2016年04月29日 | うずらはしちあき

地域全体が学びのフィールド!「東京農業大学オホーツクキャンパス」

東京農大オホーツクキャンパス生物産業学部の教授4人

北海道網走市にある、東京農業大学オホーツクキャンパス。設置の生物産業学部では、豊かな自然環境、食の生産現場、地域と密着した教育・研究活動が展開されています。教授陣に同キャンパスの取り組みや魅力をうかがってきました。

 

4学科で構成される生物産業学部

農業・漁業が盛んに行われ、食料資源と動植物などの自然資源が豊富なオホーツク地域。「実学主義」を教育理念とする東京農業大学が、1989年の生物産業学部設置に伴って網走市に開設したのが、ここ、オホーツクキャンパスです。
 
新しい生物資源の開発や、環境に配慮した生産管理技術の開発などをテーマに学ぶ「生物生産学科」、オホーツク海をはじめ水圏の生物の特性や、水産物の生産・加工・流通・経済について学ぶ「アクアバイオ学科」。生物資源から、食品、香料、化粧品などを加工・開発する知識・技術を学ぶ「食品香粧学科」、“地域”をキーワードに、ビジネス、マーケティングを学ぶ「地域産業経営学科」。生物産業学部は現在、この4学科で構成されています。


東京農業大学オホーツクキャンパス

網走管内は上川管内とともに、ビールの原料となるビール大麦(二条大麦)の北海道における主産地でもあります。ビール大麦は、生産者とビール会社との契約栽培により生産される農産物。同大学の網走寒冷地農場でも生産されており、また、生物産業学部ではサッポロビール北海道本社と包括連携協定を結び、ホップの栽培研究などにも取り組んでいます。

 

「地域」と「人」と深く関わりながら

オホーツクキャンパスで学ぶ学生は約1,700名で、9割が道外出身者だそうです。学部の大きな特徴には、オホーツクという地域環境を、学び・研究に生かせることが挙げられます。


東京農業大学生物産業学部生物生産学科吉田教授▲生物産業学部学生部長、生物生産学科教授/博士(農学)/吉田穂積さん(大阪府出身)


「学生は農家さん漁師さんのところへアルバイトに行く中でも、現場の生の話を聞いていろいろなものを吸収しています。ほとんどの学生は一人暮らしです。ここには生活や遊ぶことに関して、都市のように何でも揃っているわけではありません。その不便さが人を磨くのではないかと感じます。学生のみなさんは4年間で人間として非常に成長していきますね」と、生物生産学科の吉田教授。


生物産業学部生物生産学科伊藤准教授▲生物産業学部生物生産学科教授/博士(生物産業学)/網走寒冷地農場副農場長/伊藤博武さん(宮城県出身)


同じく生物生産学科の伊藤教授は、網走寒冷地農場において、学生とともにこの地でのホップの栽培技術の確立に取り組んできています。
「例えば、ホップの葉が黄色くなる。栽培過程で生じる課題について、文献に載っていないようなことを学生が試行錯誤しながら解決していく。こうした経験は、オホーツクに来なければできなかったことだと思います」。
 
大麦もホップも網走産のビールをつくろうというプロジェクトから、2010年に「祝IWAI」と名付けられたビールが誕生しました。


東京農業大学生物生産学部とサッポロビールの共同開発ビール「祝IWAI」▲生物産業学部とサッポロビールの共同開発による「祝」ビール。網走産のビール大麦と網走寒冷地農場で学生が栽培に関わったホップを使用(例年冬に限定発売)


東京農業大学生物産業学部地域産業経営学科菅原准教授▲生物産業学部地域産業経営学科准教授/博士(農学)/菅原優さん(新潟県出身)


「地域の課題を解決し、地域を活性化できる人材の育成を目指しています。畑作農家さんのところへおじゃまして、どのような経営課題を抱えているかを取材させてもらうなど、現場を直接知れることは大きな魅力だろうと思います。地域を活性化する手段のひとつとして、学生が実行委員の一員に加わり、地域の方々と一緒になって『オホーツクまるごと市』というイベントなどにも取り組んできています」と、地域産業経営学科の菅原准教授。


東京農業大学生物産業学部食品香粧学科佐藤教授▲生物産業学部食品香粧学科教授/農学博士/佐藤広顕さん(東京都出身)


「食べ物のおいしさは、味のほか見た目や香りによっても変わります。また評価する人によっても差が出ることがあるので、私たちはセンサーを使って農産物や加工品の味や香りの客観的な評価を進めています」と、食品香粧学科の佐藤教授。「また農業・畜産業・水産業の現場が間近ですから、学生は、食品はその原料である生物の命をいただいているんだと認識することで、モノに対する“ありがたみ”が変わってくるようですね」。
 
生物産業学部では、食物繊維を多く含む機能性大麦の研究も行い、その消費拡大を目指して食品香粧学科で料理レシピの開発・発信にも取り組んでいます。


東京農業大学生物産業学部食品香粧学科の研究室のシステム▲食品香粧学科の研究室には、味を分析したり、香りを識別したりする機械が導入されている


東京農業大学生物産業学部食品加工技術センター▲キャンパス内にある食品加工技術センター。乳製品やパンなど各種食品の製造設備が充実し、学生の実習をはじめ、市民参加の実習にも利用。ビール試験醸造装置も設置(ビール・発泡酒の試験製造免許取得)


また、オホーツクキャンパスでは、2010年から「オホーツクものづくり・ビジネス地域創成塾」という社会人を対象とした講座を開設しています。
講座は地場産品を活用した食品開発の知識・技術、マーケティングを学べる内容で、農家、食品加工、サービス業、金融機関をはじめ受講者の職種は様々。修了生は延べ100名を超え、修了後も活発なコミュニケーションが維持されているのだとか。地域を元気にしようと、エネルギッシュに取り組む方々の活躍の場を広げていきたいと考えているそうです。

 

エミューで地域おこしを

地域活性化に向けた、様々な取り組みを行っているオホーツクキャンパス。「農業を応援すること」を目的に、2004年には大学発のベンチャー企業、株式会社東京農大バイオインダストリーが設立されています。
 
網走市には、オーストラリアの国鳥・エミューを飼育している牧場があります。そのエミューを活用した産業づくりを目指し、産学官が連携して、生産・育成、商品開発、販売の取り組みを進めてきています。飼育頭数は現在、約1,000羽にのぼるそうです。


網走で飼育されているエミュー▲ダチョウよりも少し小さい、オーストラリアが原産のエミュー(写真提供:東京農大バイオインダストリー)


開発されたのは、エミューの皮下脂肪から抽出し精製した「エミューオイル」。保湿性に優れているのが特徴だそうで、オイルを使用したスキンケア商品が生み出されています。
各種開発商品は、東京農大バイオインダストリーのショップ「笑友(エミュー)」などで販売しています。


エミュー油を使った基礎化粧品▲写真左から、網走産エミューオイル配合の洗顔フォーム、エミューモイスチャークリーム。プッシュボトルはエミューモイスチャーオイル、右はエミューモイスチャーソープ。同社のWebサイトからも購入可能


ショップには、エミューの卵を生地に使っているという生どら焼きもありました。隣町の菓子店が都度数量限定で製造している、大人気の商品だそうです。


網走のショップ笑友(エミュー)で買えるエミューの卵を使った生どら焼き▲「東京農大」の焼印が付いた、エミューの生どら焼き。冷凍販売で、解凍後に食べてみると、生地に弾力があり、中には小豆クリームが。半解凍の状態で食べるのもおすすめとか


東京農大バイオインダストリーのショップ笑友(エミュー)▲網走市内にある「笑友」


また、エミューの牧場は「オホーツクエミューらんど」として一般公開されています。開園は4月29日から9月末までを予定(入園有料)。エミューは12月から4月が産卵期で、5月から6月にかけて赤ちゃんがたくさんいるそうです。網走方面へお出かけ予定のある方は、エミュー見学も観光スケジュールに加えて行ってみてください!


エミューのひな▲エミューのひな(写真提供:東京農大バイオインダストリー)


網走で飼育されているエミュー▲近くで見ると迫力ありそう(写真提供:東京農大バイオインダストリー)

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