リニューアルした札幌の文化財「豊平館」のあたらしい観かた



 

明治初期の木造洋風ホテルの遺構として貴重な価値をもつ豊平館

札幌にある国指定の重要文化財「豊平館(ほうへいかん)」は、明治初期、1880(明治13)年に開拓使が貴賓接待所として建てた洋風ホテルです。明治天皇の行幸の行在地となり、その後も要人の宿泊施設、公会堂、祝賀会の会場として利用されてきました。
円形のバルコニーがある豪華な佇まいと、真っ白い板張りの壁に水色の縁取りでアクセントを入れた外観は、市内の歴史的建造物の中でも特に個性的な印象を与えます。創建時は札幌の中心部にありましたが、1957(昭和32)年に解体移築されて現在の場所に。大通駅から地下鉄で2駅先の中島公園の中にあり、ゆっくりと時間をかけて鑑賞できることから、写真撮影や写生会で訪れたことがある方も多いのでは。
 
2012(平成24)年から行われていた、耐震補強を含む保存修理や附属棟建築などの活用整備工事のためしばらく休館していましたが、本日、2016(平成28)年6月20日にリニューアルオープンして再び姿を観ることができるようになりました。
改修前は、主に結婚式場やコンサート会場としての利用が多かった建物ですが、活用整備工事でどのような「変身」を遂げたのでしょうか…?

 

リニューアルした豊平館のあたらしい設備、あたらしい観どころ

今回のリニューアルで大きく変わったところは、建物への入り方です。
建物の裏側に新しく付属棟が建てられ、受付や事務所、エレベーター、トイレ、厨房などの設備関係が集約されました。それにより、豊平館建築当初の状態をできる限り復原することが可能になり、リニューアル前は公開されていなかった部屋も、すべて観覧することができるようになりました。
 
付属棟で受付を済ませて、ここから本館へ入ります。



 








 

ホテルとして建てられた創建時の姿をできるだけ復原した内部は、建物そのものをしっかり鑑賞できるよう、全体的に控えめな展示設備が置かれています。初めに体験する空間のロビーは、リニューアル前にあった主玄関前の風除室と靴入れがなくなり、とても広々とした大空間に!
 
まずは、豪華な装飾の親柱が印象的な廻り階段を上って2階へ。
最も見どころが詰まっている「広間」は、建物の中で一番広い部屋です。空間の大きさにも圧倒されますが、漆で仕上げられたシャンデリアの緻密で繊細な装飾、西陣織の窓掛(カーテン)、そして大理石風の暖炉。すべての調度品が、当時のこだわりと高級感を演出しています。




 
広間にある2組の暖炉には、おもしろい秘密があるのをご存知ですか?
この暖炉、大理石でつくられたように見えますが、実は…漆喰(しっくい)でできているのです!
各部屋にあるシャンデリアの中心飾りも、漆喰を鏝(こて)などで装飾を施す「鏝絵(こてえ)」と言われる技法でつくられています。美しいだけでなく当時の左官職人さんの技術の高さが実感できる遺構なので、訪れた際は、ぜひじっくり観察を。
 





 

とっても美しく修復され、格式高い雰囲気もよみがえった豊平館の内部ですが、改修後の見学をさらに楽しくする仕掛けが用意されていました。



 


 


 



 
さらに、付属棟にはこんな装置も。
豊平館や札幌の歴史に関する資料が、大画面のタッチパネルで閲覧できるように!



 



 

豊平館はこれからも市民にとって特別な場所

建物そのものを展示として公開した豊平館。デジタル機器を使った映像解説も取り入れ、より深く建物の知識も得られるようになりました。
これからの豊平館は、観覧だけでなく、改修前と同様に市民の「ハレの場」として、講演会やコンサート、ブライダル会場にも活用されることに。明治時代の技術の粋を集めて建てられた豊平館の雰囲気は、行事に特別感と深い印象を与えてくれそうです。
 
豊平館の一般公開は、明日、21日から。緑が深まり建物がいっそう美しく映えるこの季節、創建時の姿を取り戻した豊平館へ開拓使時代の雰囲気を体験しに足を運んでみては?
 


 

関連リンク

札幌市ホームページ「豊平館」
札幌市の文化財「豊平館」

 

関連サイト

五稜星を探す旅⑤ 豊平館