時 / 7月29日 (金) 〜31日 (日)
 29日は12:00〜21:00、30・31日は10:00〜21:00
●ところ / 旧国鉄手宮線(小樽市色内1丁目15)、色内広場(市立小樽文学館・美術館中庭)
●問い合わせ /小樽がらす市実行委員会事務局(小樽市産業港湾部産業振興課) 
 TEL:0134-32-4111(内線263)

 

関連リンク

Kim glass design

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