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公開 | 小砂 志津子

開湯150年!定山渓温泉の歴史

札幌の奥座敷・定山渓(じょうざんけい)温泉は2016年で開湯150周年を迎えました。この地に温泉場を開いたのは定山坊と呼ばれ親しまれた一人の修験僧でした。なぜ修験僧が温泉を?またどのような思いで温泉場を開いたのでしょうか。150年前の開湯の歴史物語を紹介します。

 

札幌が誇るくつろぎの温泉郷・定山渓

定山渓温泉▲年間250万人の観光客が訪れる(写真:札幌市)
 

札幌市中心部から車で50分。20軒ほどのホテルや旅館が建ち並び、中央を流れる豊平川から湯煙がたちこめる旅情たっぷりの温泉街です。また、支笏洞爺国立公園の中にあり、山と渓谷の自然美が楽しめる場所でもあります。北海道の政令指定都市・札幌にありながら、国立公園の中にあるというのは全国的に見ても珍しいのだとか。定山渓温泉はとても恵まれた環境にある温泉街なのです。
 
 

開湯の祖は、不屈の修験僧・美泉定山(みいずみじょうざん)

定山渓源泉公園の定山坊▲定山源泉公園にある定山像
 

幕末の慶応2(1866)年、定山がアイヌの人に道案内をしてもらい、豊富な湯が湧き出ているこの地を湯治場にすると決意したことから定山渓温泉の歴史がはじまります。
 
修験僧・定山とはどのような人物だったのでしょうか。
文化2(1805)年に岡山で生まれ、若い頃に仏門に入り高野山で修業を積み、その後は諸行行脚の旅に出て人々の健康や幸せのために働いたと言います。
文久元(1861)年に小樽の張碓(はりうす)に腰を据え、病気で苦しんでいる人を見ると温泉に入れて祈祷をしていたそうです。
開拓使がまだ設置されていない幕末の蝦夷地。今のように薬も十分になかったことでしょう。当時の人はケガや病気の治療に温泉を利用していました。

 
定山渓源泉公園▲定山の生誕200年に建設された定山源泉公園は、定山が温泉と出会ったころの森を再現している(写真:札幌市)


もうひとつ、定山と温泉を結びつける話があります。幼少期の定山には病気がちの妹がおり、母親は、自身の実家のそばにある温泉に何度も通って回復を祈っていました。しかし妹は幼くして亡くなってしまいます。その姿を見ていたこともあり、定山は温泉治療にこだわったていたと考えられます。

定山渓に湧く温泉を教えてもらった定山は、以降生涯をかけてこの地に湯治場を開くことに尽力します。湯治場を開こうと決意した理由、それは、修験僧として病気やけがに苦しむ人々を救うためでした。

 

人々を救うため、開湯に心血を注ぐ

定山渓ホテルの定山像▲定山渓ホテルに建つ定山像。定山はこの付近に温泉小屋を建てた


定山はこの地に一生腰を据えることを決めますが、当時の定山渓は山奥の未開の地。温泉が湧き出る場所にたどり着くのに、いくつもの山を越えて行かなければなりませんでした。まず定山は小樽からの山道を切り開き、仮の温泉小屋を建てて誰でも温泉に入れるようにしました。

また、時代は幕末の混乱期から明治へと移り、北海道には開拓使が置かれていました。定山は2代目の岩村判官に温泉開発を陳情します。定山の熱意が伝わり、明治4(1871)年頃に常設の温泉場が建てられました。同時期に、札幌と定山渓に通じる東本願寺道路(現在の国道230号)が完成。この頃から、定山渓温泉は少しずつ人々に知られるようになっていったそうです。温泉を見つけてから5年後のことでした。

独力で開湯に奔走した定山。東本願寺道路を視察に来た当時の長官は、定山の情熱に心を打たれ、この地を定山の名前をとって「定山渓」と名付けました。
 
一時は「湯守」として開拓使から給料をもらっていた定山でしたが、その暮らしはとても貧しかったと言います。定山渓に住むと決めた後は自給自足の生活。明治7(1874)年に「湯守」が廃止になると、札幌でお経を唱えながら人家をまわる托鉢(たくはつ)を行いながら生活をしていたそうです。

自身の暮らしを顧みず温泉開湯への信念を貫いた定山。定山渓温泉の開祖は、神仏に身を捧げ多くの人々の幸せを願い続けた人物だったのです。


明治40年定山渓温泉▲定山が開いた湯治場の明治40年頃の写真。定山はすでに亡くなっており佐藤温泉として営業されていた(写真:定山渓観光協会)
 

定山寺▲定山の遺品が多数納められている定山寺(内部見学は不可)。外には「開祖美泉定山記念碑」が建つ
 
 

その後の定山渓温泉

定山渓温泉にはその後少しずつ湯宿が建ち、大正12(1923)年には「利尻富士」、「洞爺湖」とともに北海道三景に選ばれたことで一躍知名度が向上します。昭和のはじめには定山渓鉄道も開通し、札幌の奥座敷としてよりにぎわいを見せるようになりました。


昭和15年定山渓温泉▲昭和15年頃の温泉街、月見橋付近の様子(写真:定山渓観光協会)


150年前に定山が開いた定山渓温泉。人々の健康を願う定山の意志は、今も温泉街の人々に脈々と受け継がれています。

開湯150周年の2016年は、日帰り入浴150円券の販売や温泉街のライトアップ「Jozankei Nature Luminarie」など、宿泊や日帰り温泉利用の方が身近に楽しめるさまざまなイベントが開催されます。この機会に心と体を休めに定山渓温泉を訪れてみませんか。直行バス「かっぱライナー号 」を使えば、札幌駅から定山渓まで1時間ほどで行くことができますよ。イベント情報やアクセスの詳細は、定山渓観光協会のホームページをチェックしてくださいね。
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