情熱の仕事人。お菓子づくりを通して夢を発信。北海道銘菓「白い恋人」石屋製菓社長「石水 創」



北海道の定番お土産として不動の人気を誇る、「白い恋人」の製造を手がける石屋製菓株式会社。多くの人に支持されるお菓子をつくり続けながら、地域と深く関わり、北海道を元気にしていく同社の代表取締役社長、石水創さんに話をうかがいました。

 

今年発売40周年。北海道の「白い恋人」は“日本のお土産”へ

札幌市西区に本社を置く石屋製菓。「白い恋人」をはじめ、チョコレート菓子の「美冬(みふゆ)」、バウムクーヘンの「白いバウム TSUMUGI」、焼き菓子「i・ガトー(あい・がとー)」など、数々のISHIYAブランドを送り出しています。
 
サクサクのラングドシャークッキーに、ホワイトチョコレートがサンドされた「白い恋人」。この銘菓は1976年に誕生しました。印象的な商品名は、創業者がスキーからの帰り道、しんしんと降り始めた雪を見てつぶやいた、「白い恋人たちが降ってきた」という言葉がきっかけで生まれたのだといいます。





発売の翌77年、全日空の機内サービスに採用されたのを契機に、「白い恋人」は勢いよく全国区の人気となっていきます。しかし、どんなに引き合いがあろうとも、物産展などを除いて販売は北海道内に限ってきました。また、原料も北海道産にこだわり、2012年にはクッキー生地に使う小麦粉の全量を道産に切り替え、カカオバター以外、ほぼ道産のものを使用して製造しているそうです。
 
40年におよぶロングセラーとなっている要因を、「北海道を訪れた証として、お土産にしてもらう。北海道でしか買えないお菓子として販売してきたことが大きい」と石水さん。長く親しまれる強いブランドを育ててきたこの北海道へのこだわりは、「これからも変えない」と強調します。





国内だけではなく、「白い恋人」は海外からの観光客の人気も得てきています。外国人観光客市場に向け、現在道外では11空港の国際線免税店でのみ販売。近年、日本を訪れる外国人観光客が増えていることも手伝い、免税店における販売数が拡大しているといいます。
「インバウンドの需要が急激に伸びました。国別で見ると、一番多く購入されているのは中国の方々です。3年前はまだこれほど伸びるとは思っていませんでしたね」と驚きを隠しません。
 
今や「白い恋人」は“日本のお土産”として注目され、選ばれる北海道銘菓となっています。

 

「しあわせをつくるお菓子」に向かって

石水さんは、祖父の代から続く石屋製菓創業家の3代目。お菓子とその仕事の身近で育ち、幼いときから経営者である父(現会長)の姿に、“お菓子屋さんの社長になる”夢を重ね合わせてきました。
 
「父はいつも仕事の話を楽しそうにしてくれていました。工場に連れて行ってもらったり、家で一緒にクッキーやシュークリームをつくったりもしていましたね。漠然とですが、お菓子の仕事というのは楽しいものなんだなと感じていました」。





2004年、スキー推薦で進んだ大学を卒業と同時に石屋製菓に入社。すぐに札幌を飛び立ち、イギリスで語学を、スイスのチョコレート会社でお菓子のノウハウを学びました。
1年間の留学を終えてからは、製造にはじまり、販売、財務、品質管理、商品開発の業務に従事。この間にお菓子を届けることの楽しさだけではなく、会社の試練も経験しました。これまで現場の勉強が中心だったことから、石水さんは経営を学ぼうと小樽商科大学のビジネススクールに通い、MBA(経営管理修士)を取得します。
 
「しあわせをつくるお菓子」。2013年の社長就任時、石水さんはこのような企業理念を打ち出しています。
「新たなことを始める、あるいは判断に迷ったときに、“お客様、地域の幸せにつながるか”というところに社員一人ひとりが立ち返って、次の行動を考えられるようにと掲げたものです」。
 
組織運営では特に、情報の共有、人材教育の充実、業務の役割・責任の所在の明確化を図ることに重点を置いているといいます。また、社員とのコミュニケーション、社員間の部署の枠を超えたコミュニケーションを大切にしたいと考え、オフィスは一人ひとりの席を設けず、デスクを自由に使用できるフリーデスクにチェンジ。社長室の壁も取り払い、自身も社員の方々と同じスペースで業務に当たっているそうです。





北海道では、おいしいお菓子が数多く生み出されています。このことについて、「製菓会社が切磋琢磨し合っている」と石水さん。「それが当社にとっても、他社に負けない商品をつくろうという相乗効果になっていると思いますし、常に緊張感をもって取り組んでいくというところにもつながっています」と話します。
 
会長である父からは、「一言で言うには難しい」たくさんのことを学んだといいます。
「父は夢とロマンをもって、ここまでやってきました。20年前に開設した『白い恋人パーク』は、訪れるお客様にお菓子の楽しさや、当社の考え方を知っていただく拠点になっています。ここをひとつ大事にしていきたいと考えています」。

 

観光客、地元の人にも喜んでもらえる「白い恋人パーク」に




本社に隣接してある「白い恋人パーク」は、まさにお菓子の魅力がつまった施設。「白い恋人」の製造工程の見学やハート型の「白い恋人」をつくる体験ができたり、チョコレートの歴史を知ることができたり、ISHIYAオリジナルスイーツを味わえたりと、楽しい体験と夢あふれる世界が広がっています。年間有料入館者は約70万人といい、取材日もたくさんの観光客で賑わっていました。
 
また、すぐそばには、スポンサーを務めるJリーグクラブ「北海道コンサドーレ札幌」の専用練習場もあり、コンササポーターが練習の見学に訪れています。








「観光のお客様、インバウンドのお客様が非常に多いのですが、地元の方にも来て楽しんでもらいたいという思いがベースにあります。“私たちのまちのお菓子屋さん”と親しみをもってもらい、そこに応えていく商品展開、サービス、イベントにもっと力を入れていきます」。
 
石屋製菓は2017年に創業70周年を迎えます。来年夏の完成をめざし、札幌市の隣・北広島市に新工場を建設中で、現在「白い恋人パーク」内にある製造ラインを移転させるそうです。その空いたスペースも活用してのリニューアルを企画中というから楽しみです。
 
地域振興につながる活動にも取り組み、北海道の魅力を広く伝えて、北海道の力になっていく。会社を引き継いで3年目。同世代の経営者との交流も増え、その方々から受ける刺激も自身の活力源になっているといいます。

「お菓子をつくることを通して、たくさんの夢を発信していけたら」。石水さんは、そんな熱い思いと共に奮闘中です。




 

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